飯田有抄のショパコン日記36〜反田恭平さんに会場内でばったり出会う
コンクール会場の周辺やホールなどで、コンテスタントたちとすれ違うことが多々あります。ホテルの廊下で「あ!!今の人はガジェヴでは?!」みたいなことも。
そんな中でもご縁あってか、反田恭平さんとの遭遇率に恵まれております。
今日も会場内で「あ・・・」という声が聞こえ、つと見たら目の前に反田さんがいました!立ち止まってしばしお話。これまで、反田さんの各種メディアインタビューやCDレーベル立ち上げ時など、お仕事で一緒させていただいていますので、ここワルシャワでこのようにお会いできるなんて、やっぱり感慨深いです。
(会場内はマスクがマスト。ショパコン黒マスクがカッコイイ!)
昨日の三次予選直後、ご自身のツイッターでも、演奏後に涙が、というお話を書かれていましたが、どんな涙だったのか、語ってくれました。
「作品に対する思いが強く、このように演奏したいという理想をあまりに高く掲げていたので、そこに到達しきれず悔し涙が出た」とのことでした。
すごく価値ある涙だと思います。
プレッシャーは、現在反田さんが留学中のショパン国立音楽大学の学生としての思いもあるようです。
「数百人がエントリしましたが、現段階で残っているのは二人だけ。学校を背負っている気持ちもあるんです」
すでにコンサートピアニストとして、国内外のホールで数百・数千人の聴衆の心を捉え、客席を沸かせてもいる反田さんですが、やはりここは「コンクール」という場。ご自身のなかでの切り替えは、重要なポイントとのこと。
「やはりここはコンサートではなくコンクールである、ということを意識して、演奏だけでなく髪型や服装にも気を配っているんです。ワルシャワの聴衆の皆さんには演奏を楽しんでもらいたいけれど、審査員の先生は、ショパンが楽譜に書いたあらゆる情報がすべて頭の中にあって、とても厳しい耳で聴いている方もいます。多くの方に応援してもらいたい、という思いで臨んでいます」
そんな中、スタインウェイの方が、ロゴの入ったペンを「お守りに」とくれたそうです。これで、サインを書いてくださいね、と。実際、演奏後には多くの人々からサインを求められて、そのたびにこのペンでサインいるそうです。
とても短い時間でしたが、穏やかに充実したお話を聴かせてくれて、ありがとうございました!