あの解剖学博士が伝授!できる人がやっている解剖学の学び方
今日の記事は・・なんと・・
大学の先生であり、単著でPT・OT向けの解剖学書を執筆した方であり・・
オンラインで約5000人相手に解剖学の授業をする町田志樹先生をお出迎えしております。
普段から、学生指導をされているということもあり、
・実習に向けた解剖学の勉強の仕方
・国家試験に向けた解剖学の勉強の仕方
・試験に向けた解剖学の勉強の仕方
と様々な視点から解剖学について語って下さいました。
今回は「国家試験に向けた解剖学の勉強方法」という所に絞ってお伝えしていきます(^^)
まずはじめに国試での解剖学の勉強を学ぶ前に、知っておくべきな「解剖学の勉強方法」からおはなし頂こうと思います。
(個人的にも、学生さんからかなり聞かれる質問なので、町田先生がなんとお答えしているか気になります...)
「解剖学の勉強方法」 について
ヨシモト:
ではさっそくですが・・学生さんに「解剖」の勉強方法を聞かれたらなんとお答えしておりますか?
町田先生:
極論、生理学を理解とするのであれば、解剖学は暗記の学問です。
でもただの暗記ではなく、「地図を覚える作業に似ているよ」と学生には伝えています。初めて行く街の地図なんて、いきなり覚えれませんよね?
最初はまず大通りから。そして何回も通ることによって、裏路地のお洒落なカフェとか美味しいラーメン屋さんが分かってくるじゃないですか。
なのでいきなり全部!ではなく、大きな構造物から徐々に反復しながら学習するように伝えています。
大きい構造物とは、細かい構造物の対義語。
循環器なら心臓・・・まずは大枠で理解します。
(...なるほど!まずは大通り。学生時代、骨の部位を理解せずひたすら〝上腕二頭筋の起始は関節上結節〜〟という言葉の暗記をしていたのを思い出しました....)
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ヨシモト:
町田先生!解剖学は、暗記の学問とおっしゃっていましたが、それでも「得意な人と苦手な人」がいるのはなぜだと思いますか?
町田先生:
勉強が得意な人と苦手な人で大きく差が出るのは「暗記と理解を見分ける嗅覚」だと思います。
勉強が苦手な人の国家試験勉強を見ていると、気になった単語が出てきたら半日以上をかけてそれを調べちゃう。だからぜんぜん進まないんです。
(暗記と理解を見分ける嗅覚。半日以上調べちゃう...こりゃパワーワードだ...)
勉強が得意な学生(特に大学受験経験がある学生)は、
「これは名前の暗記だけでいいな」と見分ける能力が凄く高いんです。もちろん「理解しなければいけないな」というところはしっかりと掘り下げることができる。
例えば、骨格筋が収縮する際に、筋小胞体からカルシウムが放出される。
「なんでカルシウムなんですか」と聞かれたら、私もそれは分かりません。その先が知りたかったら、卒後に大学院の扉を叩くべきです。
勉強が苦手な学生は1日、カルシウムを掘り下げちゃう。勉強ができる学生は3分で覚えて他の問題に取り掛かる。
で、循環器とかは掘り下げるんです。循環器は解剖・生理・循環器疾患・心電図などに繋がる訳だから、めちゃくちゃ学習としてはコスパがいいんです。
そりゃ、1日の学習の進行量が圧倒的に変わりますよね。受験経験がない学生って国家試験を「前期・後期の試験の延長線上」って思っちゃう。でも実際にはボリュームがぜんぜん違うんですよね。未知の量です。
スポーツで言えば市の大会と全国大会くらい違う。(笑)
そりゃあ、気付かなかったら結果でないですよね。
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国家試験に向けた解剖学の勉強方法
ヨシモト:
国家試験においても解剖学の出題数は多いですが、国試に向けた解剖学はどのようにお伝えしますか?
町田先生:
なんか国家試験の勉強って「まずは解剖・運動・生理学」「専門や実地問題は最終学年の年末から」みたいな風潮が強いですがあれ、非効率ですよね。
だって心理学や精神医学とかって、解剖・運動・生理学の延長線上に無いし。だからいつまで経っても、そこの点数が採れないんですよね。
臨床・実習の勉強と国家試験のための勉強は、別物だと思ってます。国家試験は確実に、テクニックが存在するので。
例を挙げると近年の国家試験では、
・半腱・半膜様筋は股・膝関節の内旋
・大腿二頭筋長頭は股・膝関節の外旋
と出題されますが、多くの書籍ではハムストリングスの内・外旋の作用は記載されていません。
あと指の深指屈筋もそうですよね。
「DIP関節の屈曲」としか書いてない本がありますが、当然ながらPIP・MP・手関節の屈曲にも働く訳ですよね。これが分からないと、患者さんの手はみれないじゃないですか。
でもこれは専門性の違いもあると思うんです。だって解剖学書ってPTOTのための本じゃないですよね?
一般的な解剖学書は、医師も看護師も、生物の先生や美術家だって読む訳です。なのでPTOTの教育には「PTOT用の解剖学」が必要だと確信しています。
本によって、記述がすこし違うので・・ここは言い切っちゃいますが、私の本で覚えてください(笑)
わたしも読みましたが、これは普通の解剖学書ではありませんでした。
ひとつ例を挙げさせてもらうと、「教科書ベースでは○○と呼ばれるけれど、臨床現場ではこのように呼ばれる場合がある。」といったリハビリの現場で働いてからこその知識が豊富に書いてあります。
たくさんの解剖学書がありますが、世の中の〝解剖学への苦手意識〟克服のための可能性を感じられる本でした。
(...個人的には、Kindle版より単行本がオススメです。)
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最後に・・
いつも学生に言うのですが、一番勉強が楽しくなってくるのは臨床に出て2〜3年経ってからです。在学中に「勉強がつまらない」「理学療法士を目指すのを辞めようかな」と思う人もいることでしょう。
ですがまだ、理学療法士の「り」の字の書き順を学んでいる段階です。努力を継続すれば、必ず勉強が楽しくなってきます。頑張ってください。
今回ご協力いただきました先生のご紹介
理学療法士 町田志樹先生
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