part2 HSPの幼少期の足りなかった愛着形成と心の傷を癒して前に進む方法
こんにちは。私はHSP(HSS型)のカウンセラーです。普段は、NPO法人で心理カウンセラーとして働いています。会社では、様々な制約があるためクライエントにお伝えできないことをこの場でお話をさせていただいています。この記事の情報が、だれかのより良い人間関係やより良い子育てのヒントになれば幸いに思います。
part1の記事
複雑な現代社会は、たとえHSPでなくとも誰でも何かしら傷ついた経験や忘れられないトラウマがあることと思います。
でも、トラウマというと大げさに聞こえますが。例えば、友達や会社の上司から言われた一言が頭に残って何度も思い出し気持ちがナーバスになる。或いは、ショックな体験をして勝手に頭に浮かんできて仕事に集中できない。
そんな経験をしたことはありますか?これらもトラウマです。
気になることを解決できてない状態の最中で、私たちは自分から誰かに思いやりを示すことは難しいと思いませんか。そんな心中で、前向きに頑張ることも心身ともに負担なことでしょう。
深刻なトラウマを抱えている状態だと、つらくて積極的に人生を切り開く意欲がわきません。さらにもっと深刻な場合は、無意識に記憶の奥底にしまい込んでしまうので、理由がわからずも生きる気力を失ってしまいます。
そこで、part1では心の傷トラウマの癒しをテーマにお話ししました。
part1の記事は、3、4分ほどで読める長さですので添付しておきます。
いつかお役に立つ心理療法も記載されています。ご興味がある方はどうぞご覧ください。
part2では、私たちの成育家庭で培う愛着の型にはどんな種類があるのか。それは私たちにどんな影響を与えているのか。なぜ愛着を知るべきなのかを詳しく考察したいと思います。
長くなるので、足りなかった愛着を安定させる方法についてはpart4でお伝えしたいと思います。
愛着障害とは
愛着障害の言葉について簡単に触れておきたいと思います。幼児期の医学的な病名で、反応性愛着障害・脱抑制性愛着障害というものがありますが。
精神科医の岡田尊司先生の著書の中で取り上げる愛着障害は、その人の行動特性のようなものをさします。
上記の著書では、愛着スタイルと呼ばれています。心理学で愛着はアタッチメントと使われますが、この場では一貫して愛着と使用したいと思います。
では、自分の愛着スタイルを知ることには何かメリットがあるのでしょうか。
それ知ることで、自分の性格にある根本をより良く理解できて、人間関係の改善や抱えている問題解決の糸口になります。
例えば、ふだんこんな風に感じることはありませんか?
なぜ、自分は人に気ばかりつかってしまうのか。なぜ、自分をさらけ出すことに憶病になってしまうのか。なぜ、本心を抑えてでも相手に合わせてしまうのか。なぜ、拒否されたり傷つくことに敏感になってしまうのか。なぜ、いつも醒めていて何事に本気になれないのか。なぜ、友人や家族と一緒にいても幸せを感じないのか。
このようなことも愛着スタイルの影響です。
愛着のスタイルは、こんな風に知らずしらず私たちの心理や行動を支配しているのです。
その影響は深刻な場合、うつ病や心身症や境界性パーソナルティ障害などの様々な深刻な精神疾患を発症することもあります。
私自身若い頃は、不安愛着だったため結婚相手の選びを間違えて16年以上もDVの夫とつらい結婚生活を続けていました。
いま振り返ると、当時結婚した男性も愛着障害で私自身もそうだったと思います。
もしも、当時の私の愛着が安定型だったらDVの男性を最初から結婚相手には選ばなかったことでしょう。または、DVと分かった時点で迷わずに離婚を実行に移せていたことでしょう。
このような勇気のいる決断をする時にも私たちの愛着が関係しています。
この愛着のメカニズムの正体は、オキシトシンというホルモンによって支えられた仕組みである。
オキシトシンは、脳の中で神経伝達物質のように働いている。このオキシトシンが安定した愛着を作りだしている。
別名「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンの効果は、みなさんもご存知でしょう。オキシトシンによる安定した愛着は、他者を信頼し、安心感を高め人とのふれあいに喜びを感じ、幸福な家庭生活や社会生活を送るための土台でもあります。
ではみなさんは、私たちの幸福な人生を左右する、この愛着に着目した心理学者をご存知でしょうか。まずは、愛着理論の父と母となった心理学者をご紹介したいと思います。
愛着理論の父
私たちは幼少期、親の養育の仕方つまり親が子供にどう接して、どのように愛情を注いだかで私たちの愛着は良くも悪くも形成されていきます。
この養育者との結びつき(絆)は、幼い子供の発達や安定に不可欠な役割を果たすことを心理学者たちが研究し、この親との結びつきを「愛着」と呼ぶようになりました。
それは、心理学者であり精神分析学者でもある愛着理論の父、イタリア出身のジョン・ボウルビィと、ボウルビィの共同研究者である発達心理学者でアメリカ出身のメアリー・エインスワースにより研究され、愛着理論の基本的な概念が確立されました。
この研究の発端は、1950年代第二次世界大戦後のイタリアで孤児院や乳児院などに収容された戦災孤児の発達、身長、体重の増加、罹病率、死亡率、適応不良などの問題を施設病ではと疑われたときにジョン・ボウルビィがその調査に携わりました。
その後、1951年に母親による世話と幼児の心的な健康の関連性についての論文を発表しました。
愛着理論の母であるエインスワースは、1960年代から1970年代にストレンジシチュエーション法(Strange Situation Procedure)によって、生後9~18ヶ月の子どもと母親との愛着の安定性を評価する実験を行い、観察・記録した子どもの行動に応じて、愛着のタイプを分類しました。
その愛着行動のパターンは4つに分類されて、養育者の重要な役割である「安全基地」という概念を提唱しました。
安全基地は、子どもが必要なときに安心して逃げ込むことができる人。その人は無条件に子どもを擁護し心理的なサポートをします。
愛着理論による4つの愛着型
ボウルビィとエインスワース研究の結果、幼児における愛着行動のパターンは下記の4つに分類されました。
①安定型愛着 ②不安回避型愛着
③両価型愛着 ④無秩序型愛着
では、上記のこの4つの愛着スタイルはどのような特徴があり、その愛着が形成される要因は何だったのでしょうか。
この4つで自分はどの愛スタイルに当てはまるのだろう。自分はどの特徴が混在しているだろうか。親はどの愛着タイプだろうか。
そう考えながら読んでいただくと、ご自身の愛着のスタイルを知る良い機会にしていただくことができるでしょう。
上記の岡田先生の著書では、より複雑な大人の愛着型を詳しく取り上げています。ここでは代表的な右記の4つ①安定型 ②不安定型 ③回避型 ④混乱型を取り上げたいと思います。
他の詳細な愛着スタイルの説明や対処法書に興ご味のある方、早く克服方法を知りたい方はぜひともお読みになることをお奨めします。
では、まずは安定型の愛着スタイルから見てみましょう。
安定型愛着
この愛着を持つ子どもの母親の特徴は、感受性が高く我が子の変化や兆候を見逃さず素早く反応します。
また、自分を子どのニーズに合わせて子どもに向き合い。こどもが辛いことがあれば、いつでも逃げ込める安定した存在の安全基地になっています。
安定型の子どもの特徴は、養育者を安全基地として、自発的に探索行動を行うことができます。ですが、養育者が※部屋を出ようとすると、分離を嫌がって泣いたり混乱を示したりしますが、他人があやしたり慰めたりすると、徐々に落ち着きを取り戻します。
※部屋とは(心理学者が観察研究する為のプレイルーム)
大人の安定型の特徴は、率直で前向きであり相手の反応を肯定的に捉える姿勢をもっています。
また、自分が愛し信頼している人が、いつまでも自分を愛し続けてくれることを当然のように確信しています。
この確信は、幼少期に泣くとすぐに母親が応答してくれるので成長段階の過程で「自分は、守られている存在だ。」「自分は、愛され価値ある存在だ。」というスキーマ(認知)が育まれたのだと思います。
優れた特徴としては、メタ認知能力が高いことです。
このメタ認知によって、自分にとってつらい体験をしてもそれに呑み込まれずに、柔軟に視点を変えて物事をみたり、自分を振り返るり反省点を見つけることができます。
この能力は、自分を俯瞰し失敗をしても落ち込んだままにならず、その経験を次に活かせるので社会で実に有利な特質だと思います。
更には、相手の気持ちや状況を理解するメンタライジング能力も高いといわれています。
この能力は、相手のこころを洞察する能力です。
メンタライジングは、周囲の人間関係で何かトラブルがあったとき、表面で見えていない相手の状況や気持ちを理解しようと推測して、自分の感情や思い込みで余計なことを言って相手を傷つけないよう適切な言葉や行動を選択します。
親が安定型愛着の場合、このメタ認知で振り返ったりやメンタライジング力で子どもの気持ちを汲み取り接することにより、親子の安定した絆を形成しやすいといえます。
例えば、親と約束したことを破ってしまった状況で。どんなことに夢中になってしまいうっかり忘れてしまったのかなと…。
できごとの視点だけで性急にこどもを叱る前に、こどもの心理を考えてあげることがメンタライジング能力です。
この安定型愛着の親がどれほど、子どもの将来に大きく寄与するのか。みなさんも想像されて理解できることでしょう。
「蛙の子は蛙」ですね。
しかし、大人になったオタマジャクシも諦める必要はありません。
実際私たちは、どん状態でも努力すればいつでも蛙に変化できます。
この変化の鍵は、自分の愛着スタイルを知ることにあるのです。
先の、メタ認知能力とメンタライジング能力を高める努力をするよりも、不安定な愛着スタイルがあると気づいた時点で、愛着の安定に取り組むことがそれらの能力を育むことにもつながります。
日常の難しい人間関係、夫婦間の問題、依存症や嗜癖の問題も、この愛着の土台を形成しなおして強固にすることで解決できることがあります。
私は、愛着形成によって愛着の土台が強固になれば他のどんな問題解決も可能になると確信しています。
ここまでは、安定した愛着をもつ母親が育てる子どもは、将来安定型愛着の大人になることが理解できました。さらに安定型は、自分を俯瞰し振り返るメタ認知や相手の感情を思いやるメンタライジング能力が高い人になることがわかりました。
このことから、私たちは子育てをする母親の愛着の安定がいかに大切なものかを大いに理解できました。
この知識を適用し、子どもに接するときの姿勢に反映していきたいと思います。
しかし、親が不安型、回避型、混乱型愛着ならどんな子どもが育つのでしょうか。そして、大人になったらどんな特徴をもった人になるのでしょうか。
続く②不安定型愛着 ③回避型愛着 ④混乱型愛着 はお読みくださる皆さまの負担が少ないように次回に掲載したいと思います。
本日もここまでお読みくださりありがとうございました。
すべても人が、安定した愛着を形成して心穏やかで幸せな人生を送ることができるよう心より願っています。