盤面コントロールのトレーニング方法

盤面コントロールする事をスクリム前に意識しているだけでは難しい理由

よくスクリム前に「この試合はこういう事を意識してやろう」と意識してスクリムに臨む事はありませんか?
個人的にタスクが少ない序盤に関する場面であれば意識するだけで判断が改善する内容は多いかと思いますが中〜終盤のタスクが多い時に行う盤面コントロールなどはスクリム前に意識するだけで判断力が改善する事は厳しいと思っています。(スクリム前に意識するだけで盤面コントロールの質を上げられる人は居るかと思いますがそれまでに相当数の場数をこなしたりなど稀な例だと思っています。)
スクリム前に盤面コントロールする事を意識するだけでは難しい理由としての問題点は以下の3つがあると思います。

・盤面コントロールの原則について試合前に意識するだけでは単に短期記憶にしかならないので盤面コントロールが必要な4〜5フェーズまでにその短期記憶の保持が厳しい事もあり盤面コントロールについて思考し始めるタイミングが遅れるどころか盤面コントロールする意識すら忘れている恐れもあると思います。
・人間はマルチタスクが増えれば増える程IQが下がると言われています。
IQが下がっている中複雑な思考手順を考えるのは難しいので思考停止してしまう事もしばしばあると思います。
・盤面コントロールにおいて、報告の質や情報処理能力など原則や判断スピード以外にも多くの要素が関わってくる事が考えられます。

どのような練習が効果的か

結論から話してしまうとメンタル面を除いた要素で出来るだけ大会と似た負荷がかかる状態での盤面コントロールの思考を多く経験し、無意識下まで盤面コントロールを落とし込める練習が効果的だと思います。

では具体的にどのような盤面コントロールを練習すれば良いのでしょうか。
勿論スクリムがその練習の場ではありますが毎回盤面コントロール出来る局面になるかも分かりませんし、終盤に人数が残らずタスク負荷が掛からないスクリムになる事もあり、スクリムのみを盤面コントロールの練習の場にするのはあまり効果的ではありません。
なので個人的にはスクリムに加えて盤面コントロールに必要な細分化した要素を練習する事をおすすめします。

盤面コントロールをする上で必要な細分化した要素

では盤面コントロールに必要な要素を細分化するとどのような要素が挙げられるでしょうか。

盤面コントロールの原則の理解
・安置が切り替わった際、盤面コントロールするかの意識と判断スピード
・経過する事に変わる修正力
・タスクが多い中での素早く適切な情報伝達能力
・タスクが多い中での情報処理能力

個人的にはこれらが考えられると思います。
これらの要素を細分化し鍛え、4〜5フェーズにおいて無意識に盤面コントロールを思考し始めるまで落とし込む事で、マルチタスクをこなしているIQが下がった状態でも1つ1つ意識して盤面コントロールをするより容易に盤面コントロールを行えるようになるのではないかと思います。

では下に盤面コントロールをする上で必要な細分化した要素を網羅する2つのトレーニングについて書いていきます。

MAP視点から考えるシミュレーショントレーニング

目的

盤面コントロールの原則を実際に流れで活用する事による演習的理解の向上。
・安置が切り替わった際の判断スピード向上の練習。
・経過毎に変わるリスクヘッジの演習。
・このシミュレーショントレーニングでは時間的負荷や4人全員の配置を考えなければならないので本番必要想定タスク量よりも負荷も掛けられる事。
・4フェーズ以降の安全地帯切り替わり前後の思考のトレーニングを多くする事でスクリムや大会の際に安全地帯切り替わり前後で盤面コントロールを思考する意識のトリガーになる。

方法

MAP視点動画で生存している1チームを選択し、第3フェーズから第4フェーズに切り替わるタイミング、第4〜第5フェーズに切り替わるタイミングで動画を止め選択したチームの立ち位置から持つ情報を素早く整理した後動画をスタートし、安全地帯が切り替わった後に盤面コントロールの原則に基づきチーム全員の配置を決めます。
(判断スピードの向上も考えているので安全地帯が切り替わってから配置を決めるまでの時間を計測し、出来るだけタイムを縮められるように頑張りましょう。)
その後リスクヘッジやエリアを広げる選択肢、安置内にポジションを作るタイミングを考えながらMAP視点動画の経過を見ていきます。
(自分の考えと選択したチームの考えが異なる時もあるかもしれませんがその場合は選択したチームの動きに合わせその都度最善の盤面コントロールの思考を考えます。
また盤面コントロールする事が難しい場面をより早いタイミングで判断する事で盤面コントロールから安置中入りムーブに臨機応変に切り換える思考も身につくようになります。)
重要なポイントは安置が切り替わり前後の判断スピード、原則を基にした組み立て方を思考する事ですので、その後の経過は適宜スキップしながら見ていっても構いません。

活用材料

PMJL公式YoutubeチャンネルのMAP配信を活用するのをお勧めします。
(お勧めする理由としてはムーブ判断スピードレベルの問題や、生存チーム数、など)

また注意点としてPC版の大会のMAP配信や自身が出ていたスクリムの録画を活用するのはあまりお勧めしません。
PC版をお勧めしない理由としてはMOBILE版の競技シーンでは安全地帯円の大きさや視点が違う事によって盤面コントロールする上でポジショニングや生存するチーム数も変わってくる事からMOBILE版の盤面コントロールを行なう上でお勧めは出来ません。
自身が出ていたスクリムの録画を活用するのは実際に一度体験したシーンなので負荷が掛かりにくいと思います。(そのスクリムの反省会をしていたならば尚更です。)

タスクが多い中での情報伝達、情報処理力の向上の為のトレーニング

上のトレーニングを行っただけではあくまで完璧な情報伝達、情報処理力がある理想的な状況を前提にした盤面コントロールを練習しているに過ぎません。
なのでここではタスクが多い中での情報伝達、情報処理力を向上させる為のトレーニングを行います。
以前こちらの記事で紹介したタスクが多い時のキャパシティーを向上させるトレーニングに類似した内容のトレーニングで2人組で行うトレーニングです。

目的

・ADS→エネミーピンを打つ→射撃という流れに並行して発言する事、また報告を聞いた際にマップを開くといった動きがタスクが増える中でスムーズに行えるようにこの一連の流れを反復し無意識下で行えるように落とし込む事で情報伝達力、情報処理力を向上させる。

方法

1枚目と2枚目の画像でおおよそ150度の視野
(150度の視野でトレーニングを行う理由は担当する視野として150度程度が見落としが少なくなおかつ担当出来る最大限の視野角度であるという個人的な考えがあり150度の視野で行う事をおすすめします)


2人組で訓練場でこのトレーニングを行う事をオススメします。
上記画像の位置から動いている的や遮蔽物、マンション屋上窓などをADS→エネミーピン→射撃のルーティンを繰り返しながら下記のようなVCで足し算を並行して行います。

A:2(←適当な一桁の数字)
B:3(←適当な一桁の数字)
A:5(上のA、Bの数字を足した数)   
B:6(←適当な一桁の数字)
A:4(←適当な一桁の数字)
B:10(←上のB、Aの数字を足した数)
3行目、6行目の時にそれぞれBとAがマップを開く

この中で足し算の答えを相手が言った際にマップを開くというルールを設ける事によりただADS→エネミーピンを打つ→射撃というルーティンと並行して発言する事に加え、味方の情報を聞きマップを開いて情報を整理するという一連の流れを無意識下に出来るように癖付けする練習にもなります。
(上の例だとAが5と答えた時にBがマップを開く、Bが10と答えた後にAがマップを開く)
情報処理力は頭の中で整理するだけでなくいかにMAPを開いてイメージし頭の中に入れているかが情報を処理する上で重要になってきますので自分の録画を見返す際にどのくらいの頻度でMAPを開いているかを意識してみると良いと思います。
(理想は味方の報告の時は自分が撃ち合ったり他にタスクが合ってMAPが開けない局面で無ければ必ずMAPを開く。
頻度としては序盤のフェーズであれば最低限1分間に2回以上はMAPを開く癖をつけると良いかと思います)

このトレーニングは長く行うというよりスクリム前やスクリム間などに1分を数セットやるなど短くメリハリを持ってやる事が有効的かと個人的に思います。
またAimLabMobileであったり、Aim Champなどのアプリを活用してフリックのウォーミングアップをされてる方であれば上記の訓練場の代わりに代用して頂いても構わないです。

またこのトレーニングはあくまでADS→エネミーピン→射撃の中で話す、聞くというタスクをスムーズ化したものですので報告の順序を統一化する事はチームで事前に話し合っておく事は忘れないで下さい。
個人的におすすめな報告の順序を書いておきます。

①突貫のありなし(突貫がない場合は省く)
②味方に寄せてもらうか自分が引くかどうかのコール(突貫されず敵が流れる方向に味方がスプリットしている場合味方に報告)
③敵の台数、人数、車種
④進行方向の報告
車両の報告
①敵位置の報告
②射角を取ってプレッシャーを掛けたり、数で潰しにいくといったエリアを広げる為のコール(エリアを広げる動きは時間を掛けるほど相手に対処する余裕を与えてしまうのでエリアを広げる動きをするならば出来るだけ早めに行う必要がある)
③敵位置からのタレットを起点とした突貫などのプレッシャーへの対応の共有(自分が引くor寄せてもらうorカバーを置いてもらうなど味方に対するコールを予め共有しておく)
非車両の報告

この報告の手順であれば早急に必要な対応は即座に味方に報告が出来るような手順になっているのでおすすめです。

終わりに

今回のnoteや過去のnoteで自分のコーチングにご興味があるチーム様は現在コーチとして所属させて頂けるチームを探しているのでTwitterのDMにお問い合わせして頂けると嬉しいです。

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