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PTA改革は予算改革から始まる
一人で執行部に会長として乗り込んだはいいものの、他の執行部員から相手にされない日々が続いていた。今思い返せば、相手にされなかったのではなく、自分たちもどのようにすれば良いのか分かっていなかったのだと思う。これまで通りのPTAしか知らず、それを変えてはならず、継承し続けなければならないと思い込んでいたのだろう。たかがPTAをなぜそこまで頑なに守りたいのか、私には一切理解できなかった。
私の当初の考えでは、会長になり、執行部員と話し合い、多くの保護者が望む形に変えていくことだった。しかし驚くことに、まず話が通じない。同じ日本人なのかと思うほど話が通じない。それがLINEなどの文章になると、なおさら理解できなかった。私の話を理解できないのか、最初から理解しようとしていないのか、改革に関する話をしても全く話が進まなかった。2学期が始まった頃には、理解してもらうことを諦め、PTA改革を理解できる人を探し、来年度から一緒に進めていくしかないと思った。
誰も信じられない状況だったが、何とか人を集めないと話にならない。このままでは1年間を無駄に過ごしてしまうと思った私は、人集め以外に一人でもできることが何なのかを模索した。そして目を付けたのが「予算」だった。
改革の話をすると、いつも出てくるのが「お金」の話だった。「お金がないとあれができない、これができない」という話ばかりだった。だったら、その根源である予算を一つ一つ見直してやろうじゃないかと思った。今回はその予算について書き進める。細かく書くと様々あるが、ここでは大きな経費削減の話に絞り、書き進めていく。もしかしたらつまらない内容かもしれないが、この予算を見直すことが最善手だったことに次年度気付くことになる。PTA改革は予算が全てと言っても過言ではないだろう。
まず予算書を見ると、いきなり会議費に11万円という数字が飛び込んできた。パッと見たら会議室を借りたりしてお金がかかるのかと思った。しかし会議は公民館で行われているため、お金はかかっていない。では一体何に使われていたのか?なんと他校との飲み会代に10万円も使われていたのだ。こんなふざけた話があるのかと思った。ベルマークをやらせて集まるお金が約5万円ほどだが、その2倍の額を飲み代で使っていた。他の保護者には働かせておいて、自分たちは美味しいものを飲み食いしていたのだ。確かに近隣校との連携や相互理解は必要だろうが、別にそこで飲食を伴う必要はなく、公民館で様々なことを話し合えば良いだけではないか。それに伴うお茶代くらいは普通のことなので経費として計上しても構わないし、ほとんどの人はそれだと思っていたはずだ。
これを執行部の人たちに伝えると、烈火のごとく「私は必要だと思います!」と言われた。そこにもう一人のメンバーも「私も全く同意見です!必要だと思います!」と乗ってきた。他のメンバーは何も言わず、この二人と同意見のようだった。私は「この事実を会員が知ったらどう思うでしょうね。そもそもお酒を飲む必要がありますか?」と言って終わった。この事実を次の年度に公表した。当然ながら会員からは怒号が飛び交った。私はこの腐った慣習を取りやめ、飲み会に参加する際は自費で参加するようにした。
次に消耗品の話に移る。これに18万円も計上していた。様々なお知らせを紙で行っていたため、その用紙代やインク代がほとんどの支出だった。また、もう一つ「印刷製本費」という項目が30万円計上されていた。これはPTA要覧とPTA新聞で使用するとのことだった。こんなの、紙での配布をやめてPDFで配信すれば5千円以内で済ませられると思った。そもそも、PTA要覧なんて誰が見ているのか?もらったらすぐに捨てられる冊子に約10万円が使われていた。また、PTA新聞についても、「何のためにあるのか分からない」と思う人が多いのではないだろうか。作りたい人がいれば勝手に作ればいいが、保護者に無理やり作らせるのは意味不明だった。しかもこれに約18万円も使っていたのだから驚きだ。
この話とつながりがあるので、そのまま通信運搬費に移る。この予算は18万円で、内訳はPTA室の電話・インターネット代、メール配信システム代、切手代などだった。ネット代が年間約7万円、メール配信システム代が9万円と、この2つが大部分を占めていた。これらの「消耗品」「印刷製本費」「メール配信システム代」を合わせて約57万円も使っていることに愕然とした。しかし、なんとこの3つを解決する方法を見つけてしまった。
上記のメールシステムは無料でメール配信ができる。文章だけでなく、PDFも添付できる。このメールシステムを導入したことで、57万円をまるまる削減することに成功した。まず、用紙やインク代がほぼゼロになり、要覧と新聞はPDFでの配布に変更。さらに、メールシステム代も無料になった。この無料のメール配信については、前会長も知っていたはずなのに、なぜか取り入れず、有料で劣化版のシステムを使っていた。邪推だが、前会長はその会社と何らかのつながりがあったのか、もしくは面倒で変えなかったのだろう。理由は謎のままだ。
インターネット代の話になるが、そもそもネットなんかPTA室に必要ない状況だった。なぜ必要なのか紐解いてみると、どうやら学校側が使ってるということがわかった。なぜ学校業務のことを我々保護者が支払わなければならないのか甚だ疑問だった。それを校長に伝え、解約した。これは我々保護者が支払うものではなく、市が払うものと断定したからだ。結局今までPTAが契約していた回線がなくなったため、学校側は学校が別で使っているネット回線を利用することになった。そんなことできるんだったら最初からやれよと思うかもしれないが、今まで誰もこれを突っ込む人がいなかったのだろう。これに関しても校長を含め誰一人として知っている人はいなかった。これで9万円の支出もなくなった。
最終的に、上述した「会議費11万円+印刷製本費30万円+消耗品18万円+通信運搬費18万円=77万円」が約2千円になった。20万円ではなく、2千円だ。本当にバカげた話だが、現実としてこれが実現した。「金をどぶに捨てていた」とはまさにこのことだ。
続いて、貸借料の話だ。これはAEDや複合機のリース代に19万円が支払われていた。メールシステムをフル活用することで複合機の使用はほぼなくなったため、契約満了時に解約することにした。また、AEDについて調べたところ、学校に2台設置されており、そのうち1台をPTAが負担していた。しかし、1台で十分カバーできることが分かり、契約満了で解約することにした。もちろんAEDがあればあるほど良いことは理解している。しかし、それを定めるのが基準というものだ。教育委員会が定める基準内の設置数が1台なら1台でいいのだ。この二つのリース代の解約で19万円が不必要となった。ちなみに、このAEDリース代の件は学校側も把握しておらず、野放し状態だった。
以前の記事でも触れたが、PTAの連合体は単位PTA(それぞれの学校単位)→市PTA連合会→県PTA連合会→地方PTA連合会→日本PTA連合会と上部組織が連なっている。それらの大会に会長が参加する際の旅費が17万円計上されていた。はっきり言って、こんな大会に参加する意味も意義も一切ない。「会長だけが無料で旅行に行ける」というこのふざけた予算は、多分どこの学校でも計上されているので、確認すると良いだろう。私は「参加したければ会長が自費で参加する」というルールに改めた。
さらに問題となる予算があった。それが「姉妹交流費」だ。その名の通り、他校と交流するための費用だが、相手校が相当遠い学校で、6年に一度直接相手の学校を訪問し交流を行うものだった。この交流費用に27万円が計上されていた。7万円が毎年使用する費用(それぞれの県の特産品を贈りあったり、児童が作った作品を贈ったりする)で、20万円が直接交流の際にかかる費用の積立金だった。6年で120万円が積み立てられ、そのうち迎え入れ時に約40万円、訪問時に約70万円が使われていた。
児童4人、学校から2人、保護者2人、交流会の会員2人の計10人がお互いに直接交流を行うという形式だった。私が会長の時には相手を迎え入れた。だが、これがまたふざけた話で、普通なら子どもたちが交流するためのイベントと思うだろうが、実際は大人たちの観光や飲み食い代に費用の大半が使われていた。この交流会が終わった後、使用した経費一覧を見たが、子どもたちより大人たちに多くの費用が割かれていた。訪問時も同じことが言える。
そもそも、なぜ子どもの数より大人の数が多いのか、という疑問が湧いた。細かく書けば1つの記事ができるが、要点をまとめると「ただ大人たちが無料で旅行し、飲み食いするためのイベント」でしかなかった。この事実を公表すれば大問題になると思い、オブラートに包んで会員に説明したが、今でもこの姉妹交流には私は否定的であり懐疑的だ。
もちろん、子どもたちが交流すること自体は良いことだと思う。しかし、実際に子どもたちが交流したのは3泊4日のうち2日目の午前中だけだった。それ以外は観光して帰るだけの内容だった。こんな交流は必要ない。ただ一部の大人が交流したいだけなら、自分たちのお金でやれば良いと強く思った。結局、このイベントは学校行事として学校に運営を委ね、PTAから費用が支払われることはなくなった。その結果、27万円の経費削減に成功した。
以上のように、大きな経費として挙げたものは以下の通りだ。
会議費:11万円
印刷製本費:30万円
消耗品:18万円
通信運搬費:18万円
貸借料(AED・複合機リース代):19万円
会長会合旅費:17万円
姉妹交流費:27万円
これらを合計すると140万円になるが、これらを徹底的に見直すことで、ほぼゼロに近い金額に削減することができた。また、PTA会費は年間5,000円だったが、同じ会員数を確保できれば年間500円以内で運営できるほどになった。
しかし、ボンクラ執行部にこのことを説明したが全く理解できず、例年通りの予算編成を続けた。保護者に無駄な負担を強いる活動をやめる気配は全くなかった。この人たちの行動は「人を支配したい」という欲求から来るものだったのだろう。全くお互いにお互いを理解できないまま1年が過ぎた。
私は次年度の執行部を改革派で固めるため、秘密裏に候補を集め、新体制を整えた。これでようやく次の記事から実際の改革について詳しく書くことができる。ボンクラ執行部員は半数残るものの、過半数を改革派で占めるため、妨害されることはない。この1年間、陰口をたたかれながらも改革に向けて準備を進めてきた。
さあ、改革の始まりだ!
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