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特級ガラコンサート演奏曲紹介とショパンコンクールの名演 Vol.4~前奏曲 嬰ハ短調 Op.45

特級ガラコンサートが、いよいよ1週間後、2月11日(火・祝)にせまってきました。ショパンコンクールの名演で振り返る、ガラコンサート演奏曲のご紹介も先を急ぎましょう。

大山桃暖さんが、第1部の最後に演奏するのが、「前奏曲 嬰ハ短調 Op.45」と「スケルツォ第4番 ホ長調 Op.54」。ショパン31~32歳頃、次々と後期の傑作が生みだされた時期の名作です。

特級ガラコンサートでの演奏曲目と簡易年表(当日のプログラムノートより)

ショパンコンクールでは、「前奏曲 Op.45」が指定課題(の選択肢)として入ることは稀で、むしろ、「あとは残り時間に自由に作品を入れてください」と演奏者に委ねられる部分で、自分の個性を引き出すために、それぞれのコンテスタントが自由に選ばれるなかで登場します。演奏者たちは、それぞれの選曲の文脈の中で、この静謐で祈るような美しい前奏曲を配置しています。

登場する可能性があるのは「自由選択」が入る余地がある第2次予選と第3次予選です。

まずは第2次予選で演奏したピアニストから。


アレキサンダー・ガジェヴ(2021年第2位、第2次予選)

このときのガジェヴさんの2次予選のプログラムはこちら。

前奏曲 嬰ハ短調 Op.45
舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
ポロネーズ第5番 嬰ヘ短調 Op.44
ワルツ第5番 変イ長調 Op.42
バラード第2番 ヘ長調 Op.38

作品番号が比較的大きい(後期に近い)作品を並べたプログラムの中で演奏しています。

ユリアンナ・アヴデーエワ(2010年第1位、第2次予選)

優勝したアヴデーエワさんの2次予選のプログラムはこちら。緩急自在のプログラムで独特の世界観を描き出しました。

ワルツ 変イ長調 Op.34-1
幻想曲 ヘ短調 Op.49
4つのマズルカ Op.30
スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
前奏曲 嬰ハ短調 Op.45
ポロネーズ第6番 変イ長調 Op.53 「英雄」

2021年に見事に第4位に入賞した小林愛実さんが、2015年に出場したときには、第2次予選でこの前奏曲を入れていました。

小林愛実(2015年ファイナリスト、2021年第4位、2015年第2次予選)

舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
前奏曲 嬰ハ短調 Op.45
バラード第1番 ト短調 Op.23
ワルツ ヘ長調 Op.34-3
ポロネーズ第6番 変イ長調 Op.53 「英雄」

一方、本選(ファイナル)進出をかけた自由なリサイタルラウンドである第3次予選で演奏するピアニストも多いです。

マルティン・ガルシア・ガルシア(2021年第3位、第3次予選)

このときのガルシア・ガルシアさんの3次予選でのプログラムはこちら。Op.28(24の前奏曲)からも前奏曲を散りばめ、メインにソナタ3番を持ってくる美しいプログラムでした。

前奏曲 変イ長調 Op.28-17
前奏曲 変ホ長調 Op.28-19
前奏曲 ヘ長調 Op.28-23
ソナタ第3番 ロ短調 Op.58
3つのマズルカ Op.50(ト長調/変イ長調/嬰ハ短調)
前奏曲 嬰ハ短調 Op.45
ワルツ第4番 ヘ長調 Op.34-3

2015年大会で熟成された音楽作りで高い評価を得た第2位のシャルル=リシャール・アムランさんも、第3次予選(セミファイナル)でこの前奏曲を選択しています。


シャルル=リシャール・アムラン(2015年第2位、第3次予選)

前奏曲 嬰ハ短調 Op.45
舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
マズルカ集 Op.33
ノクターン ホ長調 Op.62-2
ソナタ第3番 ロ短調 Op.58

ショパンコンクールでは、特に2次予選・3次予選において、「ショパンの名曲を、曲想、調性、意味、時代などあらゆる要素を加味しながら、どのように並べるか」というプログラミングのセンスが強く問われます。

一方、特級ガラコンサートも、特に第1部では、ショパンの珠玉の名作をこだわりの順序と演奏者でお届けします。

ノクターン第13番 ハ短調 Op.48-1(南杏佳)
ノクターン第16番 変ホ長調 Op.55-2(山本悠流)
ソナタ第2番 変ロ短調 Op.35 「葬送」(塩﨑基央)
前奏曲 嬰ハ短調 Op.45(大山桃暖)
スケルツォ第4番 ホ長調 Op.54(大山桃暖)

特級ガラコンサート 第1部プログラム

4人が作り出すショパンの物語を、ぜひお楽しみに!



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