羊文学「祈り」
夜の中で君が一人泣いてても
誰も気づきやしないから構わないだろう
「雨」と違ってここはストレートな歌詞
インタビューで塩塚さんがおっしゃられていたように、原寸大の年末年始の夜を感じる
それはたとえば野に咲いた一輪の
輝きこそはしないけど優しさを知っていて
ここは「余白」を感じる
装飾すれば、「たとえば、野に咲いた目立たないけど、温かく迎えてくれる一輪の花が私を抱きしめるように」
多くの他人がいる中でたった一人でもよりかかれる人が欲しいようにも感じる
「知っていて」が繰り返されるが、ここもたとえば「~な人」と言おうとして躊躇したようにも読み取れる
一人で泣いていることを気づかれたくないようで、気づいてほしい気持ちも垣間見えるいい歌詞だと感じる
夜の中で君が一人泣くことは
どんな訳があるとしても許されているから
一行目の歌詞との対比
「まあ、泣いていんじゃね」っていう気持ちから「泣いていいよ」という許しというか認め
過去のインタビューで犯罪者にも心情に人一倍歩み寄っている塩塚さんらしさを感じる
この部屋でまだこない光の降る朝をじっと待ち
それでも忘れないで最後にはまた静かな夜が戻ること
やはり、アーティスト、いや人間にとって夜は特別なものである
個人的に山口一郎、川谷絵音の大ファンであるが、二人と近い表現、フィーリングを感じる
月って寄り添ってくれる優しい光だと思うんです
科学的にも恒星ではないし
暗い夜に上を見上げれば、小さな暖かい光にさらされていることに気づける
どん底に落ちた時でも優しく、そっと上を向かせてくれるもの、それが月だと感じます
降りそそぐ光ではなく、一筋の光で救われるものです
夢を見る 夢を見ている
夢を見る 夢を見ている
時計はもう 止まったままで
夢を見る 夢を見ていた
全く気分が変わることもなく、夢を見続けた夜とはどんな夜でしょうか
夢って起きた時には鮮明に覚えているけど、少し経てば忘れてしまうものだと思うんです
だから、ここでは何もせず悩んでいたことをうたっているのだと
ただ泣いて悩んで
それって吹っ切れた時に、「何してたんだっけ、私」ってなり、もう忘れているんだと思うんですよね
現の夢
夜の中で君が一人泣いても
誰も気づきやしないから構わないよ
「構わないよ」に塩塚さんからのメッセージを感じます
実際にシャウトするような歌い方も僕は好きです