SCT(文章完成法)性格検査・投影法 (診療報酬280点)
1.概要
SCT(Sentence Completion Test:文章完成法)は、刺激語として未完成の文章を提示して、受検者が空いている部分を埋めて文章を完成します。
文章を自由に完成させ、その内容からパーソナリティを具体的に把握する投映法の検査です。
意識と無意識の中間レベルである前意識を投映する検査とされています。
SCTは、もともとはエビングハウス(H.Ebbinghaus)が知能検査(知的統合能力の検査)に不完全文章を用いたことから始まったとされています。
現在では言語連想検査として使用されています。
SCTには様々な種類があり、また成人用だけでなく、小学生や中学生用もあります。
なかなかいい検査ですね。
2.実施・解釈法
実施は先述のとおり、紙面に書かれた刺激語に対して、受検者が文章を書き込み完成させます。
下の例で言うと、最初のゴシック体の部分が刺激語であり、後に続く明朝体部分を受検者が書き入れる部分です。
分析方法には、形式分析(反応の長さ、時間、文法的誤りなどを分析するもの)と、回答の内容そのものを分析する内容分析があります。
パーソナリティをみるという観点からも現在は内容分析が一般的です。
書かれた文章の内容から、知的面、感情面、身体面、社会面、家庭面といった幅広い観点での解釈や評価がなされます。
下図のとおり学会が主張しています。
私もこれはかなりよい検査だと思っていて、MMPI-3と同程度の幅広いカバー範囲を有しています。
ちなみにMMPI-3は環境〇、身体〇、能力〇、性格◎、志向〇、ぐらいだと思っていて、SCTより性格をみる点では上回っていると思います。
ちなみに別途紹介しますが、「PIL(Puopose in Life:実存心理テスト)」という検査はSCTを内包しています。
PILは、ロゴセラピーを開発したフランクル(Frankl, V. E.)の考えに基づき、実存的欲求不満を測定する検査です。
3.製品
メジャーなものは金子書房が出している精研式SCTです。
成人用、中学生用、小学生用があります。
精研式SCTは解説書、活用ガイド、事例集など書籍も充実しています。
それから構成的文章完成法検査(K-SCT)というものもあります。
正直詳細は知らないのですが、反応文を記号・符号で処理し、検査者の主観的な判断を回避する目的で作成されています。
感想
投影法性格検査の中で、ロールシャッハ、P-Fスタディと並んで三大信頼している検査の1つです。
MMPI-3のように様々な側面を把握できるので、重宝しています。
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