🇩🇪ドイツの無痛分娩？出産時の麻酔の最終確認行ってきた！【体験記】

PDA（Periduralanästhesie）は硬膜外スペースに麻酔薬を注入し、特定の部位の痛みを和らげるための局所麻酔です。
分娩時の痛みを軽減するために広く使用されていますが、母親が意識を保ちながら出産に参加できる利点があります。

*背中に麻酔を打ちます。

途中まで、「日本への里帰り」も視野に入れていた私の妊娠生活。
日本での出産文化は、ある程度うっすら知っていました。

しかし妊娠生活を送っていく中で、ドイツと日本の出産文化の違いを見ることになります。

本日のテーマは、無痛分娩。つまり出産時の麻酔についてです。

私たちの母の世代は、ほとんどの人が普通分娩。
「痛みを伴わない出産は、真の母親になれない」のようなトンデモ信仰がまだ日本文化にはびこっていた時代です。


最近日本でも、「無痛分娩」が広がりを見せてきましたが、まだまだ誰もが希望して選択できるものではないです。
だからこそ、今一番ホットな話題の一つでもあります。

ドイツで話題に出ない無痛分娩

ドイツで不思議に思っていたのは、出産時の「麻酔」について話題に出てこないことでした。

陣痛から出産までのかかった時間、帝王切開を希望してたのに生まれちゃった、短時間で生まれた、２４時間以上かかった、子宮口が広がらなくて帰宅した、早産だったけど、今は180cmの中学生になった…

でも「無痛分娩かどうか」についてはこっちから聞かない限り出てきません。

麻酔（PDA)はどうした？

私から話題をふってみると、「途中から使ってよかった。リラックスできた」「麻酔を使う前に生まれてしまった」「使うつもりがなくて使わなかった」などと返答が返ってきます。

日本で「無痛分娩」（硬膜外麻酔が一般的）を希望する場合、早めに計画を立てないといけません。

無痛分娩の普及率がまだ低く、一部の病院やクリニックでしか提供されていないため、選択肢が限られますので、事前に予約が必要です。

日本では分娩中に「やっぱり麻酔を使いたい」と思っても、事前に計画していないと導入が難しいことが多いです。

これに対して、ドイツなどでは、分娩中の痛みの進行状況に応じて柔軟にPDAを使用することが可能です。

麻酔はスタンバイされてるから、考える必要がないのか！

1回目の病院訪問

ドイツで「婦人科検診」は、行きつけの産婦人科で行いますが、出産は病院が一般的です。
私もその一般常識で、自分に良さげな産婦人科に通い、出産が近づいたところで、病院も決めました。

病院決めもギリギリで焦りましたが、それが普通みたいです。
（*助産師（へバメ）や産婦人科のお医者様が、タイミングを見て「病院は予約したか」と聞いてくるので、その辺りで問題ないです。）

病院に予約をして、第一回目の訪問。
そこでは、出産の流れやお部屋のグレードアップ（有料）などの説明を一通り受けた後、「PDAの資料と質問票」を渡されて、次回持ってくるように言われました。

⇨後日知ったんですが、麻酔の面談時間は随時開催し行われてて、いつでも行って良いみたいですね。質問票のたくさんの質問に記入して、麻酔科の面談時間に行きます。

第一回目の病院訪問から、しばらく音沙汰なし。次の予約まで随分あきました。緊急で病院に連絡ができる状態でしたが、産婦人科の検診だけが続いていきました。

2回目の病院訪問

2回目の病院訪問では、私の子宮や赤ちゃんの様子を測定した後、「もし予定日までに陣痛が来なかった場合、誘発陣痛するかどうか」について説明を受けました。

今度は、「誘発陣痛に関する資料と質問票」をもらって終わり。
次の訪問予定は、出産予定日となりました。

私の「麻酔使用」はいつ決めるんだろう…と、とても不思議でした。

だって、日本は随分前から決めるじゃない？
私が普通分娩にするか、無痛分娩にするか全く決まらないまま臨月を迎えまました。

出産カウントダウンで、麻酔の最終確認

最初の訪問で渡された、「PDA」の資料と質問票。
これは、麻酔科の医師と面談と確認の際に使います。

資料同様に、口頭で、
麻酔の種類、麻酔のリスクや副作用、当日の流れや身体に出る問題、帝王切開の場合などの説明を受け、

病歴、アレルギー、血液、心臓の問題、糖尿病や、麻酔経験の有無…
などを正確に伝えました。

私の場合ほんとうに何の問題もなかったので、短時間で終わりました。

麻酔を打った後、下半身に力が入らなくて上手く立てない・歩けないのは知っていましたが、ベッドで動くことはできるらしいです。
そういう細かい質問をして終わりました。

もし、重大な問題がある場合は、もっと深刻に話し合う必要があり、時間がかかるかもしれません。

ここで確認された資料は、Kreißsaal（分娩室）のスタッフに提出します。

スタンバイされてるけど、使用を決めるのは当日

つまり、最終面談でも麻酔の使用の有無は決めません。
病院側が十分に、麻酔も緊急帝王切開も準備してるけど、使用するのを決めるのはあくまで当日。

だって誰にも、当日まで痛みの強度は予測できないんですもの…

実際に、使用しないまま終わるドイツ人もいっぱいます。もちろん、使用してよかったというドイツ人もいます。

麻酔の話題をふると、「痛みの強度は人それぞれ」、とドイツ人がいうセリフが今になってよくわかりました。

なんて素敵な制度なんでしょう。

これは、ドイツ人女性に「痛みを緩和する権利」があるという考えから、制度が作られていったことに起因しています。
また、最終手段は、妊婦に委ねられる。だから最終的に当日麻酔使用の有無を決める方法は理に適ってると思います。

日本もドイツも良いところと悪いところがあり、どちらが素晴らしいというのはありません。

ただ文化の違いが大きすぎて「ドイツ憎し」「日本は嫌い」となる人々がいるだけです。本当に二つの文化は似てないです。

さらに、言語・文化・仕事のハードルと、故郷の味覚や習慣により、異国にいるよりは母国にいる方がいいのは当たり前です。

しかしながら、日本も近年大健闘しているものの、出産システムや女性の権利に関わる制度は、ドイツの勝利です。
他にもドイツでは妊娠・出産が快適に行われるように研究され、社会制度に税金が投入されています。
ジャンダーギャップ指数の格の差を、社会のあらゆる場面で見せつけられてるようです。

こればかりは、男性には見えにくいかもしれないですね。
また次回驚くべき妊娠・出産のシステムを語ります！