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芸人になりたい大学生#8
通過してないけど面白いと思った
人生初参戦のM-1が無事終わったのでレポ&エッセイを書かせていただきます。
初めてしっかりとしたネタを書いたのは去年の9月。友達が大学のゼミで漫才をやることになったから考えてくれないか?と言われて初めてネタを書いた。漫才を書くことについての知識なんて何一つないから何をどうすれば良いのかなんてわからなかったけどとりあえず形にした。その稚拙で歪な形の漫才を友達に見せると「これは面白い」と言ってくれた。その言葉に俺は一年間夢を見てたし、これからも見続けたいと思っている。
それから一年間漫才の勉強をした。目標は1年後のM-1グランプリでナイスアマチュア賞、一回戦突破をすることだ。YouTubeでお笑い芸人が漫才についての解説をする動画をメモしながら見たり、歴代のM-1グランプリを敗者復活戦からいくつも見たり、自分が面白いと感じたことは忘れないように書き起こしたりして、M-1グランプリ一回戦の2分という時間の中で披露するネタを1年で30個書いた。俺はお笑いサークルに入っているわけでもないし臆病者だから書いたネタは数人の友達にしか披露できなかった。大学で一番仲のいい友達が俺の熱量を見て、一緒にM-1グランプリ一回戦に出てくれることになった。コンビ名は天国帝国。舞台に出たことがなかったから舞台慣れするためにキングオブコントの一回戦にも出た。そして1年間の軌跡を経て満を持してM-1グランプリの一回戦の日がやってきた。結果から言うとナイスアマチュア賞を取ることも一回戦通過もできなかった。ウケ方的にはまぁまぁ多い方なんじゃないかと感じたけど結果は惨敗だ。この日のために多くの時間を費やしたし、手応えも悪くないと思っていたから東京に来て何の成果も残せなかったことは凄く悔しかった。それと同時に俺はやっぱり北海道で一人漫才の勉強をするよりも編入試験を受けて関西に戻って一刻も早くNSCに入らなければならないのではないかと明確に感じた。結果を見た後の電車で相方になってくれたいつもは能天気な友達も落ち込む俺を見てかける言葉は少なかった。東京の電車ではOLが大声でレイプをされた話をしていたり、サラリーマンが後輩の九州弁は不当だと言っていたりして、その言葉は落ち込む俺を無視して耳の中に入ってきた。隣に座る友達と沖縄に行く約束をしていたけれど俺が編入して北海道を離れることになったらその時はもう来ないと思ったからその晩は東京の沖縄料理屋に行った。お金もないから二人で朝まで渋谷に居て、明け方漫画喫茶に入って昼まで寝た。起きて松屋に行ってうまとまハンバーグ定食を食べて汚れた体と荒んだ心を癒すためにスーパー銭湯にきた。風呂に入ってふと天国帝国という名前をXで調べてみた。すると「通過していないけど面白いと思ったメモ」という投稿が一番上に出てきた。その中には天国帝国という名前があった。これを成果なんて大層な言葉で世間では言わないだろうけど面白いと言われて素直に嬉しかった。まだ始まったばかりなんだ。また勉強して、作り直して来年も挑戦しよう。俺はいつかM-1グランプリで優勝する男なんだから。