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【もうすぐグローブ座】ハムレットお勉強note①

まじで菊池風磨さん主演舞台、ハムレット近づいてきましたね!!興奮から、動悸息切れがとまりません。


このnoteは『まじでハムレットってなに??チケットはとったけど正直なんもしらんし、古典劇のストレートプレイは確実に理解できない、死ぬ』という方向けに、ハムレットってこんな話で、結局この物語のどこにメッセージがあるのかというところを、乱暴にさらりと書ききってしまおう、というnoteです。

まずもって、私の主張をかきます。

ハムレットのような古典劇は、ぜっったい予習していった方がいいです。私は昔、ハムレットと同じ作者であるウィリアムシェイクスピアの『夏の夜の夢』という舞台に(なぜか)出たことがあるんですが、脚本をもらって読んで、そのあまりの意味のわからなさに『夏の夜の夢 解説 わかりやすい』とGoogleで検索をしましたし、稽古中は演出家に『何もわかってねぇな』と死ぬほど怒られて、毎日蒸しパンケーキをドカ食いしていました。(脚本家プロ、わたしは素人だったのでつらかった)

台詞を覚えるのも、相当苦労をした記憶があります

それくらい、演じる方ですら『は?』となる脚本なのです。
とにかく、台詞の多くが比喩と詩によって構成された、ポエマーラップバトルみたいな脚本なのです!!

それを、全く理解せず見に行くのはほんとーーーーにもったいない!!!


とにかく、作品のあらすじはおおまかに頭にいれた上で、グローブ座にすわり、『じゃあどんな演出で、この物語を役者はどう演じるんだろう??』ということに着目してほしいのです。

彼らの感情の流れを理解したうえで、菊池風磨さん初めとする、すてきな役者さんの演技力をみてほしいのです。

と、まぁそんな私の気持ちはこのnoteにぶつけるとして、まず舞台脚本家初心者がぶつかる罠が『脚本を読んでも理解ができない』というところです。

脚本って書くのも読むのも難しくて、描写というものがほとんどないんですね。すべては読む側、演じる側に委ねられている。
これによって、演出家による舞台の仕掛けや演出差や、役者の解釈による表現の差がでて面白いのですが……なにもない状況で読むには、慣れていないと自分で補完しなくてはならない要素が多すぎて、理解が難しい。

とにかく『まじで知識が皆無』というかたは、下記記事をよんでこの話の概要をつかんでください。
たぶんこの大まかなストーリーをつかむだけでも、脚本を読むことは容易になるとおもいます。

そのうえで、今回は更に一歩踏み出した『ハムレットまとめ』をしていこうとおもう次第です。

これよんでね。是非


【ハムレット正確なあらすじ】

サザエさんの記事では、物語の大筋は理解できても、『じゃあなぜこの話が4代悲劇とよばれているのか』が全く理解できないとおもいます。

そこで、どこが切ないのかもきちんと理解できるあらすじまとめを、再度ここに書いていきます。
長くなりますが、頑張ってついてきてください。


【ハムレット本当のあらすじ】

主人公ハムレットはデンマーク国の聡明な王子として、国民の多くに支持される人物である。彼はオフィーリアという純粋無垢、処女であり美しい女性に恋をし、互いに思いを伝え合いながら愛を育んでいる。しかし、オフィーリアの父であるポローニアスと、兄のレアティーズは、二人の関係に難色を示している。
ふたりは美しい娘オフィーリアを大切に思う故に、ハムレットに捨てられ、オフィーリアが傷つくことを何より恐れているのである

ポローニアスはデンマークの宰相であり、デンマーク国に使える身分であるため、余計にハムレット王子と娘であるオフィーリアの身分の差を感じているし、娘が捨てられる可能性も大いにあることを理解している。

そんな中、ハムレットの父である先王が急逝する。

先王の弟(ハムレットの叔父)であるクローディアスが後を継いでデンマーク王となり、ハムレットの母であるガートルードは、先王の死去から間を置かずに、クローディアスと再婚をしてしまう。

当時のキリスト教では義兄弟との再婚は近親相姦に近いタブーであり、ハムレットは母がそのような穢れた再婚をしたことにショックを受ける。また、再婚の時期が先王の死後間もなくであったことから、ハムレットは母と、義父となった叔父のクローディアスに対しての不信感を募らせていく。

物語は、ここから始まる。

ある日、ハムレットの親友であるホレイショ―は、【先王の亡霊】が城壁に現れるという噂を聞きつけ、自らの目でそれを確かめに行く。

そして、確かにその存在を確信した彼は、そのことを親友であるハムレットに告げるのであった。

話を聞いたハムレットはホレイショ―とともに確認に向かい、確かに城壁で父の亡霊と対面する。そして、父の亡霊はハムレットと二人きりになった際に、「自分はクローディアス(ハムレットの叔父)によって殺されたのだ」ということを告げる。また、同時にハムレットに「母であるガートルードには危害を加えないように」とも告げるのである。

この件をきっかけに、ハムレットは復讐にむかって走り出す。

ここまでのポイントは、

●先王の亡霊自体は複数の人間が目撃しているが、死の真相を知っているのはハムレットだけである
●先王は、ハムレットに対して「母には危害を加えないように」と告げている

という2点である。

つまり、この時点ではまだ、「先王の『俺は殺された』発言は、ハムレットの見た都合のいい幻覚である可能性」もあるのである。

ちなみに、この後の展開として、叔父であるクローディアスが独白で「先代の王を殺した」と吐露するシーンがあるため、クローディアスはマジでハムパパを殺しているのだが、それは舞台中盤まで明らかにされないし、ハムレット自身も、非常に聡明であるため、中盤まで「本当に義父は父を殺しているのか」の確認しようとしている。

このことからも、ハムレットは非常に頭がよく、思慮深い人間であることが分かる。まじ菊池風磨さんに適役である。

それにしても、彼はひそかに「母親に対する嫌悪感」を感じているのに、この父の亡霊によって、母を傷つけることを禁じられてしまう。これが、まじめな彼を追いつめる大きな要素となっていくことは間違いない。

ひょっとしたら、ハムレットの怒りは義父よりも母に対するものが大きかった可能性もある。自分や父を捨てて新しい男、それも父の義理の弟と再婚した母への復讐したい気持ちもあったかもしれない。

しかし、父にそれを禁じられた彼は、義父への殺意と母への歪んだ愛情を加速させていく。

ちなみに、恋人である「純粋無垢な処女オフィーリア」と近親婚をした「穢れた母」は、この物語の対比として非常に良い役割を果たすので、そこにも注目して観劇をしてほしい。

【忘れないでフォーティンブラス】

さて、第二場で、実はひっそりと「フォーティンブラス」という人物の名前が出てくる。

うっかりすると最後までこの人物自体は出てこないので忘れてしまうのだが、最後にひょっこりと現れるため、忘れないでいてほしい。

ちなみに、サザエさん的な解説の中には、このフォーティンブラスは登場させていないため、多分私のサザエさんの記事のみを読んで観劇した人は「お前誰」状態になるのではないかという懸念がある。

フォーティンブラスは、隣国のノルウェー王子であり、最終的にキャラクターが全滅したデンマークの王となる存在らしい。このときに存在をすっかり忘れてしまうと、ハムレットという物語は、「お前誰やねん」というやつが颯爽と登場して「完」となってしまうのである。

ォーティンブラスの父親は先代の王とのやり取りの中で領土を失っており、フォーティンブラスはその土地の返還を迫っているという設定である。

つまり、ハムレットパパの時代から、この国の土地を巡って因縁があるのである。

【ハムレットの狂気】

ハムレットは父との邂逅のあと、オフィーリアのもとを訪れて、憔悴した様子を見せる。オフィーリアはその様子を父であるポローニアスに話し、ポローニアスは娘への愛でハムレットが狂ったのではないかと感じ、ハムレットの母ガートルードと、ハムレットの叔父であるクローディアス(国王)にハムレットの様子が変だと告げてしまう。

オフィーリアは非常に純粋無垢であり、まだ精神が幼いため、ハムレットの愛情を疑うことなく信じながらも、父の「ハムレット様に心を許してはいけない」という言葉を裏切ることもできない。典型的ないいこちゃんである。

父の言いつけを守りハムレットからの恋文を受け取らなかったり「もう来ないで」と告げたりと、成熟した大人であるハムレットに対し、幼さゆえに「純粋」では片付かないほどのやりたい放題をかます。

そして、ハムレットの叔父であるクローディアスとオフィーリアの父ポローニアスは、ハムレットが本当に狂っているのかを確認するため、あえてオフィーリアにハムレットを待ち伏せさせ、その様子を陰からうかがうのである。

ハムレットはこの機会を幸いと、この後は一貫して「狂ったふり」をし始める。狂気を装うことで、復讐の機会をうかがおうというのである

この時、ハムレットは天衣無縫そのものであるオフィーリアに対して、

「尼寺へ行け」

という超絶有名なセリフを吐く。

これは別記事でも書いたのだが、「俺を愛しながら、一生結婚できない場所で暮らせ」または「結婚できない場に身を置きながら、売春婦になれ」という意味が込められている。

ハムレットは母という穢れた存在と、愛する穢れないオフィーリアのを前に、「女性」という存在に対する感情がないまぜになって揺れている。

この物語の中で、ハムレットは「女性の穢れと純真さ」の間で揺れるのである。ハムレットはオフィーリアを愛している。それゆえに、母のように穢れた存在になる絶望と、そうはなってほしくないという気持ちで感情を揺らしている。

そもそも、この時にハムレットが影から盗み見ている存2人の在に気が付いているのかも問題である。彼の狂い方は、演技とわかっていても観客を混乱させる。

どこまでの言動が彼の本心なのか、彼はどこまで気が付いているのか、そこまで含め、ぜひ劇場で鑑賞したい。

そして、この「尼寺へ行け」発言は、ハムレットの愛情を心の底から信じていたオフィーリアの運命を狂わせていくのである


(あまりに長くなるので、続く)