「神経系モビライゼーション:どのくらい滑る?」
1.英文紹介
2.目的
上肢の関節運動と上肢の位置変化による神経系モビライゼーションを行い、神経の滑りを評価することを目的としている。
3.対象と方法
10体の新鮮cadaver(年齢範囲、35~47歳、男性10例)を用いて、神経系モビライゼーションの肢位を用いて、橈骨神経、正中神経、尺骨神経の縦方向の滑りを観察した。
皮切によって正中神経は、内側上顆の高さで軟部組織を最小限に露出させた。尺骨神経は、内側上顆の近位5cmから遠位2cmまで露出させた。橈骨神経は分岐する前に肘の近位で露出した。その状態でそれぞれの神経が伸ばされる肢位をとり、露出した部位で計測(cm)した。
4.結果
尺骨神経、橈骨神経、正中神経の滑りはそれぞれ13.5mm、29.75mm、11.37mmでした。
5.まとめ
多関節モビライゼーションテクニックは、単関節モビライゼーションテクニックよりも高い伸展をもたらすので、上肢の整形外科的リハビリテーションにおいて考慮すべきである。
6.興味深い点
各神経は、約1−2cm程度のすべりを備えていることがわかった。臨床では、患者の状態にあわせて、単関節か多関節か近位か遠位を動かすかなど検討しながら用いている。その中で、基本に的にどの程度滑るのかを知っておくことも大切であると思われる。