免疫応答
抗原の侵入:不意の来訪者
静かな村(体)に突如、見知らぬ者たち(抗原、例:ウイルスや細菌)が侵入してきた。警備隊(先天的免疫)はすぐさま動き出す。
第1の防衛:壁の防御
村の外壁(皮膚や粘膜)は、侵入者たちの進行を遅らせるが、あるいは彼らはそれを乗り越えてしまうこともある。
第2の防衛:警備隊の介入
侵入者たちが内部に入ると、警備隊の中でも先駆けて戦う好中球やマクロファージが彼らに立ち向かう。マクロファージは侵入者を捕まえ、食べる(食作用)。そして、侵入者の情報を特別な伝令(抗原提示細胞)として村の議会(リンパ節)へと報告する。
議会の召集:免疫応答の準備
この報告を受けて、議会はヘルパーT細胞に警報を発する。ヘルパーT細胞は情報をもとに、村の防衛のための特別な部隊(B細胞やキラーT細胞)を呼び起こす。
特別部隊の行動
B細胞は、特殊な武器(抗体)を大量生産し始める。この武器は、侵入者にピタリと合う形をしており、彼らを無力化する。一方、キラーT細胞は、侵入者に感染した村の住民(細胞)を見つけ出し、破壊する。
戦いの終息と後日談
数日の激しい戦いの後、侵入者たちは撃退され、村は再び平和を取り戻す。しかし、議会はこの経験を忘れないよう、メモリー細胞として情報を保存。次回、同じ侵入者が訪れた際には、より迅速に反応できるようになるのだ。
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1. 免疫の初期反応:先天的免疫
物理的・化学的障壁
皮膚や粘膜が初の防御線。多くの病原体の侵入が阻止される。
胃酸や酵素などの化学的要因も病原体の進入を防ぐ。
免疫細胞の活動
好中球やマクロファージが感染部位に移動し、病原体を取り込む(食作用)。
2. 抗原提示
抗原提示細胞が病原体を分解し、その一部を細胞表面のMHC分子に結合してT細胞に表示。
3. 体液免疫と細胞性免疫の開始
ヘルパーT細胞の活性化
抗原提示細胞に提示された抗原を認識すると、ヘルパーT細胞は活性化。
B細胞の活性化と抗体の産生
B細胞もヘルパーT細胞からのサポートを受けて活性化。
活性化されたB細胞は形質細胞に分化して抗体を産生。
IgM:初めて侵入してきた病原体に対して最初に産生される抗体。大きなサイズで、急速な反応を行う。
IgG:IgMの後に産生される。体内で最も多く存在する抗体で、ウイルスや細菌に対して長期的な免疫を提供。母体から胎児への免疫物質の移行も行う。
キラーT細胞の活動
ウイルスに感染した細胞や腫瘍細胞を特異的に認識し、破壊。
4. 免疫応答の終息と記憶
サプレッサーT細胞の役割
免疫応答が一定の段階に達すると、サプレッサーT細胞が過剰な反応を抑制。
メモリー細胞の形成
一部のT細胞とB細胞はメモリー細胞として長期間体内に残る。
免疫グロブリン
免疫グロブリン(Ig、抗体とも呼ばれる)は、B細胞由来の形質細胞が産生するタンパク質であり、病原体やその他の外来物質に特異的に結合する能力を持つ。抗体は5つの主要なクラスに分類され、それぞれが異なる構造と特定の機能を持つ。
IgG (免疫グロブリンG)
特徴: 最も一般的な血液中の抗体で、4つのサブクラス(IgG1, IgG2, IgG3, IgG4)が存在。
役割: 主に細菌やウイルスに対する防御に関与。母から胎児への胎盤を通じての免疫の移行も担当。(胎盤透過性がある)
IgM (免疫グロブリンM)
特徴: ペンタマー構造を持つ大きな分子。B細胞が初めて抗原に反応した際に最初に産生される。
役割: 初期の免疫応答を担い、特に血液中の病原体の凝集や補体系の活性化に関与。
IgA (免疫グロブリンA)
特徴: 主に粘膜表面に存在。分泌型IgAは二量体構造を持ち、シクレタリー成分と結合。
役割: 粘膜の表面での防御。消化管、呼吸器、泌尿器などの粘膜で病原体の侵入を防ぐ。母乳中にも含まれ、乳児への一時的な保護を提供。
IgD (免疫グロブリンD)
特徴: B細胞の細胞膜に存在する抗体。血液中の濃度は低い。
役割: 主にB細胞の受容体として機能。B細胞の成熟や活性化に関与するものと考えられるが、全体的な機能は完全には解明されていない。
IgE (免疫グロブリンE)
特徴: アレルギー反応に関与する抗体。血液中の濃度は非常に低い。
役割: アレルゲンに反応してマスト細胞や好酸球を活性化、アレルギー反応を引き起こす。また、寄生虫の感染に対する防御にも関与。
これらの抗体は、免疫系が体内の異物や病原体に対してさまざまな方法で対応するための主要なツールとして機能しています。