映画『鳩の撃退法』の感想
ネタバレはないと思います。画像はあつ森でつくったあったかもしれない場面。
KIRINJIの曲を映画館で聴ける重要なチャンスなので映画館に行った。
長い間くすぶっていてまわりから書け書け言われてる小説家・津田(藤原竜也)が苦肉の策でだしてきたアイディアを編集者・鳥飼(土屋太鳳)に読ませたり聞かせたりする話。編集者は話がリアルすぎて小説家の実体験ではないかと疑う。小説って実体験でも別にいいはずだけど、立件されてなさそうな事件が複数出てきて編集者は危ぶむ。小説家には受賞歴もあるが前科もあるので。ついには編集者は現地まで行って真相を確かめる。
「アイディア出し」なのだ。当時を振り返り、再現VTRのテイで、小説のこんな展開はどうか、という津田の提案なのだ、と思って見ていた。津田が分裂したり、お金を燃やすシーンなどからそう思うしかなかった。それ(再現VTR)にしては映像としてやりすぎてて笑、だから本当にあったことなのか、ただのアイディアなのかがわからなくなる!それが楽しいイイイイ!という映画だった。
あと鳥飼にいう津田の「小説に書いちゃいけないことってなんだ?」とか「トゥーマッチインフォメーション(語りすぎ)だ」とか、津田の信念みたいなものが全体に漂っていて、ヒントになってたのかなと思う。語りすぎないのは例えば津田に重要な情報やアイテムを与えるカフェ店員の沼本ちゃんは頻出人物なのに、プロフィールが語られないのでリュックから出てるドラムスティックで バイト中のバンドマンなのかなとか軽音楽部の学生なのかなと想像するしかなくてすごい心に残った。実家に行ったときもお父さん何してる人?とかめっちゃ聞きたかった。これはいちばんどうでもいい部類のやつで、他の重要なことにも、想像の余地が多く残された作品だった。
音楽にはオープニングから心を奪われた。不穏でどこか凝んがらがった展開の、堀込高樹という感じの曲がかわるがわる流れて幸せだった。タイミングもすごくよかった。この映画は低い音程で落ち着いた喋り方の俳優さんがたくさん出てきて嬉しかったんだけど、その中で最後に聴こえる高樹の声は対照的に高く美しくてとても映えた。と思う。
最大のテーマとなる「どこまでうそ(小説)で、どこまで本当(現実)か」は正直全然無理。あと2回くらい観ないと無理。なのに終わり方はスカッとしてるから、大好きと言える謎の映画。「音楽 堀込高樹」だけが目当てだったのに!
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