飯田有抄のショパコン日記31〜反田恭平さんを入魂エール耳で聴く!
反田さんならやってくれる・・・そんな思いでこの時間を迎え、ドキドキしながら配信をご覧になった方も多いことでしょう。静まり返った会場に、柔らかに立ち上るような音色で、反田さんのマズルカ Op.56が始まりました。自由にたゆたうような拍感で、耳に心地よく届くデリケートな音色。じっと耳を済ませていると、ショパンの先へと時が進み、スクリャービンの音楽までもが見通せるような気持ちになりました。
ソナタ第2番は堂々たる立派な曲想を浮き彫りにします。密度濃く重なり連なるハーモニーや、息の長い音楽作りからは、今度はラフマニノフまでが見通せる響きを感じ取りました。
そういえば、スクリャービンもラフマニノフもロシアの作曲家。ショパンと、ロマン主義の行く末にある二人のロシアの音楽家とを結ぶような反田さんの演奏は、ご自身もロシアとポーランドで学ぶ経験を経ていますから、自然といえば自然なのかな・・・そんなことにも思いを馳せました。
とても大事に思って選曲した「聖歌『神よ、ポーランドをお守りください』変ホ長調(ショパンによるハーモニゼーション、遺作)」を、間奏曲のように挟み、場面転換からの、「英雄」ポロネーズへ。
力強く突き進む演奏。聴く人を鼓舞し元気付けてくれる音楽です。 わたし、これから先何か凹むことがあったら、この反田さんの演奏動画を見たいと思います! 前へ前へと進むその流れを聞きながら、「Go! Sorita, Go!」と、心の中の応援がなぜか英語になったのは、予備予選からYouTubeコメント欄で、世界中の熱い声が寄せられていたのが心に残っていたからかも。
プログラミングも演奏も、反田さんらしいステージでした! 感動をありがとうございます!
※記事の速報性を上げるため、写真は2次予選のときのものです。
写真:©Wojciech Grzedzinski/ Darek Golik (NIFC)