化石級のゲーマー、乙女ゲーを始める。③
(※この記事からプレイし始めます。プレイの様子だけ読みたい方はこの記事の「1周目、スタート」からどうぞ。)
•switch、襲来。
清水の舞台から飛び降りる気持ちでswitchをポチった翌々日。例のブツは、朝イチにスマートに配達された。何これ、めっちゃあっけないやん…。
はやる気持ちを抑えつつ、ソフト入手検討のため近所のリサイクルショップへ走る。恥ずかしながら生まれてこのかたゲームに強い興味を持ったことがないので、ゲーム機はおろか、ソフトですら自分のお金で買ったことがない。ゲームって遊ぶ前になんの準備すんの。マジで何もわからん。助けて。
〝ゲームソフト、予想以上に高いやんけ!!〟〝なんや!ゲーム機って画面保護シール貼るんかいな…〟
無頓着ゆえに色々衝撃を受けたものの、何とか画面保護シールとハードケースを購入。この時点でときメモのパッケージは店頭になく、ダウンロード版で入手することを強く決意。(あと、セール時期で安かった)
化石級にゲームに興味がなかった女が、ここまでゲームに執心することになるとは。人生何が起こるか本当にわからん。
•1周目、スタート。
初期設定やダウンロードを何とか済ませ、はやる気持ちを抑えつつ初めてのプレイ。家庭機でゲームをしたのは十何年ぶりだろう。タイトル画面を見てる時点でなんかもうエモい。
これからゲームの話しかしなくなるので、先にざっくり説明すると、ときメモGS4は「女主人公がはばたき市にあるはばたき学園で3年間の学園生活を送り、卒業式の日に男性から告白される」という至ってシンプルな女性向け恋愛ゲームです。
「1周目だし、はじめてだから攻略サイトは何も見ずにプレイしよう♪」とルンルン。かっこいい幼なじみの風間玲太(りょうた)くん、クイズ王で陽キャな本多行(いく)くん、お兄さん的な存在の御影小次郎先生など魅力的なキャラが次々と登場。
3年間の学園生活で何をして過ごすか。色々お洋服を買ってみたかった私は早々にバイトを始めることにしました。推しのいるガソリンスタンド・スタリオン石油で。
そう、ここから私の天国と地獄のときメモライフがスタートしました。
•推し、襲来。
なんとなく手芸部に入り、地域誌「はばたきカルチャー(以下はばチャ)」の編集部員をしつつ、バイトも頑張る。
〝推しはそのうち見つけよう。よく分からないので誘われたらとりあえず全部OKしちゃお。〟私の1周目はそんな感じのノリでした。
本多くんの可愛さに当てられ、本多くんとお近づきになれるよう考えながらプレイを進め、御影先生に誘われたら課外授業にもなるべく参加し、バイト代でお洋服買って本多くんとデートを重ねていた矢先…
突然、思わぬところからお誘いが来ました。バイト先の男の子・白羽(しろはね)大地くんです。
彼のことは〝バイト先にいる感じのいいワンコ男子だなぁ〜関西弁かわいい!〟くらいにしか思っていませんでしたが、誘われたらとりあえず行ってみようという八方美人ぶりから二つ返事でOK。
デートの感触はイマイチながらもなんか仲良くなっていき、頻繁に下校イベントを重ね、私の中で大地くんへの好感度が爆上がりしていく中……
2年目の冬。彼は何も言わずバイト先を辞め、それ以降姿を見せることはありませんでした。
何で?何でなん??
最後の下校イベントで、彼は「将来やりたいことがわからない」と珍しく曇った表情を見せていました。それが一層、心をざわつかせます。
大地くんに強烈にロックオンされた私は、あと1年も残された学園生活をどう過ごし、誰と一緒に結ばれたらいいのか、目標を失います。
大地くんのいないバイト先。一緒に行けるといいねと約束して打ち込んだ大学受験。3年目のクリスマス。お正月。
この時の私は、大地くんじゃないなら正直誰からも告白されず1周目終わってもいいテンションでした。
結局あんなにいい感じだった本多くんとは何もなく、御影先生と普通に結ばれて1周目はエンド。
〝キャラデザいまいちだな〟〝乙女ゲーは性に合わないだろうな〟〝デート服ダサい〟。
始める前に考えていたこれらの感情は、1周目を終えて粉々に砕け散っていました。
何をどうしても完璧に告白されてみたい。
白花大地くんに。
(つづく)