NPO法人つくってみた ③NPO法人の基本
私たちパブリックマインドは様々な法人格の中から特定非営利活動法人(以下、NPO法人)を選びました。さてNPO法人はどのような組織なのでしょうか?
今回は根拠となる法律などルールについて少し掘り下げてみます。
特定非営利活動促進法が生まれたきっかけ
NPO設立の基本的なルールは特定非営利活動促進法に記されています。この法律が制定されたのは1998年ですが、法整備が進むきっかけは1995年の阪神淡路大震災です。
当時の経緯は、小豆島でガイドツアーなどを進めている特定非営利活動法人DREAMISLANDさんの解説が詳しいです。
http://www.dreamisland.cc/npo/06.html
震災後、個人や任意のボランティア団体を含め、延べ100万人を越える人たちが復興のため集まりました。平行して一人一人の活動効果を向上させようとボランティアをコーディネートする市民組織が次々と誕生し、世界中からたくさんの義援金が集まりました。ところが、多くの団体が法人格を持たない任意団体だったため、会計監査に沿った経済支援受けられない。といった障害が発生しました。要するに、お金はあるのに受け皿となる公的な組織がなかったのです。この時、自発的な市民団体の活動を迅速に推進するための新たな組織のあり方や新たな法整備の必要性がクローズアップされました。
まさにこの連載の2回目で記した「いざ手続きやお金のやり取りをするときに法人格が必要になる」という私たちの課題と同じことが起こっていたといえます。
こうした経緯を経て、1998年に特定非営利活動促進法(通称NPO法)が制定されました。
特定非営利活動促進法の目的
第1条にはこのように記されています。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410AC1000000007
第1条 この法律は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること並びに運営組織及び事業活動が適正であって公益の増進に資する特定非営利活動法人の認定に係る制度を設けること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的とする。
阪神淡路大震災で明らかになった「市民活動と組織」の課題を解決すべく、自発的に活動する市民団体を後押しするルールであることが伝わってきます。
20の特定非営利活動
法律の名前となっている特定非営利活動。第2条では「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするもの」として別表に具体的な20の活動が記されています。
◇第2条別表 特定非営利活動
1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2.社会教育の推進を図る活動
3.まちづくりの推進を図る活動
4.観光の振興を図る活動
5.農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
6.学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
7.環境の保全を図る活動
8.災害救援活動
9.地域安全活動
10.人権の擁護又は平和の推進を図る活動
11.国際協力の活動
12.男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
13.子どもの健全育成を図る活動
14.情報化社会の発展を図る活動
15.科学技術の振興を図る活動
16.経済活動の活性化を図る活動
17.職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
18.消費者の保護を図る活動
19.前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
20.前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
どの活動の種類の法人が多いのか?
ちなみに、2021年3月段階でNPO法人の数は50898。
それぞれの法人がどの活動を選んでいるのか調べてみるとこんな感じです。
※一つの法人で複数の活動を選ぶことができます
特に多い(20,000を超える)のは、
1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動2.社会教育の推進を図る活動
3.まちづくりの推進を図る活動
13.子どもの健全育成を図る活動
19.前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
という傾向も見えてきます。
NPO法人として認証を進める際に定款を作成しますがその中で「目的」「特定非営利活動の種類」「事業」などを記す必要がありますので、よく把握しておきましょう。
NPO法人になるための条件
また第2条には条件がいくつか記されています。
・不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする
・営利を目的としないものであること
・宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと
・政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと
・特定の公職(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第三条に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。以下同じ。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと
つまり「公益に資する活動が目的」であり、「営利目的ではない」、主たる目的が宗教の教義を広めるものではない、政治上の主義推進や特定候補者を推薦・支持するものではない、といった内容が求められているといえます。
どんなNPOになるのか?
会社をはじめとして、どんな組織でも「目的や活動内容」を記した定款などの書類を作成することと思います。NPO法人も同じで、第2条に記された条件を満たし、第2条別表に記された20の特定非営利活動の中から選びながら目的や活動内容を整理していくことになります。
次回はNPO法人設立に向けた手続きについて記していきます。
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