よねちゃんさん【旬杯リレー小説】承Cへの転
あの夏、結局僕はキミを見送りにいかなかった。
後から聞いた話だと、キミは最後まで電車に乗り込まず、誰かを待っていたらしい。
それはきっと僕ことだろう。
あの小さな浜辺で見たキミの悲しい笑顔を思いだす。
キミはどんな顔で、電車に乗ったんだろう。
それを思うと今でも心が痛かった。
18になると、みんなこの町から出た行った。
同じ年で残ったのは僕だけだ。
それでも今年の成人式、男子は全員出席するらしい。
あれからキミとは連絡をとっていなかった。
キミはこの町の成人式には来るのだろうか?
僕達の小さな浜辺。いつも二人で見つめていた水平線に、1月1日の日が沈んでいく。
海からの冷たい北風を受けながら、僕はあの日のキミの寂しそうな笑顔を思い出していた。