ウェクスラー式知能検査(Wechsler intelligence scales)
○ウェクスラー(Wechsler、D.)は、知的能力ごとの診断を目的としてウェクスラー式知能検査を開発した。
大きく言語性検査と動作性検査に分かれている。
それぞれの検査に複数の下位検査があり、知的能力ごとの診断を行うこと ができ、ビネー式と対比する形で診断的知能検査とよぶことがある。
結果は偏差知能指数(deviation IQ)で示され、言語性 IQ (verbal IQ) 、 動作性IQ(performance IQ)、全IQ (full scale IQ)が求められる。
言語性IQと動作性IQの間に大きな差がある場合をディスクレパンシー (discrepancy)とよび、発達障害児に見られやすい。
・大人用(16~89歳) WAIS (Wechsler Adult Intelligence Scale)
・児童用(5~16歳) WISC (Wechsler Intelligence Scale for Children)
・幼児用(3~7歳) WPPSI (Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence)
○ WAIS-R⇒WAIS-III
言語性・動作性とは異なる視点で「言語理解(Verbal Comprehension: VC)、 知覚統合(Perceptual Organization; PO)、作動記憶(Working Memory)、処理速度(Processing Speed; PS)の4つの群指数が導入された。
○ WISC-IV
妥当性の低さが問題とされていた言語性、動作性IQを廃止し、全検査IQ と言語理解・ワーキングメモリー・知覚推理・処理速度の4つの指標得点を算出する形式に変更。
下位検査の結果から、子どもの誤りの性質を表す7つのプロセス得点を算出。
得点の原因を詳細に分析可能になった。
現在はWISC-Vが普及しており、知覚推理の代わりに視空間、流動性推理を加えた5つの指標得点を算出している。