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下腿外旋症候群についての評価・治療・パッド処方〜スクリューホームムーブメント〜

どうも吉田です( ´∀`)


膝窩部痛クライアントさんの1週間後を紹介します。 

以前Phyiso365で流した膝窩部痛の症例さんの経過を伝えます。 

この記事のクライアントさんです↓

今回評価したのは1週間後の状態です。

ではどうぞ↓↓

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可動域は施術前から左右差なし。よし。
 
「良くなりました。あっ先生。なんかふくらはぎ〜太もも後ろあたりから違和感はあるんですよね、椅子に座るとき。。」
 
という謎の主訴をいただきました。 
 

はい。ここで考えましょう。
先ほどの主訴を解剖学的用語に変えると

「CKCのスクワットの遠心性収縮時に右下腿後面~大腿後面に違和感がある」

です。
いろんな可能性がありますが。膝関節の問題で主訴が発生したので、優先的に膝関節の問題から評価していきます。すると「下腿外旋症候群」が問題としてあがりました。

臨床上とても重要な下腿外旋症候群についてリアルな臨床も踏まえて説明していきますね。


可動域の質を評価しよう


矢状面状の可動域に関しては問題ないですね。生活上困らない可動域までUPしました。なので可動域を求めることはこれ以上しません。(年齢や体重からも深屈曲は勧めませんでした。)


主訴の問題を考えた時に。


「膝関節の可動域の質」を考えてみましょう。


動画だと結構分かりにくいのですがw 


スクリューホームムーブメントが崩れております。


あれ?スクリューホームムーブメントってどうやって評価するの??


スクリューホームムーブメントの評価

というわけでスクリューホームムーブメントを評価しましょう。

・Q-angle(上前腸骨棘と膝蓋骨中心から結んだ線と脛骨粗面から膝蓋骨中心を結んだ線がなす角)の評価
・脛骨粗面を触診したまま膝の屈曲伸展を行う(脛骨の回旋を追う)
・端座位で脛骨の回旋を他動的に動かして健側との左右差を比較する

です。明らかに健側と比較して内旋可動域が低下している場合は下腿外旋位として捉えましょう。

ただし。

・Q-angleは、前額面の変形や前捻角、大腿膝蓋関節の偏位が測定値を左右するため個人差も大きく、それらを考慮した解釈が重要であること。

・スクリューホームムーブメントは外旋型・内旋型・終末内旋型に分かれること。構造的変化・靭帯の緊張の変化によってスクリューホームムーブメントが変化するということ


この知識も入れておいてください。

ということはもっと細い評価が必要になりますね。


さらに必要な検査としては

ACL/LCL靭帯緩みチェック(スクリューホームの崩れの最初の構造的破綻)
脛骨の回旋不安定性テスト
大腿骨、脛骨のアライメントの評価(股関節の回旋可動域)
膝関節周囲の筋肉、関節包の緊張の評価
足部機能の評価(距骨下関節と下腿との関係性)


これらを組み合わせると正確性がアップします。

加えてOKCとCKCで評価するとより臨床応用ができます。

単純な膝の屈伸では痛くないけど歩行時には痛い、、、なんていう人はCKCの動きをよく確認してみましょう。


以上の評価を行い、今回のクライアントさんの下腿外旋状態を評価しました。


理学療法的な仮説としては

「下腿外旋位はまだ残存。そのままの軌道でCKCスクワット動作において違和感が出てしまう」


と予測して施術を行いました。


つまり前回の施術では取りきれなかった部分ですね。


下腿内旋運動の自主トレだけでなんとかなると思っていたけどダメでした(/ _ ; )高齢の方だったので自主トレを確認したらバッチリ間違えて覚えていました。これは吉田の責任です。はい。すんません。
 


歩行と下腿外旋症候群と膝OAの関係性

lateral thrustは有名ですが。下腿外旋症候群と歩行の関係性を知っている人はまだ少ないと思います。

まあ歩行分析で回旋を評価するのが難しいんですけどねw。(だから静的に評価しましょう。)

膝OAと健常者の歩行時の回旋角度を研究した報告では

軽度膝OA群は荷重応答期から立脚中期の下腿の外旋角速度が有意に小さい
重度膝OA群は立脚期の両肩峰傾斜,下腿傾斜,膝関節内反角度が有意に大きい


となっています。

つまり膝OAの初期の段階では下腿外旋。重度になるとlateral thrustに移行していくと捉えましょう。


そしてもう一つポイントは荷重応答期から立脚中期に下腿外旋が起こる。

なのでこの時期に下腿外旋を止めるようにすればOK


下腿外旋症候群に対するインソールパッド

画像1

じゃあそれをパッドに置き換えてみると。

足関節の踵〜立方骨あたりにパッドを当ててみましょう。

このパッドで下腿外旋や下腿外側への傾斜が変わればOKです。

無意識下の下腿外旋のコントロールにはインソールは効果的です。

もちろんパッドの高さや場所は微調整してクライアントさんに合わせてね!


下腿外旋症候群の治療ポイント

下腿外旋の定義は

「屈曲域での下腿外旋、伸展域でのわずかな下腿外旋、そして伸展域での脛骨外方偏位が特徴的」

です。
 
なのでそれらに関する筋肉を触診して評価していきましょう。 

多くの場合は

・内側ハムストリングス
・外側ハムストリングス
・腓腹筋内側頭
・腓腹筋外側頭


が問題になりやすいです。

ただ膝関節は股関節と足関節の回旋のストレスもダイレクトに受けるので、上下の関節の評価もしましょう。


今回のクライアントさんの下腿外旋症候群の問題は


・外側広筋、腸脛靭帯、大腿二頭筋の癒着
・大腿二頭筋と腓腹筋外側頭の癒着

でした。つまり大腿部〜下腿までの外側構成体が問題となっているケースです。 
 
なのでここにしっかりとこの部分に徒手療法加え、丁寧に組織間をリリースしました。

結果は動画の通り。

膝の軌道の変化はわかりにくいですが、症状の変化はしっかりありました。 


下腿外旋症候群に対する運動療法

画像2

まずは下腿内旋という動きを覚えてもらいましょう。モーターコントロールです。下腿がねじれるんだよって脳に覚えてもらいます。下腿内旋運動をする前にしっかりと徒手で下腿内旋の可動域を広げておきましょう。


次にCKCで荷重下で学習しましょう。


下腿内旋を誘導するための自主トレに関しては「下腿内旋位でのレッグプレス」が効果的ですね。


広島国際大学の蒲田先生の研究では

下腿内旋位でのレッグプレス運動は,若年女性の健常膝において下腿内旋可動域拡大と歩行中のCOP 内側偏位をもたらす可能性が示唆された
引用:下腿内旋位でのレッグプレス運動が若年健常女性の歩行時足圧中心軌跡 および膝関節回旋可動域に及ぼす効果

とのこと。ただこの機械が高いのが難点w


レッグプレスの機械がない人はスクワット動作でしっかりと下腿の内旋を誘導しながら行えば良いですね!


下腿外旋症候群のまとめ

・スクリューホームムーブメントを評価する
・歩行は立脚初期〜中期の状態を評価
・インソールパッドでも対応可能
・下腿の回旋に関わる筋肉をリリースして自動運動を引き出す
・最終的にはCKC運動まで行うこと

これで今回のクライアントさんの膝関節の施術は終わりにしました。 

1つの膝関節疾患の例として捉えてみてください。

膝関節だけをまとめたnoteもあります⇩


質問があればLINE@からお願いします。


ライタープロフィール

NYで最高レベルのPhysioを提供しているFuncPhysio代表の高田先生とお食事しました。またまたFreePTsalonで面白いこと仕掛けていきます。


吉田直紀

理学療法士・ピラティスインストラクター!代々木・つくばで自費リハビリを展開。その他メディアとして月間10万PV「Reha Rock」、理学療法士のオンラインサロン「Free PT salon」を運営。Physio365編集長。

運営ブログ:Reha Rock
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