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屈折の歪み

駅にて電車を待つ
この一週間は休暇みたいなものだったにも関わらず、なんだかんだ毎日外に出ている
思わずあくびをすると、涙で視界が滲む

涙による光の屈折の歪みって好きだ
目の閉じ具合によってホームの蛍光灯の数が3倍や4倍にもなって伸びたり離れたりする
ただでさえ乱視なのにな

最後にくっきりした光を見たのはいつだったろう そもそもそんなことあっただろうか
月ももう2つ3つ昇るようになってから久しい
とはいえ、稜線はどこまで追いかけてもぼやけていることだし、目に見えているものって視力に関係なく案外曖昧なのかもしれない


涙といえば、いま電車内で目の前に座っている人が、パートナーらしき人と途中の駅で別れてからずっと静かに泣いている 
前髪を触って誤魔化してるんだろうか それにしてはあまりにもバレバレなので、なんだかこちら側が勝手に気まずくなってくる
せっかく座れた席だしここから離れたくもないので、こうして書きながら気を紛らわしている

もしかしたら何かのアレルギーってこともあるかもしれないな
涙のわけは屈折を重ねて歪みつづけていく

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