美容素人がサロンを立ち上げる!?
日本初のデリケートゾーン専門美容「ピュビケアサロン白金台」を姉妹で立ち上げました。2010年でした。姉妹とはいえ、女性で起業するのはまだ珍しく、お遊び程度のことだと思われる時代でした。2010年創業時に女性ファッション誌で『ゆる起業』特集で取材されるほど。さらに「陰部の陰毛を処理するビジネス」。大変驚かれました。というか、ドン引きされましたが、姉妹のゆるい起業だから話題にはしてもらえたようです。
そんな無鉄砲な創業時代を思い出しながらの「フェムケア維新物語」がご参考になれば幸甚です。
書籍が無理なら、サロンを情報発信基地にしよう!
「あそこのお手入れをビジネスにしよう」と姉妹で会社を立ち上げたのは2009年の冬。まず、世界では当たり前のデリケートゾーンのお手入れを啓蒙すべく、「書籍化を!」。私の前職がファッション誌の編集だったので、新しい文化の発信は書籍だろうという考え、さまざまな出版社に企画を持ちかけました。が、「陰毛をお手入れする!?!?」と、会議室で「アンダーヘア」という言葉が飛び交うのを恥ずかしそうに困惑していた男性編集者たちの顔が思い出されます。「あそこのお手入れ」は世界中て盛り上がる鉄板ネタなのに、、、ガールズトークのノリは会議室では全く通じませんでした。「SEX AND THE CITY(セックス・アンド・ザ・シティ)」の世界観、まわりの男性嫌いだったもんなぁ。
【2009年ってどんな時代だった?】
政治:民主党に政権交代
芸能:マイケル・ジャクソンが死去
社会:草食男子&肉食女子が流行語に
2009年、リーマンショックの余波を引きずりながらも、長らく続いた自民党政権から選挙による初めての政権交代。また、肉食女子の台頭で、世の中は変化を求めるアグレッシブな空気だったのかもしれません。姉妹で起業したのも、肉食女子文化の背景が影響したのかも!?「自立して自分たちの運命は自分たちでコントロールするんだ!」という想いが強かったように思います(創業時のインタビューでも生意気な発言をしていました💦今となってはお恥ずかしい)。
「あそこのお手入れ本」企画が玉砕に終わり、出資を募ってもけんもほろろ。書籍化から始める道筋を諦め「女性による、女性のための、女性に向けたビジネスをするんだ」と気持ちを入れ替え、「サロンを立ち上げて情報発信の基地にしよう!」と妹の社長。「なるほど、サロンというメディア媒体と考えればいいのか。自分でコンテンツを作り上げるのなら編集と似たようなビジネスだ」と私。外資コンサル出身&女性ファッション誌編集出身の姉妹で、美容業界にジョブチェンジとなりました。
さて、サロンをどこで始める?
「サロンを立ち上げよう」と決めたものの、私たち姉妹は海外旅行好き、パーティ好き、ファッション好きで、美容院やネイルには行くけれど、エステは皆無。美容とは無縁の生活をしていました。むしろ暴飲・美食・夜食のタクシー貧乏で。お互いの貯蓄50万円を出し合う資本金でのスタートでしたから。
「デリケートゾーンの美容サロンを立ち上げる」と目標を掲げ、美容業界の先輩たちに教えを乞いました。大方「デリケートゾーンの美容だけなんて無謀だ」と大反対されました。エステのメニューにオプションとしてデリケートゾーンのお手入れを加えるのが良い、と。そうですよね。今なら私もそうアドバイスすると思います。当時、私たち姉妹は美容素人。美容業界のセオリーや慣習など全くわからず「ニッチなビジネスほど、マイクロ法人にはいいはずだ」と、日本で初めてデリケートゾーン専門美容サロンを立ち上げることにしました。
さて、当時の美容事情。
1998年 美容専門雑誌「VoCE(ヴォーチェ)」創刊
2011年 「HOT PEPPER BEAUTY」創刊
バブル時代から90年代はメイクを中心としたトレンドが中心。00年代は美容カテゴリーがさらに大きく成長し、海外コスメの高機能コスメの乱立、スキンケアも注目されるようになっていました。
エステ美容業界は、大手エステチェーンを中心に「フェイシャル」「痩身」がメインで、ローンを組んで施術サービスを購入する時代でした(当時エステ未経験者70%!)。90年代学生の時、道を歩いていたら声をかけられ、何度も軟禁されて契約をさせられそうになった怖い体験もありました。。。このトラウマから、サロンは明朗会計・都度払いに!
今では美容と言えばの「HOT PEPPER BEAUTY」、2011年秋に創刊された時代です。その創刊理由が「エステは値段がどれくらいなのか不安」「どんなサービスが受けられるかわからない」と挑戦したくても二の足を踏んでいる女性が多いのが現状だったからだと💦 エステ美容に挑戦することは、勇気(&お金)のある美容ファイターたち。その先人の娘さん世代が、今の「フェムテック」美容を牽引しています(しみじみ)。
で?
2009年末、物件を探そうと近所の不動産屋さんを訪れました。担当の方に相談すると「美容サロンでしたら、銀座か表参道か青山ですかねぇ。白金台も美容のイメージがあるので、銀座の次に検討される方がいますよ」。白金台は「シロガネーゼ(1998年雑誌『VERY』が生み出した造語)」が流行語になった影響でイメージのいいエリアの一つでした。私たち姉妹が住んでいたのも白金台。自宅近辺の方が便利もいいし、それだったら白金台で物件を探してみようということに。デリケートゾーンのお手入れなんてメジャーではないし、隠れ家的なエリアの方が向いているかも。「アンダーヘア」「陰毛」は人前で口に出してはならぬNGワードでしたし、そんなお手入れをしていると人に知られるわけにはいかない、そんな空気があったこともあり、姉妹喧嘩することなくすんなりと意見が合致しました。
異業種からの参入、美容素人の感覚だったからこそ、挑戦できたのかもしれません。その後、奇跡的な出会いに恵まれ・・・・。「ピュビケア サロン白金台」が生まれました。