第19回ショパン国際ピアノコンクール、募集要項発表
新型コロナウイルス感染症の影響で1年延期の後、2021年秋に開催された第18回ショパン国際ピアノコンクールの感動から早3年。通常通り「5の倍数」の年=2025年の開催を目指し、第19回ショパン国際ピアノコンクールの募集要項の詳細が発表されました。
あらたにショパンコンクールを楽しみにしている方のために、大まかなスケジュールを整理してみましょう。
「ショパンコンクール」と一言で言っても、演奏を希望するピアニスト全員がワルシャワに行って審査員の前で演奏できるわけではありません。大きく3つの段階があり、私たちが普通「ショパンコンクール」と呼んでライブ配信や多くのレポート記事を楽しんでいるのは10月に行われる「本大会」の部分を指します。そこに至るまでには、ビデオ審査と予備予選を通過しなければなりません。
各段階をもう少し詳しく見てみましょう。
(1)出場者選考(ビデオ審査)
・指定課題曲の演奏動画を提出
・書類、推薦状など必要書類を合わせて提出
・申込期間 2024年9月2日~12月15日
※原則として160名を予備予選へ選出(2025年3月5日までに発表)
(2)Preliminary Round 予備予選
・指定課題曲の演奏審査
・日程 2025年4月23日~5月4日(ワルシャワ)
※原則として80名を本大会へ選出(2025年5月9日までに発表)
(3)Competition 本大会
・各ラウンド指定課題曲の演奏審査
・日程 2025年10月2日~23日(ワルシャワ)
※1次予選=10月3日開始 ※最終結果発表=10月20日
・1次予選、2次予選、3次予選、本選の4段階での審査
最後の最後、10月下旬に行われるオーケストラとの本選に至るには気の遠くなる道のりを進まなければならないことがあらためて分かります。
実はこのビデオ審査や予備予選を免除されて、ダイレクトに次の段階へ進むことができる「近道」の枠があります。それは、ショパンコンクールが指定する他のピアノコンクールで入賞することです。
ア)ダイレクトに「本大会」に参加する権利を得るコンクール
以下のコンクールで第1位または第2位に入賞している者
・エリザベート王妃国際音楽コンクールピアノ部門(2021年)
・パデレフスキ国際ピアノコンクール(2022年)
・ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(2022年)
・浜松国際ピアノコンクール(2024年)
・リーズ国際ピアノコンクール(2024年)
・アルトゥール・ルービンシュタイン国際ピアノコンクール(2023年)
・ブゾーニ国際ピアノコンクール(2023年)
・ショパンコンクールinマイアミ(アメリカ、2025年)
・ポーランド国立ショパンコンクール(ワルシャワ、2025年)
イ)ダイレクトに「予備予選」から参加する権利を得るコンクール
以下のコンクールで条件を満たす者
・ダルムシュタット・ショパン国際ピアノコンクール(2022年、第1~3位)
・カナダ・ショパンコンクールinトロント(2025年、第1~3位)
・ショパンコンクールinASIA(東京)(2024~2025年、3人選出)
・日本ショパンピアノコンクール(第1~2位)
・サンパウロ・ショパンコンクール(2024年、第1位)
・ショパンコンクールinマイアミ(アメリカ、2025年、第3位受賞者)
・ポーランド国立ショパンコンクール(ワルシャワ、2025年、第3位受賞者)
これらの資格を持たないピアニストは全員、ビデオや書類を準備して出場者選考に第一段階から応募することになります。
出場者選考用のビデオ審査では、フレデリック・ショパンの以下の作品が指定されました。これも、毎回、マズルカが入ったり、バラードや舟歌などで指定される楽曲が変わったりと、細かく入れ替えが行われています。今年は「24の前奏曲」が入ったこと、マズルカが入っていないこと、バラード第2番または第3番のいずれかを演奏すること(逆に有名なバラード第1番や第4番を選べないこと)などが特筆されます。
2025年を目指す世界中の若きピアニストたちは、いよいよこの課題やスケジュールに沿って準備をスタートすることになります。2025年10月に向けて、ピティナでは随時この大きなピアノ音楽の祭典の情報をレポートしていきます。お楽しみに!
文中写真:©Wojciech Grzedzinski/ Darek Golik (NIFC) (2021年、第18回ショパン国際ピアノコンクールの光景から)
※文中に記述した第19回ショパン国際ピアノコンクールの日程・課題曲・ルール等は、公式サイトよりピティナ編集部が抽出したものですが、応募・見学を希望される方は必ず公式サイト本体をご覧いただき、ご自分で正確な情報をご確認ください。