2020年 体験済マーダーミステリーから選んでみました
2020年終わりますね。書き始めたのが2020年12月31日なので、この時点ではまだ2020年です。書き終わるのが年内かどうかはわかりませんが、推敲しないでアップする予定なので、たぶん間に合うでしょう。
今年はpsykaにとって激動と転機の年となりました。2019年に麻布十番でやっていたお店を閉めることになり、次の仕事を何にしようかと考えていたときです。本当はお店を再びやる予定ではなかったのですが、11月にマーダーミステリーを体験する機会があり、その結果として自分で作品を手掛けることにしました。
作品を作ったときに、無理に固定費になる店舗を持つよりも、都度場所を借りながらやっていくのも良いのではと考えましたが、色々な縁も重なり、駒込の駅チカのとてもあやしい地下スペースをお借りすることができ「駒込ガレージ」をオープンすることになりました。そして拙作「輪転の劇場」を中心に、office KUMOKANAさんの作品やGroup SNEなど、魅力的な作品の力を借りながら少しずつ皆様に知名度をあげていけたかなと思っております。
2/1のオープンから11ヶ月で、現在の駒込ガレージはその枠の多くがマーダーミステリーで埋まり、新作のリリースなどのタイミングによっては予約の枠があっというまに埋まるほどのオファーを頂いております。
そして、2020年12月に駒込ガレージはわずかですが拡張しまして、今後は地下スペースを対面式のゲームスペースとしてより使いやすく、2021年のメイン興行用のレイアウトに変更、地上スペースをSWAN DIVEのワークスペース兼オンライン運営スペースになります。
そんな、マーダーミステリーに出会った2019年11月からオープン1年目で多忙の中、13ヶ月で41本の作品を体験しました。実際のところ、すでに経験できない作品数は三桁になっているのですが、これはプレイせずに読んでいることによります。私は実体験にあまり執着がなく、開封して読んでも体験価値があまり変わらない人です(それでもプレイすればよかったと後悔する作品はあります。過去2作品だけですが)
というわけで、今回は2020年に経験した35作品(オン9作品、オフ26作品)から印象に残った作品を取り上げます。ちなみにベストではありません。
1.今年読んでワクワクした作品
プレイはしていませんが、開封して読んだときにワクワクした作品をザッとあげておきます。
南極地点X(オン・ココフォリア開発陣)
ゲームマスターが必要なオンライン作品はプレイするチャンスをなかなか得られないのでかなりの数の作品をプレイせずに、購入して読んでいますが、この作品は購入してガイドブックを読み終わるころには商用利用の確認DMを送りました。作品のギミックが興味深く、かつ魅力的だったこと、SWAN DIVEの得意な演出をオンラインでどう提示していくかを模索していたころでもあり、この作品はその後の私のマスタリングを完成させるのにとても大事なカンフル剤だったといえます。
狂気山脈-陰謀の分水嶺-星ふる天辺(オン・まだら牛&ダバ)
ごぞんじ狂気山脈の2周目専用ギミックの「星ふる天辺」は発売日の配信を見ることを選択し、プレイをしていません。正直、配信のメンバーが良すぎたのであまり悩まずに見る方を選択しました。どちらにせよプレイするにはゲームマスターが必要なので、手配が難しいことを考えるとやむをえないでしょう。このシリーズの素晴らしさは言うまでもありません。配信を見終わった直後に早くマスタリングしたい!と思ったのは唯一この作品だけです。
ダークユールに贖いを(Group SNE)
SNEの作品は実はけっこうプレイしていません。また、GMレスでプレイすることが多いのですが、この作品は時間の都合で開けざるをえませんでした。そしてこの作品が「遊ばずに開けて公開した作品」のひとつです。
この作品はグループSNE特有のルール「アクションフェイズ」がシリーズ唯一「クライマックスフェイズ」となっています。互いの関係性や利害、それを取り巻く様々な環境、これらが帰結する「クライマックス」という言葉が見事と言わざるを得ません。
SWAN DIVE版は原則的に何もルールには手を加えていないのですが、ゲームマスターがいることで出来るちょっとした見せ方の変更を行っています。それにより物語はよりドラマを生むようになりました。アレンジの範疇に関しては今でも悩んでいますが、これにより産んでいる物語の美しさを考えると間違っていないかなと思います。
やばい、閑話休題を書いていたら23時54分になってる。これ、完全に年こすやつだ。
2.SORCIER-賢者達の物語-(オン・goonie cafe)
私が割と気にするのは「世界感と物語に繋がりのない作品が多い」というストレスです。すごい美しい世界観を設定としては持っているけど、実際に起きる事件は世界設定関係なく、鈍器で頭を殴るのでは
あけましておめでとうございます(2021年になった)
それは世界観が勿体ないというか、なんかモヤモヤするわけです。この作品はその点において、私はすごく納得できました。その世界にいて、その世界における出来事と対峙する。それはマーダーミステリーにおいて案外できそうでできない体験なんだということを時間が経つにつれ知ることになりました。本作品はその点において、非常に自分にはストンと心のなかに入った作品の一つです。
3.ラピスラズリの囁き(対面・ラピラボ)
現状、クレジットがラピラボになっていますのでそのように記載しました。
スポットライトタイム!たのしい!たのしい!パクりたいし、スポットライトライムって名乗りたい!おそらく他にもあるでしょうが、これは初心者向けの作品と言われますが、もちろんそれだけでなく、ある程度経験を積んでからプレイしても逆にスポットライトタイムで腕がなります。
私は、難易度とか推理重視とかRP重視という表現があまり好きではありません。それは「こ推理重視」という表現が、既存のマーダーミステリーがなかなか超えられていない点が今でも改善されていない作品が多いことに起因しています。何が「超えられていない」かは別のお話
ラピスラズリの囁きは作品を提示されたときに初心者には初心者の向き合い方、ハンドアウトに隠された面白さが見抜けるようになった中級者や上級者には別の楽しみ方がとても明快に提示されています。ある意味で、そういった様々なプレイヤーが融合する物語が生まれる作品なのかもしれません。
ちなみに私は完全優勝しました(なんじゃそりゃ
4.ラストミスティック(対面・Studio OZON)
この作品は経験というよりも、最速で演出が思いついたいくつかの作品の中のひとつです。
私はプレイしているときに、同時に作品を自分だったら作品をどう演出するか、自分ならどうマスタリングするかみたいな事を考えてしまうくせがあります。
ラストミスティックは終わるよりも前に演出が閃きました。このようなパッケージ作品はお店の公演に来る人はそれこそ何倍ものお金を払うことになります。そういう意味ではその何倍ものコストはすなわち「店への期待」も含まれていると考えています。ただの「進行役代理」として考えたら店舗公演は高いと感じられる日が来てしまうかもしれません。
個人的に演出やマスタリングが雷鳴のようにやってくる作品は傑作や名作が多いです。ラストミスティックはそういう意味でも印象に残っています。
ちなみにこちらは優勝でした。
5.あの夏の囚人(対面・Group SNE)
2020年にプレイした作品の中で
・設定や世界観
・作品自体の満足度の平準化
・プレイ内容
・ギミックなどシステム
全てにおいて高いスコアをだしたのは「あの夏の囚人」でした。演出もこる必要がなく世界観をどう表現するかを考えるだけなので素材がいいので塩胡椒でさっと炙る。みたいなのも素晴らしいです。
一方で、これは私の最近のスタイルが変更したこともありますが、良い作品がやっかいなのは1回ではその作品のもつ味わい深さみたいなものは伝わらないのが実情です。最近のマスタリングでは、1回では辿り着きにくい作品の持つ旨味をどうやってお伝えするかという点に軸を置くようにしています。
あの夏の囚人は非常に味わいがあります。純粋に一回のプレイでも面白いのですが、1回では気づきにくい旨味を押し付けることなくどうお伝えするか、私の戦いはまだ続くのです。
というわけで
足早ではありますが、今年気になった作品をお届けしました。すでに年が明けましたので、今年も駒込ガレージは様々な公演や貸し切りを行いつつ、SWAN DIVEも次々と新作をリリースしてまいりますので、psykaともども2021年も駒込を横目でチェックしていただければと思っています。
サポート心よりお待ちしています。頂いたサポートは駒込ガレージの維持や新しいコンポーネントの研究費用になります。