第一話: フェオニャン 豊かさって何?
豊かさとは
フェオニャンは本当は元気いっぱいの女の子の猫。
彼女は町を歩いていました。でも、彼女はちょっと心配顔。
なんだか最近、うまくいっていないような気がしたのです。
彼女は毎日一生懸命働いていました。毎日、お金を稼ぐために街中を走り回り、仕事を探しました。
お金になる仕事はどんな事でもしたし、寝る時間も惜しんで働いたんです。
でも、どんなに頑張っても、どんなに貯金が増えても彼女はいつも何かが足りないような気がしていました。
友達と遊ぶ時間もなくて、好きなおやつも我慢していました。
「お金のためよ。お金があれば人生豊かになる」
そう言い聞かせながら、一生懸命働いたのです。
そう、彼女はまだ幸せを感じられなかったのです。
お金はあっても、心が満たされないんです。
そんなある日、彼女はライスのお店の看板を見つけました。
看板の不思議な文字が、彼女の目を引きつけました。
興味津々の彼女は、その小さなお店に足を踏み入れました。
店の中は、ほのかなハーブの香りに満ちていました。
ライスという猫が、彼女を優しく迎え入れました。彼は優しそうなそれでいてどこか頼りなさげな雰囲気を持っていてフェオニャンは少し戸惑いました。
「疲れているみたいだね。どうぞ」
ライスはフェオニャンにハーブティーを淹れました。
「まだ注文していないけど。。。」
とフェオニャンが戸惑っていると、ライスは笑顔でティーカップを差し出しました。
「疲れているみたいだったから。カモミールとレモンバーベナとミントのハーブティー。ママが。。あっ!えっ。。と、師匠がよく淹れて飲んでたから。あったかいうちに飲んで待っていてもらえるかな?」
ライスは照れたように笑って奥に一度引っ込んでいきました。
「美味しい。」
フェオニャンの疲れた体に温かいハーブティーが染み渡ります。
しばらくするとライスが戻ってきました。
ライスはフェオニャンに、「ᚠ」というルーン文字を見せました。
「フェオニャン、この文字わかる?」と彼が尋ねました。
フェオニャンは文字を見つめましたが、理解できませんでした。
「何その記号みたいなの?」と彼女が答えました。
ライスは微笑んで説明しました。
「『フェオ』って読むんだよ。フェオニャンと同じ。だけどここに来た時のフェオニャンは逆さのフェオみたいだった。」
「逆さのフェオ?」とフェオニャンが不思議そうに尋ねました。
ライスは彼女の質問に答えました。
「うん。急いでお金を稼ごうとして、色々やって疲れちゃってた。友達と遊ぶ時間もなくて、好きなおやつも我慢して、とにかくお金だけ貯めて豊かになるんだって言ってたでしょ?」
フェオニャンは少し驚いて頷きました。
「うん。(そんなこといつ話したっけ?)」
ライスは続けました。「フェオニャン、貯まったお金で何をしたいの?」
フェオニャンは考え込みましたが、答えが見つかりませんでした。
「う〜ん。。わかんない」
そこでライスはルーン文字を教えました。「この『ᚠ』って文字は豊かさを表すルーン文字なんだ。でも豊かさって人それぞれ違うでしょ。物にたくさん囲まれているのが豊かさだって思う人もいるし、お金がたくさんあることが豊かさって人もいる。時間がたくさんあることや好きなことをする時間があること、たくさんの人と過ごすこと、好きな人と過ごすこと。どれも豊かさだと思うんだよね。そしてどれが正解でどれが不正解ってことじゃないんだ。」
フェオニャンは考え込みました。「ふぅん。。。」
「そしてそのどれか一つだけってことでもないんだよ」
ライスは続けました。「だけどね、どれを選んでもその人が心から『幸せだな』って思えないならそれは豊かだと言えないんじゃないかな?」
「うん。たしかに。。」
フェオニャンにライスの言葉一つ一つが染み渡ります。
「でもどうしたらいいんだろう。私はどうしたら幸せだなって思えるんだろう?」
「フェオニャン、焦らなくていいんだよ。ゆっくりと探してみたらどうかな?このᚠっていう文字はひっくり返っていなければ、ゆっくりと豊かさへ向かっているっていうことを教えてくれる文字なんだ。」
「そうなの?」
「そう。そして、この文字にはね、不思議な力があって、持っている人を助けてくれるんだ。だからこの『ᚠ』をアクセサリーとかにして持って歩いてもいいんだよ。」
「探す。。探す。。アクセサリーにする。。」
フェオニャンは何度か呟いていました。
「あの。。聞いてる?フェオニャン?」
フェオニャンは思いついたように
「ねえ!ここで働かせてもらえないかな?」
と言いました。
「えっ?ここで働くって。。いや、見ての通りお客様はほとんど来ないし、忙しくはないよ」
ライスはビックリして答えました。
「お給料はいらない。貯金もあるし。ハーブティーを飲ませてくれればいいよ。私ここで私なりの豊かさを探してみたいの!それに私アクセサリーを作ることもできるよ」
フェオニャンの勢いにちょっと押され気味のライス。
「いや。。えっと。アクセサリーを作ってもらえるのはありがたいけど。。」
「それに。。あなたなんか頼りなさげだし」
クスッと笑ってフェオニャンが付け足しました。
「え⁈そりゃないよ。今いい話してたと思うんだけど」
「だってママが淹れてくれるんでしょ?ハーブティー♡」
少し意地悪なそれでいて楽しそうな笑顔のフェオニャン。
「いや、それは。。💦まいったな」
ライスは頭をかきながら一緒に笑っていました。
こうしてフェオニャンがライスのお店で働くことになったのです。
新しい仲間が加わったライスのお店では、今度はどんな出来事が起こるのでしょうか?
それはまた次ののお楽しみ♡
最後まで読んでくれてありがとうございました♡
次回「第二話ウルニャン」お楽しみに♡
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?