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ブラームスを聴こう!~特級ガラコンサートの楽しみ方~

たくさんの方に応援いただいた2023年8月の特級ファイナルから、半年。

共に音楽の高みを求め続けた4人の若きピアニストたち。再び4人が集ってひとつの物語を紡ぐ「特級ガラコンサート」が今年も開催されます!
今年の主題は、運命の糸に導かれるように、ヨハネス・ブラームスが遺した4つの美しい小品集となりました。

作曲家・ブラームスの楽曲の魅力を当日のプログラムノートより、抜粋いたしました。文章で、会場の演奏で、配信で、ブラームスの音楽をぜひお楽しみください。


ブラームス 1833-1897 Brahms, Johannes

Brahms, Johannes

ヨハネス・ブラームスは、19世紀のドイツの作曲家で、ピアニスト、指揮者としても知られました。ハンブルクで生まれ、ウィーンで没した彼の作風はロマン派音楽に属しつつも、古典主義の形式美を尊重していました。彼はJ.S.バッハやベートーヴェンとともに、ドイツ音楽の「三大B」の一角をなしています。

特にベートーヴェンを敬愛していたことで知られ、指揮者のハンス・フォン・ビューローは彼が19年の歳月をかけて作曲した交響曲第1番を「ベートーヴェンの交響曲第10番」とまで評したことは有名です。

生涯にわたり、ブラームスはピアニストとしても活躍し、自身のピアノ協奏曲の初演もしていますが、晩年は作曲に専念しました。古典派やバロック音楽への深い愛着も持ち、その影響は作品にも表れています。また一方、ハンガリーの音楽にも触れ、ジプシー音楽の影響を受けた楽曲『ハンガリー舞曲集』などを作曲するなど、新しい音楽への取り組みも見られました。またロベルト・シューマン、クララ・シューマンとの友情は深いものであり、同時代を生きたヨハン・シュトラウス2世、ドヴォルザークとの親交で知られています。

ブラームスの晩年は、オーストリア皇帝からレオポルド勲章を受け、ハンブルク市の名誉市民に推薦されるなど、栄誉と尊敬を集めるものでした。一方、1880年代から90年代にかけて、身近な友人・知人を次々と亡くし、弟フリッツや姉エリーザベトまで失って、心の中には大きな寂しさを抱え、創作力の衰えも自覚して、いったんは遺産の分配や遺書の用意までしていたほどでした。唯一の音楽的な救いはクラリネット奏者ミュールフェルトとの出会いで、ブラームスは久々に机に向かい、クラリネット三重奏曲(Op.114)や同五重奏曲(Op.115)を生み出します。そして1892年、毎夏を過ごした保養地イシュルで、いよいよ全20曲に及ぶ奇跡的な4つの小品集を生み出すことになるのです。そこには彼の最晩年の心象風景が深く刻まれています。

◆ 7つの幻想曲 Op.116

ブラームスがほぼ10年ぶりに手掛けたピアノソロ作品で、3つの奇想曲(カプリッチョ)と4つの間奏曲(インテルメッツォ)から成りますが、曲のタイトルをそれらとは異なる「幻想曲(ファンタジー)」とした理由は定かではありません。「プレスト・エネルジコ(力強く、急速に)」と指定され激しい感情表現を伴う第1曲から始まり、奇想曲は情熱的で劇的な内容を、間奏曲は夢見るような曲想を持ちます。奇想曲と間奏曲の揺らめきによる立体感が、この曲集の特徴といえるでしょう。

◆ 3つの間奏曲 Op.117

「3つの間奏曲 Op.117」も、同じく1892年に作曲され、翌93年に初演された作品です。いずれも対位法が巧みに用いられ、ミステリアスな雰囲気さえ漂う美しい叙情の世界が展開していきます。第1曲には、「バラード集 Op.10」と同じヘルダーの詩「諸民族の声」のなかの子守唄の一節「眠れ我が子よ、安らかに、気持ち良く、お前が泣くのを見るのはたまらないのだ」が添えられています。詩的なリリシズムを湛えた「間奏曲」のみで成り立つ作品という点で、4つの連作の中でもっとも内省的な印象のある作品集かもしれません。クララ・シューマンは最期までこの曲集を折に触れて弾いていたといいます。

◆6つの小品 Op.118

「6つの小品 Op.118」は、1892年から翌年の夏にかけて作曲された作品で、4つの間奏曲とバラード、ロマンスの計6曲が収められています。初演は、クララ・シューマンの愛弟子でもあったハンガリーの女流ピアニスト、イロナ・アイベンシュッツが行っています。ブラームスは彼女の演奏に深い信頼を寄せ、Op.118とOp.119の初演を託しています。 第2曲は、Op.116-119に含まれる20曲のうちでも最も有名な曲かもしれません。ベートーヴェンも最後のいくつかのソナタで用いた「teneramente(愛情をこめて)」という楽語を曲全体の冒頭に抱いたこの作品は、何とも言えぬ優しさを帯び、物静かで夢想するような詩情を湛えています。また、1895年にブラームスがクララを訪れた際に、クララは第5曲「ロマンス」を弾いたといいますし、第6曲は、一説には構想されていながら実現されなかった交響曲第5番の緩徐楽章になるはずの音楽だったとも考えられています。クララに献呈されたOp.118には、ブラームスの美しい愛情が隅々まで満ちています。

◆ 4つの小品 Op.119

ブラームスの最後のピアノ小品集で、同じく1892~93年に作曲されています。この作品集の第1曲をクララ・シューマンは「灰色の真珠」と評し、「不協和に満ちた、極めて悲しげで甘い小品」と述べています。ブラームスの作品の中でも白眉の美しさを持った一曲です。第2曲では小刻みに揺れるリズムの中に不安感のある音楽が展開し、第3曲では晩年の小品集の中では例外的な楽しくユーモラスな場面も聞かれ、終曲「狂詩曲(ラプソディ)」では、ブラームスらしい堂々として英雄的な曲想があらわれます。最後の最後に書かれたOp.119は、ブラームスの人生と作風の集大成といえる内容を持っています。

ブラームス 4つの小品集を特級入賞者の演奏で

Op.116(演奏:北村明日人)

Op.117(演奏:泉ゆりの)

Op.118(演奏:関本昌平)

Op.119(演奏:梅村知世)

ピティナ・今週のプレゼントも「ブラームス」!

音楽家の伝記 はじめに読む1冊 ブラームス

音楽家の伝記 はじめに読む1冊 ブラームス 著者:ひの まどか
貧民街に生まれ、その出自ゆえに故郷に拒絶され、自由と孤独のうちに晩年を過ごしたブラームス。
いまなお名曲として知られる交響曲や協奏曲、また今回演奏される珠玉のピアノ小品が生まれた背景には、作曲家のどんな思いやエピソードがあったのでしょうか。
ブラームスの生涯を知り、晩年の傑作をぜひ「特級ガラコンサート」でお楽しみください。

応募はこちらから🎁

コンサート概要

特級ガラコンサート2023「一輪の薔薇が咲いて」
~特級ファイナリストが紡ぐ、ブラームスの午後~
4つの愛しきモノローグ

日時 2024年2月24日(土) 14:00開演(13:30開場)
会場 J:COM浦安音楽ホール コンサートホール
出演 鈴木愛美、三井柚乃、神原雅治、嘉屋翔太料金一般3,500円/ピティナ会員・学生3,000円

▼特級ガラコンサート特設ページ▼ お申し込みはこちらから


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