
執筆した論稿の掲載誌が12月末日刊行予定です。
協力研究員の松川亜矢です。
8月1日のnoteで、音楽を教える「個人教師」のキャリアプロセスについて検討した論稿が学会誌に掲載予定であることをお伝えしました。この学会誌『音楽教育実践ジャーナル』vol. 22が、12月末日に刊行予定です。
この論稿は、「なぜ音楽の個人教師になるのか-職業音楽家としてのディスポジションの変容過程に着目して-」と題して、女性の職業音楽家の事例を検討したものです。
1985年~2020年の国勢調査を見てみたところ、演奏活動を主とする「音楽家」と「個人教師」(いずれも厚労省による呼称)の人数の推移は図1のように表すことができました。

この図から読み取れる内容のうち、本稿では「音楽家」と「個人教師」の間に明らかな職業上の性差が見られることに着目して、音楽の専門教育を長年受けてきた女性にインタビュー調査を行い、得られた語りを分析しました。
本稿で用いた「ディスポジション」という概念は、社会学において、ある状況下での人々の行為の方向づけとなるものを指します。
本稿では、「音楽家」から「個人教師」へと移行するキャリアプロセスにおいて、職業音楽家としてのディスポジションがどのように変容した(変容せざるを得なかった)のかを、音楽大学での学びと関わらせて記述しました。ぜひご一読ください。
※「ディスポジション」を芸術系のキャリア分析に用いた研究として、『芸術する人びとをつくる:美大生の社会学』(喜始照宜, 2022, 晃洋書房)を大いに参考にさせていただきました。また、「ディスポジション」の概念は『ディスポジション:配置としての世界』(柳澤田実ほか, 2008, 現代企画室)で多角的に議論されており、こちらも参考になります。