50歳記念&山梨百名山1座目に富士山初登頂
静岡出身山梨在住のくせに富士山未踏なんてけしからん!…とは思っていなかったけど、人によってはドハマリする富士山登頂を未経験のままでいいのだろうか?と数年前からぼんやり考えていた。「富士は日本一の山」でそうそう簡単には登れないという認識があって、山登り…というか山歩きが好きなわりに長年手を出せずにいた。
山にハマり始めたのは30手前、まだ「山ガール」(これもすでに死語だなぁ…)ということばもない時代、赤岳(悪天候により未登頂)やニュージーランドの山(名前忘れた)まで手を伸ばし、その後はほそぼそと近隣の山々を歩いた。そういえば、もうやめてしまったけど古のSNSであるmixiのコミュ何かで集まって登ってたなぁ…懐かしい。コロナ禍以降数年遠ざかっていたけど、子育てが8割ほど終了した幼馴染がお山にハマったのをきっかけに、去年辺りから私のお山熱も再燃した。そんな中で、富士登山のことが話題に登り、先日の登山が実現したのである。
山歩きは好きだけどスタミナがないので、普段はお手軽登山で満足しちゃうのだけど、「富士山登ったことないけど一度は登ってみたいんだよねぇ」と私が言ったことがきっかけで、約1年かけて諸々準備をしたのである。と言っても月一でお山に行くくらいで、あとは装備品をちょっとずつ揃えていったぐらい。
富士登山、その前に
当日登山の話をする前に、準備のことを話しておく。
今回は山小屋一泊の行程だったので、ルートの選定と山小屋の予約から考え始めた。幼馴染はすでに5回ほど富士登山の経験があるので、それに沿って+私のスタミナ不足を考慮して、吉田口から7合目の山小屋を目指し、ご来光を拝んで下山、というのを予定していた。幼馴染いわく、昨年度まではコロナ禍以前ほど混み合っておらず、7月最終週で日曜出発であれば大丈夫なのでは、とのことだったので、そのつもりで山小屋の選定をしていた。
…のだけど、山小屋の予約が取れない。人気アーティストのライブチケット並みに取れない山小屋の予約は7月分、8月分と順次予約をするのだけど、開始時間を待ってスマホを握りしめて予約に臨んだにも関わらず、ネット回線のつながりにくさ(こっそり職場で予約を取っていた)で惨敗した。結局、ツアー会社で扱っているところで取れるところ…にしたら、富士宮口ルートの9合目の山小屋になってしまった。1日目、9合目まで登れるかしら…という不安が残る…、けど仕方ない。
次に装備品の準備。実際に準備したものは以下の通り。
レインコート上下
ダウンジャケット;今回は未使用。
ザックカバー
行動食(一口羊羹、ちーかま、プロテインバー、塩分補給タブレット、梅干し);このセレクトは今のところマイベスト。特にちーかま!
2食分(1日目の昼、2日目の昼分)のおにぎり
エネルギー補給ゼリー4個
水分補給ゼリー4個
水分;給水システムに3リットル、600mlの水とお茶(両方お茶でもよかった)
アミノバイタル的なサプリ
酸素ボンベ
モバイルバッテリー
ワイヤレスイヤホン;寝るときの耳栓代わり、睡眠対策
ヘッドランプ
着替え(上衣のインナー、Tシャツ、長袖シャツ、靴下)
頭痛薬;高山病対策
普段使用している睡眠サポートサプリ
グローブ;あまり好きじゃないのでほぼ使わずにいたら見事に手の甲だけ焼けました…(汗)。
フェイスマスク;ほぼ使用せず
日焼け止め
1回分ずつになっているスキンケアセット、リップクリーム
ノンアルコールの手拭き;これで顔面を含め拭けるところは拭いてさっぱりできる。
小銭;これがないとトイレ行けない(1回300円使用料がかかる)。
芯を抜いたトイレ紙;トイレには設置されているけどあると何かと便利。
救急セット(ガーゼ、紙テープ、絆創膏、キズパワーパッド)
ビニール袋、ジッパーバック
最低限の装備品だったけど、なかなかいいセレクトで、過不足なく準備できた。特に行動食は過去一ベストなセレクトだったと思う。特にちーかまはほどよい塩加減で満腹感もあり、タンパク質を摂取できて溶ける心配もなく、我ながらナイスアイディアであった。アミノバイタル的なサプリは、気分的にあったらいいかなと思って持っていったけど、意外に疲労軽減に役立って、下山後のヘロヘロ感がいつもよりも少なかったように思う。
富士登山当日
当日は現地集合。富士宮口は水ヶ塚駐車場から5合目行きのシャトルバスが出ているので、9時発のバスに乗る予定で1時間前に集合した。これは高山病予防で標高に体をならすらめで、1時間早く集合してぶらぶらして過ごした。また、今年度から静岡側、山梨側、どちら側からでも登山登録が必要で、事前にネット登録が可能。静岡側では現地で登録もしていた。寄付金1,000円を払うと、証明の木札をもらえる。それをザックにくくりつけて、シャトルバスに乗り込んだ。
40分ほどバスに揺られて5合目登山口に到着。天気は曇り、眺望はなかったけど、暑くなくて快適。登山口付近の空きスペースで、飲み食いしながらだらだらして過ごす。これも気圧に体をならすため。私も幼馴染も高山病経験者なので(私はスキーで奥志賀へ一気にロープウェイで上がって激しい頭痛に襲われながら滑った経験あり)、とにかく高山病にはなりたくない一心で、できる対策はしつくした。
いよいよ登山開始
準備万端で、いよいよ登山開始。この日の目標は9合目までなので、登りきれるか緊張しながら歩みを進めた。5合目から6合目まではぼちぼち登ってほぼコースタイム通り。大変だったのは6合目から7合目の砂利道で、登っても登っても登った感じがしない。それなのに疲労がたまる…。
この頃から、下山する人と多くすれ違うようになった。おそらくご来光を拝んでこられた方々なのだろうけど、特に海外の方たちの軽装が目立つ。防寒はしていたらしい…というか、7合目まで降りてきたならダウンいらなくね?みたいな…。総じて疲労困憊、エックスで「アジア圏からの旅行者は山岳地帯住みの人も多いから、軽装でも大丈夫」とかいう投稿見たけど、どう見ても都市部か平野部で普段から山なんて登らんだろうって人がほとんど。言うたら国関係なく、軽装でヨレヨレになりながら降りてくる人と、ちゃんとした装備で余裕を持って降りてくる人ときっぱり分かれてた。軽装だとまず靴が違うからすぐに分かるし、砂利道を安全に下るためにはストックが必要だし、そういうものがなく下ってくる人は見ているこっちもヒヤヒヤする。…そんな他人のことをああだこうだ言う余裕があるのかと聞かれると、そんな余裕まったくないわけで、ゼイゼイしながら何とかかんとか標高を稼いでいった。
富士山は登り始めるとすぐ森林限界を超えるので、目安になる山小屋常に見えている状態。「あそこまで行けばひと息つける…」と思いながら気力を振り絞って登るのだけど、なかなか距離が縮まった感じがしない。「こんなんじゃ今日中に目的の山小屋にたどり着けないのでは…」などと絶望し、でも気がつくとすぐそこが山小屋…なんてことを繰り返して、どうにかこうにか8合目まで登った。
ちなみに、高山病による頭痛は痛み止めを飲めば何とかなる程度で、私の場合はめまいと浮遊感がずっと軽くあった。まぁそれくらいで済んでよかったな、とまだこの時は思っていたのだけど…。
山小屋到着、過酷な一夜
6−7合目はやや足踏み状態だったのだけど、それ以降は比較的順調にのぼることができ(とはいってもカーブドごとに休みながらなのでひどく亀足なのだけど)、9合目の山小屋には予定通りに到着した。これはホントに嬉しくて、「え?すごくない?天才じゃん!」って感じで自己肯定感爆上がりの変なテンションになってた。まさかここまで来れるとは…(大袈裟)。
到着したときはまだ団体客が到着していなかったせいか、山小屋内の人はまばらのように感じた。やる気があるんだかないんだかよくわからないスタッフの若者に案内されて通された寝床はすでに先客がおり、分かってはいたけどその狭さにうへぇ…となった。どれくらい狭いかと言うと、おそらく3人収容の仕切り内の1人分のスペースに友人と2人通されたのだ。いくら女性とはいえ、私も幼馴染も160ぐらいでそこそこ体格はいい方なので、さすがにこれは堪えた。寝返りが打てないのがこんなに苦痛とは…というか2人とも仰向けになると肩がぶつかるので、お互いぶつからないよう気にしながら横向きに寝るしかなかった。仕切りは布切れ1枚だし、他のブースの物音は丸聞こえなので、私は耳栓代わりにイヤホンつけて音楽聴きながら寝ることにした。これはだいぶよかったらしく、何もせずに寝た友人によると、夜中に大声で盛り上がる声や仕切り越しにぶつかったのどうのとケンカのような言い合いがあったらしい。私は全然気にならなかった。
すっかり忘れててマスクしなかったのだけど、これはちょっとよくなかった。あれだけの密集度で、空気清浄機や扇風機はあったのだけど夜中は止められていて(電気の供給の関係かもしれないけど)、換気はひどく悪い状態だった。朝起きたときに少し喉がやられてたけど(喉弱の民なのでよくある)、幸い何事もなく済んだ。
見れるか?ご来光
翌朝…と言っても、一応ご来光を目指す予定だったので、午前1時半には起床。ちなみに横になったのは7時ぐらいだから、6時間はやすんだことになる。昔、夜勤やってたことを思えば、そこまで苦ではない。朝ごはんをお弁当にしてもらって、団体客の混雑を避けて2時半ぐらいから登頂開始。日の出は4時50分過ぎだから、何とかなるかなぁ…とぼつぼつ歩き始めた。周りはまだ真っ暗、でも天気はよくて、下界の夜景と星が綺麗に見えた。これはなかなかテンション上がる。
寝不足もあって、高山病による頭痛とめまいが前日よりもひどいので、頭痛薬を飲み携帯酸素を使いながらゆっくりのぼった。…というか、ゆっくりしか登れない。携帯酸素は初め使い慣れなくて、「これ効果あんのか?」と思いながら使ってたのだけど、ちゃんと使えると効果が実感できる(当たり前)。
しかしつくづく、団体では来ないほうがいいなと思った。真面目な性格ゆえか、遅れてしまうことにひどく罪悪感を感じてしまい、そうするとペースが乱れてただただしんどいだけになってしまう。「やっぱ気の知れた人とマイペースで登るのがいいわ」と幼馴染とは確認し合った。とはいえ、私の方が亀足なので、幼馴染には迷惑かけっぱなしなのである。私は登山中8割は泣きごと言いっぱなしだし…、ほんとすまんね(汗)。
泣きごとを言い酸素を吸い携帯食を貪りながら、どうにかこうにか少しずつ標高を稼ぐ。「諦めなければいつかは着くんだからさー」と超楽観的な幼馴染に助けられ、ぜぇはぁ言いながら一歩一歩足を前に出す。私たちに前後しながら小学生の男の子とお父さんが同じようなペースで登っていて、何となく励まされていた。男の子、めっちゃネガティブ発言でお父さん困り気味。おばちゃんは君の気持ち、痛いほど分かるよ…。
正確に言えば10合目は山頂ではないらしく、ご来光を見るにはまだ火口のふちをもうちょっと進まなければいけなかったのだけど、「間に合ったってことでいいかな」と鳥居をくぐって少し行ったところで日の出を拝めた。…うん、まぁ間に合ったね…、薄い感想ですみません…。負けず嫌いなので、こりゃリベンジだわな、とは思いました、はい。
早朝で雲がなく、とにかく空がきれい。ご来光よりもそっちのほうが感動した。
眠気と戦いながらのお鉢巡り、そして下山
一応ご来光を拝めたことにして、左回りにお鉢巡りをし、宝永山方面へ下ることに。その前に山頂で朝ごはんを食べる。相変わらず頭はくらくらするのだけど、朝日があたって程よい気温、エネルギーもチャージされて、気持ちい時間だった。その後ろを、前後しながら登っていた男の子ご一行が通り過ぎる。「もうヤダ!歩きたくない!ぎゃー!!!」と大絶叫しながら…。分かる、分かるよ…、お山では無理は禁物、そうやって主張するの大事だよ…。お父さんは潔く諦めましょうね…。
山頂、と言っても日本一の山小屋、広さも日本一で、結構な人がたくさん往来するのだけど、まったく狭さは感じない。正確な最高地点の峰の剣ヶ峰はとても狭い場所で、人が溢れかえって行列ができていたので、今回はスルー。
山頂からの眺めでいちばん感動したのは、山梨側に富士山の影がくっきりきれいに見えたこと。
ここまでちょっと登らないといけないのだけど、眠気と疲労でヨボヨボになっていたので、通りすがりのおじさんに教えてもらわなかったらスルーしてた。写真を撮ってる横で朝食とっている人がいて、そ次回があるならこれもいいなぁと思ったり。
ゆっくりお鉢巡りをした後は宝永山を目指して須走方面へ。静岡・山梨県民ならよく知っている富士登山駅伝で知られるあのコースである。須走口まで降りきるのではなく、途中の分岐で富士宮口へ下っていくのだけど、まぁとにかく砂利道がすごかった。体感6割ぐらいが砂利道。しかも砂利が深く、スキーみたいに滑りながら下っていった。しかも私のトレッキングシューズ、登りのかなりはやい段階でソールが剥がれてしまい、幼馴染にもらったサージカルテープで補強しながらあるいていたのだけど、砂利でテープが切れてしまうので巻き直しながら進んでいまして、下りの6合目あたりでテープも尽きてしまい…という状況。それがなかったら、「わーいスキーみたーい」お楽しめただろうになぁ…。つくづく、装備品の点検は大事です…はい……。途中で出会った元気なおねぇさんにテーピングテープを頂戴し、ピンチを乗り切ることができた。「地獄で仏」とはこのことなり。
終わりは雨に降られて
宝永山を過ぎた頃から雨が本格的にふり始め、6合目手前からはまぁまぁの雨に降られてしまった。後は下るだけーという気楽さから、それほど気にはならなかった。登りがこれだったら、絶対途中で諦める…。気温も暑くも寒くもなく、湿度が高いのは不快だけれど雨なんだし仕方がない。天気がいいのもいいけれど、標高が下がれば暑さが増すし、今回の登山は本当に天気に恵まれた。いやー、日頃の行いがいいからかな☆
富士登山総括
富士山はものすごくハマっちゃう人と、二度と行きたくないとなる人と、二分する面白い山だ。さて、私はどちらだろうか?…少なくとも「二度と登りたくない」ほどしんどかったり、嫌な思いはしなかった(ぎゅうぎゅうの山小屋はしんどかったけど)。じゃあ、すっごいよかったか?と言われると、うーーん…そこまでは、という感じ。この辺の感動の薄さは、私の性格が大きいかも。ただ、ご来光はちょっとズルした感じなので、一度は東の山の端から登るところを見てみたいなぁと思うし、一度登れたから次こそは…とリベンジはしてみたい。これがハマることになるかはわからないけど、もっといい景色を見てみたいと思う。
思いの外長い記事になってしまい、ここまで読んでいただいた方、お付き合いありがとうございます。
次なる目標は山梨百名山踏破?
さて、今回は(誕生日はまだだけど)50歳記念富士山だったのです。誕生日を前に目標達成したわけだけど、じゃあ次の目標どうする?と考えたわけです。スタンプラリー的なものが以外に嫌いじゃない私、百名山でもみようかしら…と思いついてしまった、しかも還暦までに。日本百名山は全国各地に散らばっているので、時間的にも経済的にも難しそうだけど、ありがたいことに居住地山梨には山梨百名山というものがあるのです。
10年かけて100座…年間10座ずつ踏破すれば…いけるか?!どうだろう…。富士登山前から温めていた案を幼馴染に披露すると、ノリの良い幼馴染「何それー面白そう!」とあっさり快諾してくれた。相談の上、夏にややハードな山、秋冬は雪がない低山を目指すことに。さて、どうなることやら…、富士登山はゴールではなく、始まりであって通過点だったのだぁ!なんてね。