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成熟優位説(maturation advantage theory)
○成熟優位説(maturation advantage theory)
○ゲゼル(Gesell, A.L.)は、心身の成熟によって成立する学習が可能となるための学習準備状態をレディネス(readiness)とよび、レディネスの整っていない学習は効果をもたないと主張した。
これは、成熟優位説とよばれ、ワトソン(Watson, J.B.)の「あらゆる発達は、適切は環境からの条件づけによって成立する」という行動主義・環境優位に対する主張という位置にある。
双生児の階段のぼり訓練
ゲゼルは一卵性双生児の乳児TとCに対し、Tは生後45週目から6週間、Cは生後53週目から2週間階段をのぼる訓練をさせた。
訓練後にはTは26秒で登れるようになり、何もしていないCは45秒でかかったが、 Cが2週間訓練すると10秒で登れるようになり、Tは依然のままで26秒かかった。
Tはレディネスが整っていない状態で訓練をしたため、訓練はほとんど意味をなさなかったが、Cはレディネスが整ってから訓練をはじめたため、すぐに階段を登れるようになった。
79週目には2人ともほぼ同じ速さで登れるようになった。
○輻輳説(convergence theory)
シュテルンが提唱した発達は、遺伝要因と環境要因が輻輳(収束)して、はじめて決まるという説。
現在では、①発達は遺伝と環境の単純な加算ではない、②遺伝と環境が 色々な特性・才能・素質の開花にどのような影響を与えるのかといった詳細な議論がないため、積極的に支持されていない。
○環境閾値説(environmental threshold theory)
遺伝によって与えられた才能を伸ばすためには、相応の環境が必要であるという説。
遺伝的な素質が環境の影響を受けて発現し、特性ごとにその発現のしやすさが異なると考える。身長は環境の影響力が少ないが、絶対音感などは適切な環境がない限りはほぼ身につかない。