PTAを継続的に運営するためには(PTAはカメレオン的な組織である)
「PTAを複数年続ける」ということ
私たちが子どもの頃からコロナ前まで続いていた旧態依然としたPTA組織であれば、自分から何年も続けて携わろうという人は稀有な存在だったと思います。しかしながら、これまで書いてきた通り、
・コロナで旧弊が断絶したこのタイミングで、
・これまで積み重ねられてきた準公共機関的な信頼を活用して、子どもたちのためになることに自由に取り組める
ということであれば、PTAをやってみよう、そしてやってみると、もう一年やってみよう、と思う方もこれまでよりは増えてくる・・・かもしれません(笑)
そのように、複数年に渡ってPTAに携わろうとする際にご注意いただきたいのが、PTAはカメレオン的組織である、という点です。
カメレオン的組織とは
公共機関であろうと民間企業であろうと、組織としての目的は一定程度は継続しており、その組織風土や指向性はそう急激に変わるものではありません。
しかし、PTAは違います。
もちろん、組織としての目的である「保護者と教職員が協力して、子どもの健全な育成を図ること」は不変の理念です。
しかし、組織風土はその年によってまるで異なります。役員、委員の色が赤ければ赤く、青ければ青く、構成員の色によって組織風土の色がガラッと変わる、染まる。まさにカメレオン的な風土を持つ組織なのです。
カメレオン的組織風土の具体例
例えば、私が参加する前年のPTAは、ある種牧歌的なPTA像ともいえる、専業主婦の母親保護者が中心となり、その価値観に沿って運営するものでした(父親は会長のみ)。
一方で、私が入った初年度はお互いの友人関係をベースにしながらも、afterコロナの新しいPTA像を模索しようという意欲にあふれた方が多くいた「明るく朗らかに新しい取り組みにトライしてみる」風土でしたし、ある年は「仕事をこなす」「業務を改革する」ことに主眼をビジネス仲間に近い雰囲気の「仕事としてPTA業務を捉えありようを改革したい」という風土でした。またある年は、あだ名で呼び合うなどキラキラした雰囲気で「自分のやりたいことにどんどんトライしてみる(もちろん目的は子どもたちのため)」風土でした。
このように、少なくとも私が知っている4年間でも、組織風土は毎年毎年参加者の色によりカメレオンのように変化していました。。
カメレオン的組織であることの不可避性
民間企業や公共機関では、先ほど書いた通り、長年かけて形成されてきた組織風土はそう変わるものではありません。もっとも、強い権力を持つ人間が入れ替わり、その人物が全く別の組織風土を志向した場合は、そちらにシフトしていくことはあり得ます。
一方で、PTAにおいてそういうことは本来的にはあり得ません。なぜなら、PTAは純然たる任意団体だからです。純然たる任意団体である以上(この「真に」はポイントで、建前上任意団体でも実質的に強制加入である団体は世の中に多くあります)、入会・退会は自由ですし、それは役員や委員についても同じです。PTAに大なり小なり参加している保護者は、皆忙しい中で、子どもたちのためにと、自分たちのできる範囲で任意団体加入者として活動に参加しています。
そのような組織において、例えば複数年勤めている会長や副会長が、上述のような「強い権力を持つ人間」のように何らかの組織風土(またはその風土への変革)を強いることができるでしょうか。もちろんできません。例え試みたとしても、そのような組織は早晩に自壊し、PTAはその機能を失ってしまうことでしょう。
つまり、PTAが任意団体として正しく機能している状況下においては、その時々に属する構成員の性格、指向などによりその組織風土は変わらざるを得ないものであり、PTAがカメレオン的組織であることは必然の帰結と言えます。
※なお、色々なPTAの話を伺っていると、地域性が非常に強く地域や過去からのしがらみに雁字搦めになっているPTAにおいては、その時の役員よりも過去の役員などの力が強く、それゆえに硬直的な運営が求められ、人が変わっても組織風土が変わらないことはあります。ただし、その分参加者の意欲は非常に低くなりますし、そもそもそのPTAが存在する価値があるのかどうかについては客観的な考察が必要だと思いますが。そう考えると、カメレオン的組織ではないPTAは、本来あるべきPTAのあり方からむしろ逸脱していると言えるのかもしれません。
(まとめ)PTAに継続的に参加していく上で重要なこと
以上のように、PTAがカメレオン的組織であることが必然なのであれば、PTAに継続的に参加していく上で認識しておくべき重要なことは次の内容になります。
・PTAはその年の構成員の性格や志向によって組織風土が異なる
・複数年参加している構成員は、「これがこのPTAの組織風土だ、やり方だ」という固定観念を持つのではなく、その時の構成員の特徴を活かす新たな組織運営をする必要がある
・ただし、PTAの根幹である存在理由だけは不変
要は、子どもたちのためになることを、その時々のメンバーで自由に創意しながらやっていくことが大切、ということですね。これは組織のマネジメントスキルとイコールのものなので、結果的にそういうスキルが養われるという副産物もあるのかもしれません。
これから管理職になる、マネージャーになるという方は、一度PTAを運営してみるとよい経験になるのかもしれませんね。