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「ハムスター」と書いて「あきらめない心」と読む
これまで預かりを含めると10匹のゴールデンハムスターのお世話をし、5匹を見送った。彼らの生涯を見させてもらって、知ったことがある。ハムスターは、あきらめない。
各人?各ハム?にもよるが、何かに登りたがる子は多い。自身より高いちょっとしたもの、例えば、床に積まれた本や、靴箱、ちっちゃな除湿機、おっきな除湿機を乗せた台車に、ロボット掃除機(床に置き過ぎを反省もしたが、ハムスターが嬉しそうにサーキットに加えているのを見て、片付けられなかった。言い訳がましいが。)などなど。少しでも自身の体長より高いものがあれば、クライマーと化す。さらに相当登れそうにもない高さのものに対しては、それらの面に向かって、普段は丸いその背中をぴょこっとっと伸ばし、両手を伸ばして、まるでその高さや質感を測るように、二本足でよちよちと歩く。
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イケる!と判断するやいなや、少々の鈍臭さを見せながら飛びつく。なかには、華麗にジャンプしながら、飛びつく子も居た。あくまで私見だが、キンクマ系(宅にはキンクマハムスターとカラーハムスターのミックスの子が居た。)の子の方が、筋力があるのか、その子達は鈍臭さを感じなかったが。
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カーテンに、三味線ケース(長さがある)に、グングン、グイグイ登っていく。
私たちヒトにしてみれば、断崖絶壁を登っていくようなものであろうに。もちろん、私はその姿から決して目を離さず、セーフティネットの役割を買って出るわけだが、それを承知の上でのクライミングなのかは定かでなく、高所恐怖症気味な私には、まず考えられない行動である。彼らにとっても意を決する行動ではあるのか(まぁ、習性だろうけども)、登頂時の彼らの顔に達成感が滲んで見えるような気もした。で、彼らは、そんな高所からどう降りるのか。テクシーを使うのである。差し出されるヒトの手を待つ者も居た(笑)テクシーの利用に慣れていない者は、差し出される手に、ちょい、ちょい、と小さな手で数回ヒトの手に触れ、戸惑いを見せながらもヒトの手に乗ってくる。
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なんと愛くるしいことか。こちらとしては、キュンキュンである。そうして、クライミングは繰り返されるのだが、疲れもするだろうに、まぁ、あきらめない。モノと壁の隙間(が大好き。)を登る時には、壁かモノのどちらに背中を押し付けながら、登るのだが、頭も擦り付けながら、顔も引っ張られながら、登るので、時折、目が飛び出てしまいやしないかと、本気で心配した(苦笑) 今となっては懐かしい思い出である。
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彼らの最期にも、そのあきらめない心を見た。生き物としての基本を改めて思い出させてもらったと私は思っている。とにもかくにも、彼らには感謝しかない。
お世話させてくれて、ありがとうございます。
君たちに逢えて、私はとても幸せでした。
ありがとう。また、逢う日まで。
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