PTAの任意団体性について

PTAは任意団体

皆さんご存知の通り、PTAは任意団体であり、(一般社団法人)全国PTA連絡協議会でも、次の通り記載されています。

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PTAとは、各学校で組織された、保護者と教職員による社会教育関係団体のひとつです。任意の団体とは、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体です。PTAは任意加入の団体であり、結成や加入を義務付ける法的根拠はありません。
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一方で、我々の親世代からコロナ前までは、これまたご存知の通り、任意団体とは名ばかりのある種強制的に参加が義務付けられているようなPTAがほとんどでした。
(PTAのTが所属する学校から見ても、PTAを介することで学校運営に保護者の協力が得やすい状況にあり、特段反対する理由もなかったわけです。市町村と自治会みたいな関係かもしれませんね)

「PTA任意団体問題」の顕在化

この「PTA任意団体問題」が、近年顕在化しています。
コロナになり、これまで慣習的に続いてきた様々な行事、PTAが存続することを主目的とするような行事の数々が停止されると、

「そもそもこういう活動は必要なのか」
「なんでそもそも半強制的に加入させられてるんだ」

という当然の疑問が沸いてくるわけで、「任意団体として本来あるべき姿にしなければならない」「そもそも何故最初から加入させられているのか」「脱会できないのか」という当然の声が全国で保護者の方から湧き出てきています。

旧来PTA的な視点での任意団体問題の見方

それに対して、旧来PTAがどんなことを考えるのか。
大概は次のような感じです。

・任意団体というところをしっかりやり過ぎると、入会率が下がる。
・入会率が下がると、できることが減る。さらに入会率が下がる。
・その結果、PTAの存続が危ぶまれる。

要は、「PTAを存続させるために任意団体であることをぼかさなければならない」という考えですが、一番大切な根本のところが全く検討されていないですよね。すなわち、

・「PTAの存続が大切」というが、PTAはこれだけの負担を保護者に強いながらなお存在する価値があるのか

ということです。「あるイベントや組織を存続させるために何かを考える」という、手段と目的が入れ替わっている状態は世の中一般で往々にして目にしますが、PTAについてもそういった状態がよく見られます。

初めの一歩は「PTAの存在価値の検証」

結局のところ、任意団体問題に対応するためのはじめの一歩は、全ての基本である「PTAの存在価値の検証」に行きつきます。

「外から見ているだけでは物事の本質は分からない」ことは間違いないので、私は「そもそもPTAって存在価値はあるの?」ということを確認するために、PTAの副会長に立候補しました。

私なりの結論はこちらの記事に書いてある通りで、要点だけ書くと、次の通りになります。

・連綿と続いてきた過去の取組の蓄積により『準行政機関的な信頼感』がPTAにはある。それを活用することで、子どもたちのために何らかの活動をに取り組んだり、学校や地域の課題にアプローチしたりすることができる

※これは、あくまで私の小学校での結論です。PTAは地域による独自性が強く、その地域、その小学校によってPTAが置かれている状況、取り組んでいる内容、過去の歴史などに大きな違いがあると思いますので、まずはご自身の学校に本当にPTAが必要なのかを、ご自身の立場から検証してみてください。

推論の検証~保護者はどう考えているのか~

次にやらなければならないのは、私の結論が「私だけの」結論になってしまっていないのか、の検証です。この辺り、政策を新たに検討していく過程をそのままトレースしているようですが、「自分が気付いたこと」が本当に正しいのかを検証しなければなりません。

そこで、私の場合は、自分の学校でアンケート調査をしてみました。すると、(資料は載せられませんが)このようなことが分かりました。

・子どもたちと関わりたい、と考える保護者が多くいること。
・PTA活動に参加したくない人の一番の理由は「時間がない」であること。
(裏表として、役員、委員ではなく単発イベントのボランティアであれば協力したいと考えてくれている保護者が多くいること。)

以上により、どうやら「保護者の方の中には、できる範囲で子どもたちのためになることをやってみたい、と考える方が多くいること」「そのための受け皿、活動をマネジメントする存在としてPTAが存在することには価値がありそう」という仮定でまずは進んでも良さそうだ、ということが分かりました。

自分のPTAでの任意団体問題への対応方針の検討

とすれば、私の所属するPTAとしての方針は定まってきます。

・任意団体であることをしっかりと前面に出す。
・入会届は必ずもらうこと。
・入退会は自由であることを伝えること。
・並行して、この時代におけるPTAの存在価値を改めて打ち出す。

実際にはこれらはもう全て取組済みでして、併せて、「役員会・委員会活動についても『組織として存在・運営するためにやむを得ない活動』以外は縮小し、その年の役員等の人数に応じて活動内容を検討していくこと」にシフトするべく現在検討も進めています。

【まとめ】任意団体問題に向き合うためにするべきこと

今回の内容をまとめると、次の通りになります。

・PTAは、任意団体としてあるべき姿にしなければならない
・PTAを存続させることを目的にするのではなく、今自分の地域でPTAに本当に存在価値があるのかを検証することが第一歩。
・価値があるのであれば、それを前面に打ち出し、PTAのありようを変革していく。
・価値がないのであれば、それこそ廃止も検討する。

コロナ前まで多くの地域で連綿と旧来のまま続いてきたPTA。
コロナは世の中に多くの悲しみや苦しみをもたらしましたが、だからこそ、それによってこのように前向きに考える機会を得ることができたのであれば、それに向き合ってみる。今こそPTAの存在価値を現代的な価値観から検討してみることが重要なのではないでしょうか。

※重ねて言いますが、PTAに入っていない立場でこれらのことを提言しても、おそらくは実現することはありません。実際に中に入り、実情を知り、周囲から信頼を得て初めて実現していくもので、これは職場でも人間関係でも同じことです。「同じ言葉でも、誰が話すかで相手の反応は変わる」というやつですね。

今我々のPTAで「どんな前向きな取り組み」を行っているのか、情報発信を行っているのかなどは、また別に記事にしたいと思います。


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