閑話休題⑱「ぐんてが往(ゆ)く」

どうも、僕です。僕が飼っていたぐんて(犬)が一昨日亡くなりました。

半月ぐらい前から急にぐんての体調が悪くなって、病院に連れて行こうとも思ったけど、ぐんても持ち上げたら本気で嫌がるし、ケージに入るのも嫌がるしで、もう天命に任せようと思い、家で様子を見てました。

エサも食べなくなってきて、少しでも食べやすいおやつを欲しがるだけあげて、ちょくちょく様子を見てたけど、大人しく撫でられてるだけでずっと横になってました。

日増しにどんどん痩せていき、ここ数日が山だな、と覚悟してました。一昨日仕事から帰宅したら、まだ温もりのあるまま、目を開けたまま固くなってました。

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ぐんて、うちに来た時から体が弱く、お医者さんには何度も世話になった。お前は薬が嫌いだから、飲ませるのには手を焼いた。

ぐんて、お前は皮膚が弱いから、5日に一度はシャンプーが必要だった。途中でシャンプー嫌いになって、怒るときもあったけど、ここ半年で自分から風呂場に入ってくれるようになった。

ぐんて、大人の女の人が大好きで、知らない女の人にも甘えた声を出していたスケベな犬。

ぐんて、自分の体の半分より小さな犬にでも、吠えられたり飛びつかれたらすぐ逃げようとした臆病な犬。

ぐんて、お前より後にうちにやってきた猫のチャーさんにもすぐ慣れて、一緒に遊んでいた無邪気な犬。

ぐんて、遊んで欲しい時には歯をカチカチ鳴らしてアピールしてきた寂しがりな犬。

ぐんて、体が急に弱ってから、お前は上手く口が動かせなくなっていて、鳴らない歯でカチカチしようとしてくれた。

ぐんて、もう立てなくなってからも、俺が撫でると顔を手のひらに突っ込んできた甘えん坊の犬。

ぐんて、俺は畑の隅の栗の木の下に、父と穴を掘りながら泣かなかった。

ぐんて、お前の目は開いたままで固くなっていたから、顔に土をかける時に俺は「ごめんな。」と言った。

ぐんて、お前が死んだ時、俺は一緒にいなかった。お前はキレイな目を開けたまま、最後の瞬間に何を見たのか。その時俺がお前の目に写っていたならと、悔しく思う。その時お前が見たものは。

ぐんて、お前が死んだ次の日に、車を走らせていたら初めて涙が出てきたよ。涙が溢れて事故りそうになったよ。

ぐんて、お前がいなくなってから、俺は家に帰ってただいまを言える相手がいなくなったよ。

ぐんて、俺は死後の世界を信じない。生まれ変わりも信じない。ただお前がいたことを覚えている。お前は確かにうちにいた。俺の心にお前はいる。

ぐんて、お前が最後に寝ていた場所に、ぐんての最後を伝えたお医者さんが送ってくれた花束を置いておくよ。

ぐんて、ありがとう。




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