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楽しさの背後にあるもの

 みえアウトドアヤングサポーター育成事業/
自然環境リテラシー学実習10/1-2

 しずくです。10/1-2に銚子川に再び訪れて二日間の研修を行いました。前回はスタッフ側になって企画に参加しましたが、今回から再び生徒として参加し、先輩達から様々なことを教わりました。非常に充実した二日間になりました。 
 一日目は主に川の安全管理について学びました。始めに校長先生(キャンinn海山で代表をしている方)から銚子川で実際に起きた水難事故についての話をいくつか聞きました。一つ目のケースは、川のそばでバーベキューをしていてお酒を飲んでいる状態で川に入って溺れてしまい一人の命が失われてしまったケースです。仲間が気づいたときには、深くまで溺れていて仲間も酔った状態ではとても助けられる状態ではなかったようです。二つ目は、水中撮影をしていた子供が撮影に夢中になり、流れが速くなっている岩と岩の間の中を泳ぎ進み、最終的に岩の間から抜け出せなくなり、亡くなってしまった事件です。川には、特に銚子川には、感動的なもの、興味を引くものがたくさんあります。それらを目の当たりにして興奮する気持ちは分かります。しかし、少し危険のことを忘れがちになる時ほど、慎重になる必要があります。そこには思わぬ危険が潜んでいるかもしれないからです。川に限らず、常に先に起こることを予測したり、いつでも危険と隣り合わせであることを念頭に置いて行動することが大切です。三つ目は、岩に生えた苔で滑って頭を打ってしまったケースです。水に漬かっていない岩に生えた苔というのは乾燥していて、その上を歩いても滑ることはありません。しかし、川に入った後、全身濡れた状態で同じことをすると悲劇が起きてしまう可能性があります。このケースは近年増えているそうです。川での滑りやすい、にくいはその時に身に付けている道具によっても変わってきます。例えば、靴です。メーカーや値段によって滑りやすさが大きく変わってきます。アウトドアをする時は、安全第一に考えて慎重な道具選びが必要です。また、四つ目に紹介するのは、親子が川に行った時にお父さんが安全だと思った箇所は、体が小さく体重が軽い子供には安全ではなくその子が命を落とすことになってしまった事件です。そのお父さんは、常に子供を第一に考え、体の大きさの変化に合わせてPFDもこまめに買い替えていたほどだそうです。入念な準備をしていて大丈夫だと思っていても危険はいつ襲ってくるかは、誰にも分かりません。大人と子供の体の特徴の違いを考慮することも重要なのですね。また、この子供は、大きく泡立っている箇所まで滑って流れてしまいました。泡の立っている所、つまり川の中よりも酸素が多い所では、浮力がある水中でのみ有効なPFDは、意味を持たなかったのです。校長先生は、川の怖さを紹介してくださいましたが、このような事故を伝えることはつまり、失われた命を無駄にしないことになるとおしゃっていました。この言葉は非常に印象的です。 
 私は、校長先生が話してくれた通りになるべく詳細に事故のことをこのnoteに書くことを通して、悲しい現実があることを少しでも多くの人に知ってもらい、尊い命が川で失われる悲劇を減らせたらと思っています。
 
 今回、校長先生による事故のお話は私たちが実際に銚子川に入る直前に聞きました。これから事故が起きた川に入るのだということを前提にお話を聞いていると、より自分事として捉えることができました。また、真剣に聞かなくてはならないという気持ちが強くなりました。皆さんはニュースなどで水難事故について聞いても、どこか他人事のように考えがちになってしまいませんか?私の場合、自分の近くの場所で起きた事件でない限り、どうしても「私も気を付けなくてはいけないな」という気持ちよりも「かわいそうだ」という気持ちが勝ってしまう気がします。

 キャンプinn海山さんは独自に実際に起こった事故を表記したパンフレットを作っています。ちらりと見せてもらいました。そのパンフレットを見たことと、校長先生の話を聞いたことからあることを思いました。それは銚子川さんは少し事故の怖さのアピール量が不足しているのではないかと思いました。これはキャンプinn海山さんに限ったことではなく他のキャンプ場などのアウトドアの施設でも同じことが言えるのではないでしょうか。もっと、人々にアウトドアの魅力を伝えると同時に安全管理、危機管理についての知識を広めるためにも楽しさとそれに隣り合わせに存在している危険、それぞれ1:1で紹介すべきだと思いました。試しにキャンプinn海山さんのホームページを見てみましたが、実際そこには危険に関しては何も表記してありませんでした。確かにそうですよね、お客さんを呼び込むためにはより楽しい情報を載せるのは合っていると思います。しかし、「キャンプinn海山に来る前に知っておいて欲しいこと」のように書いて、川遊びをする時にどのような心構えが必要なのか、どのような道具を持っていくべきなのかを事前に知ってもらうことは非常に重要だと思います。事故を防ぐ方法として、キャンプinn海山を利用する方には全員、受付や申し込みをする前にスタッフの方たちが作った動画を見ることを義務付けるのはどうかなと思いまた。たとえ、パンフレットで渡されたとしても、いくらでも見ない可能性はあると思うからです。十分な準備をしてやっとたどり着いたキャンプ場と、きれいな川が目の前にあったら、ワクワク感が勝ってしまい危険が潜んでいることを忘れがちになる傾向があるのではないかと思いました。

 今回の授業では、銚子川のスケッチをしました。スケッチは、その対象をじっくり見る行為を通して新たな気づきがあったり、スケッチする前にその対象についてレクチャ―されたことをもう一度頭の中でおさらいすることができるなと感じました。

川のスケッチ
魚の道

 これは、堰堤の端に設置されていた魚道です。鮭などの川を上ってくる魚がここを利用し、川を上ります。堰堤は急な斜面になっていてほとんどの魚が堰堤を上りきることができません。今後、日本に限らずどんどん人間による自然界の破壊と開発が進められている時代になっていくのだと思います。それでも、この魚の道のように生態系に対してなるべく人為的な侵害が少なくなる方法を考えていくことが重要だなと改めて思いました。またここでは、もし魚の道の脇を通っていてここに落ちた場合、速い流れと深さによって少し大きめの大人でも溺れてしまうのではないかと思いました。

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 これは、川に埋まっていた鉄筋です。最初、これを見た時には木の枝のように見えました。私たちが観察した付近の川には、一本ではなく複数の鉄筋を見つけました。鉄筋がより多く見られたところのスポットは、堰堤を安全に下りることができる道の出口付近にありました。もし、堰堤を下りようとしてその安全な道を利用し、まだあまり身長のない小さな子供がそこに近づいた場合、鉄筋の先が顔付近に接近することになり危険です。小さい子供と川に入る時には手をつないで親が先頭で子供が後をついていく形にするのが良いと思います。親が子供にとって危険そうな場所をいち早く察知するためです。

テトラポット

 これはテトラポット同士の間を撮影したものです。テトラポットの間は、大変危険です。しぶきが多くて、そこに落ちた場合どれくらいの深さがあるのか分かりません。また、実際にそこに近づいてみると流れがとても速かったです。

深さga

 これもテトラポットの一種です。これも同様に水面上から見ると、テトラポット同士の隙間がどれくらいの深さまであるのかよくわかりません。また、ここ付近で溺れた場合、どこかにPFDが引っ掛かりそうな気もします。

水しぶき

 ここは、堰堤を下りたところです。堰堤は、川の流れに合わせて「く」の字になっています。そして、中心が最も流れが速くて、その斜面の終着点では水しぶきが起こっています。今回、銚子川に行った時は台風の後で比較的通常と比べて苔が少ない方でした。しかし、実際はもっと苔が多く、それは川で滑る確率が上がることを意味します。また、水しぶきが起こっているということは、上記にも書いたようにその箇所の川の状況が不鮮明ですし、PFDを着ていても浮力がないので危険にさらされる可能性があります。小さい子供は特に近づかない方が良いでしょう。実際、写真に写っている所は銚子川で水難事故が起きた場所です。

コンクリートの溝

 この写真は堰堤の坂道を形成しているコンクリートが削れて溝ができている箇所を示しています。堰堤のような坂道では、どうしても浮き輪を使って滑りたいような気持ちがします。ですが、実際、やってはいけません。このように斜面にどのような障害があるのか分かりませんし、滑り終わった後にテトラポットの隙間や、しぶきといった隠された危険が潜んでいる可能性があるからです。

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 銚子川はここまで高い透明度で川底もはっきり見えますが、川の中を歩いていると浮石があったり水面上から見て、水の屈折などの関係で石がどれくらいの深さに置かれているのか、実際の石の大きさがうまく把握しずらいです。そのため、すたすたと歩くことはできませんし、いつ滑ってしまうのかとびくびくしました。この銚子川でさえこのような状況なので、いかに他の川で歩くときに注意する必要があるのかをお分かりいただけると思います。

 夕方の第二部ではAEDの使い方、水難事故の現場でのけが人への対処法を学びました。

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 高校の授業や、運転免許の学科の授業でも同様にAEDの使い方を学びました。しかし、これは定期的にやらないと忘れてしまうなっと感じました。実際、忘れてはならないし、いつどこで起きたとしても、少しでも冷静に対処するには日ごろからやり方をしっかりマスターしておく必要があります。インスタグラムで、サッカーの試合中に倒れた人がいてその場で冷静に心臓マッサージをしている人の動画を、最近見ました。実際、もし目の前で人が倒れたらものすごくパニックになって私は冷静に適切な判断ができそうにない気がします。私のような人ほど、定期的にAED等の危機管理法を学び備えておく必要があると思います。自分が焦っている間に、けが人の状態はどんどん悪化してしまうからです。

二日目は、山登りと川遊びをしました。

象の背

 久しぶりに比較的に大きな山を登りました。アメリカで一か月間いて、全く運動をしていなかったこともあり、非常に疲れました。下山する時には、何度も転びそうになりました。無意識に足ががくがく動きました。寒い時に自然と唇ががくがく動く現象と同じような感じな気がします。(その詳しい仕組みについて調べてみたもののなかなかその答えは出てきませんでした。)私たちの体に起こる現象も自然と同じくらい不思議であふれていますよね。

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 私が山を登っていて危険だなと思ったところは人口木材、整備されていない道に転がる石です。特に下山時には慎重になる必要があります。疲れによる集中力の切れで、うまく体のバランスが取れなかったり、状況把握能力が登山時よりも劣っているからです。

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 お昼ご飯を食べた後は、銚子川で思いっきり遊びました。カヌーや、ターザンロープを使った飛び込み、川サウナをしました。非常に快感でした。大学生になると、実際のところ、このリテラシーの授業以外で思いっきりアウトドアを楽しむ機会がありません。アウトドアを思いっきり楽しむと、まるで自分が小学生に戻ったような気がします。私は水泳を習っていたので、泳ぐことが好きで、先輩達とクロール対決をしたのも楽しかったです。​

まとめ

 私は小さい時から川で遊んでいましたが、こんなにも危険が潜んでいるとは知りませんでした。当時は川で遊ぶ時も、PFDをつけていませんでしたし、テトラポットのような所も危険を考えずに頭を下にして魚を探すことに夢中でした。子どもは危険察知能力が劣っています。一方で、子どもたちはアウトドアの体験を通して自身の力で危険を学んでいくのも事実です。しかし、その前に死亡しては意味がありません。安全に楽しむために、子供には親などの正しい知識を持った人の存在が必要です。いずれ、私たちも親になります。確実に家族を守れる存在、またアウトドアの楽しさを伝えられるような親になりたいです。また、今後大学生活の中でも友達とアウトドアを楽しむ機会があった時は、この授業で学んだことを正しく周りの人に伝えていきたいです。

 川に限らず、楽しいことと危険なことは表裏一体で存在しています。また、人間はどこでいつ死ぬのか分かりません。常に、自分は危険にさらされていることを忘れてはいけません。また、私たちは家族、友達など多くの人に支えられて生きています。それぞれ一人で生きている訳ではありません。もし、私たちがいなくなったら悲しむ人がいることも心に留めておきましょう。「私たちの背後にいる人」の存在というのも忘れてはなりません。

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