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JISAIONEさんの曲企画に短編を書きました!『2201tune1R』
さてさて、皆さんこんにちは。
音楽家『JISAIONE』さんのオリジナル曲『2201tune1R』をベースに、詩はcofumiさん。短編小説がPJという遊びをしています。
PJの短編小説のあとは、JISAIONEさんが再びバトンを受けて歌へと展開していくようです。
詳しくは👇
まずは、曲をお聞きください 👇
ウーム、前半の渋いパートと、同じテーマを用いて後半を盛り上げる展開。これはいい曲じゃ。
そして、そこから紡がれたcofumiさんの詩 👇
なるほど、西部劇のような展開。
確かに曲の前半にピッタリ。
ならばPJは、前半の流れを受け継ぎながら、後半の盛り上がりと、そのままオチをつけてみよう!
んで、できた短編(947文字)がこちら 👇
『2201tune1R』(947文字)作:PJ
目が覚める。
最悪の目覚めだ。
残っているのは、昨日の酒と西部劇を見たという記憶。
部屋に散らばる洋服と甘ったるい葉巻の匂い。
隣でいびきをかいて寝ている女は、多分酔って呼びつけたんだろう。
昨日の映画はもう何度も見ている。
古き良きアメリカ映画。
何度見てもいい。
俺はいつもバーボンを飲み、葉巻を吸いながら、映画を楽しむ。
葉巻は悪の親玉が吸っているのと同じ葉っぱだ。
親玉は好きなだけ酒を飲み、女を抱いて、最後にズドンと主人公に心臓を打ち抜かれる。
俺は奴がそのまま前のめりに倒れるシーンが一番好きだ。
倒れた後はピクリともしない。
俺もあんな風に、好きなことを好きなだけやってばったりと死ねたらいいのにといつも思う。
俺はシャワーを浴び、ジーンズに足を突っ込んで、部屋を出る。
女は寝たままだが、いつもみたいに勝手に帰るだろう。
そのままパーキングに行って、自動充電で停めておいた俺の相棒、ホバリングバイク『2201tune1R』にまたがる。
起動してすぐに「フューン」と心地よい回転音を聞かせて、空に舞い上がる。
この瞬間が好きだ。
縛られていた何もかもから、解き放たれた気持ちになる。
ドームに覆われたいつも変わらない晴天の空を飛ぶ俺は、しょせん籠の中の鳥みたいなものだ。
いつか、地球の大気の中で再びホバリングをしたいと願っているのは俺だけではないだろう。
到着した先は、毎日通うホスピタルだ。
健康診断が、俺たちの日課であり義務となっている。
惰性と退屈な毎日の中でも、とくに億劫な時間だ。
まるで見たくもない現実を見せられている気分になる。
それでも、今日の診断が終わったら、俺は一つ楽しみがある。
そう、今日は俺の誕生日なのだ。
制限の中、誕生日は自分の好きなものを政府が用意してくれる。
俺の中では、もう決まっている。
毎年同じだ、あの映画で見るテキサスのTボーンステーキ。
そいつにかじりつきながら、女の胸をもんで、バーボンを飲む。
出来たら、金髪のアッパッパーなボインちゃんがいいが、まあそこはしょうがない。またいつもの女を呼ぶことになるだろう。
さて、コンピューター問診が始まる。
どうせ今年もあのセリフが出るんだろうな。
コンピューターに祝われる誕生日、そんな日が来るとは思いもしなかった。
『PJさん今日も健康です。そしておめでとうございます、223歳の誕生日』
《終》
なんか、ショートショートぽっくなりましたね😁
曲の中の前半の西部劇っぽいところと、後半の未来感をどう表現しようか迷いましたが、結果こんな風になりました😊
こんな感じでいいのかなあ?