見出し画像

リハにおける目標設定

リハを行う際、意欲的な方とそうでない方がいらっしゃいます。

「もう先が長くないから無理はしたくない」
「今日はしんどいから動きたくない」
1度は聞いたこともあるはずです。

人によっては、
「最後のトイレから2-3時間空いてますから、1度いきませんか?」
などの対応で、離床がスムーズに行える場合もあります。

また、本人が会話の中で、よく話題にする質問を投げかけると、
数分話が止まらず、途中で運動を提案すると
そのまま受け入れてもらえることも経験します。

そこで、今回紹介するのは、目標設定についてです。


1位:回復の実感
2位:目標設定(明確な)
3位:患者の生活に関係する練習

4位:練習に対する結果のフィードバック 
5位:医学的情報
6位:適度な難易度設定 7位:賞賛
8位:積極的傾聴 9位:楽しいリハビリ
10位:家族の立ち合い 

Oyake K, Yamauchi K, Inoue S.
A multicenter explanatory survey of patients’ and clinicians’ perceptions of motivational factors in rehabilitation. COMMUNICATIONS MEDICINE | (2023)3:78
| https://doi.org/10.1038/s43856-023-00308-7

リハに対する患者さんの動機づけの回答になります。

1位は機能的側面

その次は、目標設定・「参加・活動」を考慮した合目的な練習となっています。ある書籍の中で、上肢に重度麻痺のある方に、数カ月機能練習を行い、時間をかけて何とか着替えが出来るようになったが、実生活では実用性に乏しく、活動を見据えていなかったことを悔やんだとの記載がありました。

上肢麻痺における生活場面での導入は
代償動作の排除・許容の観点もあり、とても慎重にならざるを得ません。

更衣・食器把持・ズボンの上げ下ろし・洗体・
服薬時の開封・歯磨き・手洗いなど
生活場面で上肢を使用する機会は沢山あります。

PTに馴染みにある移乗場面でも、装具の着脱が出来ないと
自立には至りませんし、歩行獲得だけ目標にすると
それが達成できなかった場合、トイレ動作での
下衣操作が半分しかできないということもありました。


では、目標設定をどう設定していくか。

目標達成尺度 (GAS:Goal attainment scaleing)について
➡機能的側面だけでなく、進捗状況を順序尺度に定量化した評価指標

L Turner-Stokes et al.
Goal attainment scaling (GAS) in rehabilitation: a practical guide
Clinical Rehabilitation 2009; 23: 362–370


目標は個人のライフスタイル・要望に大きく依存するため、
課題は個々に合わせて段階的に設定していく必要があります。

-2を現状のレベルとし、0を目標。+2は飛躍的な回復を想定したものです。SMARTも意識します。

Specific(具体的)
Attainable(測定可能):行動変化の証拠
Relevant(関連性):現実的であり達成可能
Time-determined(時間指定):妥当な期間


これ位なら出来そうだ。と目標を立て患者さんと共有し、
そこに向けて練習→導入→次の目標へ
理論的にはそうですが、失敗体験があると
中々先に進まないこともあります。

上司の臨床をみて、いつも思うのですが、
患者さんの現状の能力を見極め、
あと少し頑張ればできる課題・時折失敗も交える
自身で修正可能な課題は粘り強く求める
出来たことを褒める

これをもの凄く感じます。
特に1番大事なのが、最初の能力の見極めです。
明らかに難しいことを強要しても、無理なものは無理です。

ただ、能力が上がると可能なこともあります。

日々の臨床で、「少し難しいことを積み重ねていく」
これをきちんとするから、
沢山の患者さん達を回復させてきたんでしょう。

「諦めずに、とことん練習しなさい」

言われた名言を1つ紹介して終わります。 






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?