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BEST 10 ALBUMS OF 2022

夏に焼かれた皮膚は気付けば薄白く、お気に入りのTシャツはワードローブの深淵に沈んでいく。
乾いた肌を冷水が刺す、伸びた前髪。
街はイルミネーション、君はイリュージョン?
まあ、師走である。
四季に順位を付けるなら"冬"が1番です。
冬生まれの性なのか、迫り来るイベントのラッシュのせいなのかは知らない。

毎年末に一年を振り返る為に"ベストアルバムオブザイヤー"を独りで作っている。
SpotifyやAppleの人工知能が纏めた統計データでは無く、自身のデータ化出来ない感情と感性の物差しで計った10枚。
今年は頑張ってレビュー的な物を書いてみました。
"好き"の度合いは、再生回数とは比例しないと信じているので、、

さて、リズムとメロディの鎖を引きちぎると、湧水のように言葉が出てしまうので、ここらで栓を閉めておきます。

本題のベストアルバムを1枚ずつ解説していこうと思います。
(順位、タイトル、ジャンル、点数)

・第10位 
・Franc Moody - Into The Ether (U.K. 🇬🇧)
・Genre: Funk, Electronica
・75/100

Franc Moody - Into The Ether

※かわいいので国旗付きで紹介します。

ロンドン出身の2人組Funk, Electronicaユニット、"フランク・ムーディ"の新譜です。
最近知ったのですが、聞いた瞬間、Daft Punkの音だっ!となったし、どこかJamiroquaiも感じる。
それでいて現代的にソリッドさも良い。
オススメはM.5 "Raining in LA"

・第9位
・Wet Leg - Wet Leg (U.K. 🇬🇧)
・Genre: Indie Rock
・77/100

Wet Leg - Wet Leg


ワイト島出身のまたもや2人組Indie Rockバンド、"ウェット・レグ"のデビューアルバム。
デビューアルバムらしく、荒削りさが良いのだ、永遠に完成なんてしないで欲しい。
とにかく、お茶目でふざけている。
それでいて攻撃的。
近年サウスロンドンから始まったロックの逆襲、その一端を確実に担っている。
これこそロックバンド! 
2023年来日もするそうです。
オススメはM.5 "Wet Dream"。

・第8位
・King Gizzard &The Lizard Wizard -
 Omnium Gatherum (Australia 🇦🇺)
・Genre: Psychedelic Rock
・79/100

King Gizzard &The Lizard Wizard -
 Omnium Gatherum

メルボルン出身のPsychedelic Rockバンド。

※ちなみに、毎回出身地を書くのは、風景を想像しながら聞くのが好きなので書いてます。

多分、女の子に好かれないであろう、野郎による野郎の為の爆音ファズバンド。
しかし、おれは、そこから時折顔を出す繊細さと浮遊感に殴られてしまった。
サイケといえば昔はイギリスやサザンアメリカを想像するだろう、しかし、現在のサイケロックの爆心地は間違いなくオーストラリアである。

心地よいトロピカルさ、乾いたメランコリック、地鳴りの様なファズまで1曲で18分もある
M.1 "The Dripping Tap"は感じさせてくれるはず。

・第7位
・Kikagaku Moyo -
 Kumoyo Island (Japan 🇯🇵)
・Genre: Psychedelic Rock
・80/100

Kikagaku Moyo - Kumoyo Island

サイケはオーストラリアだけの物じゃあないです。
東京出身のPsychedelic Rockバンドによるラストアルバム。
我らの日本には"幾何学模様"が居ます。
完全に日本の誇りです。万歳。

残念ながらこの記事を書き終えた頃にはラストライブを終えてしまうのですが、
先日Pre-Finalを観に行ってきました。
おれは、最悪な事に、38度の熱とそれを誤魔化す為の"お薬"のせいで脳味噌がグワングワンの状態で観てしまった。
だがしかし、多幸感、ハッピー、フワフワ、2時間のトリップは凄まじいものだった。

ただ、今回はライブではなくアルバムのレビュー。
今作"クモヨ島"は、まるでリスナーをアジアツアーにでも連れてってくれているのか、古典邦楽、昭和歌謡、インド音楽、タイ音楽?、
とにかく我々アジア人の持つ潜在意識に語りかけてくる。
とてもラストアルバムとは思えない、笑顔でカウチに腰掛けて聴きたいアルバムである。
オススメは、M.5 "Cardboard Pile"。

・第6位
・Rina Sawayama - Hold The Girl (U.K. 🇬🇧)
・Genre: Pop, Rock
・85/100

Rina Sawayama - Hold The Girl


新潟出身、ロンドン在住のS.S.W.によるニューアルバム(Pop)。
この人も、夏にサマーソニックでライブを観ました。
おれの中では、確実にフェス内でのベストアクトでした。
最初に聞いた時、マドンナの中から宇多田ヒカルが顔を出しているみたいで面白いと思った。
彼女は、4歳からロンドンに住んでいる、完全なイギリス育ちなのだがどこか日本の血も感じる、その無国籍的にな音が心地よかった。
そして、ただ単純にアップビートが体を揺らしてくる。
言葉にし難いのだが好きです。
特にリードトラックのM.4 "This Hell"。

・第5位
・Arctic Monkeys - The Car (U.K. 🇬🇧)
・Genre: Indie Rock, Garage Rock
・86/100

Arctic Monkeys - The Car

言わずもがな2000年代の頂点に上り詰めた、シェフィールド出身のIndie, Garage Rockバンド。
「アレックスターナー(Vo.)と言う男は常に"男らしさ"にコンプレックスを抱いているんじゃないか」、そんな事を確信させた今作。
ただ、彼らはそのコンプレックスを最高にダンディな音楽で解き放ってくれる。
前作"Tranquility Base Hotel & Casino"で作風を一気に切り替えたアークティック・モンキーズ。

今回は、どんな裏切りが待っているのかと少し期待し過ぎたところはある。
それでいても、この順位に入れざるを得ない良さです。
月より帰還した彼らは、現代のフランク・シナトラ出来ないダンディズムの塊。
進んではいないが古臭さは皆無。
遊びに疲れ果て、薄明かりの部屋で、タバコに火をつけ、スコッチの蓋を開ける。
ジャズの甘さに飽きた、その時の為のBGM。
オススメは、M.5 "Body Paint"。

・第4位
・FKJ - V I N C E N T (France 🇫🇷)
・Genre: Nu Jazz, Electronica, Chillwave
・90/100

FKJ - V I N C E N T

フランス中部、トゥール出身のマルチプレイヤー、ソロアーティストのFKJ(French Kiwi Juice)のニューアルバム。
友達に教えてもらって最近初めて知ったのですが、周りのクリエイティブな友達は皆んなずっと好きだったらしく置いてけぼりを食らった気分になりました。
今まで知らなかった事が悔しい程に、良い音楽です。
いわゆるChill, Nu Jazz系の音楽なのですが。
M.1 "Way Out"なんて曲名の通り、チルいのに走り出したくなる程に掻き立てられる。
音の粒による波状攻撃。

「流石、フランス、、」と、言わんばかりにロマンチック、セックスBGMにでもしようものならどちゃくそエロい1時間を作り上げるでしょうよ。
更には、"Santana"や"Toro Y Moi"など多種多様なアーティストをフィーチャーしており、特に"((( O )))"とのM.7 "Brass Necklaceは女声ボーカルを完全に自分の楽器として制圧しています。

🥉第3位
・Dayglow - People In Motion (U.S. 🇺🇸)
・Genre: Indie Pop, Indie Rock
・90/100

Dayglow - People In Motion

いよいよ第3位ですが、テキサス州出身のSloan Strubleのソロプロジェクト"デイグロー"のニューアルバムです。
※日本のデイグロー(DYGL)とは別物です。
正に、ポップと言う言葉がしっくり来る。
そんな、多幸感に溢れ、ダンスせずにはいられないファンキーな曲達。
まず、前作と比べてもポップでファンキーなアルバムになってます。
特にリードトラックM.3"Then It All Goes Away"のベースライン!
こうゆう単純でバカっぽいのがええのよ。
イントロのルート弾きだけでカッコ良い。

80s的なシンセベースも中毒性があってリピートしちゃいます。
M.4 "Deep End"

🥈第2位
・Harry Styles - Harry's House (U.K. 🇬🇧)
・Genre: Pop
・92/100

Harry Styles - Harry's House

ウスターシャー出身。
元One Directionのハリーのサードアルバム。

正直このアルバムを聞いて彼の事を深く知るまでは、この男の事は嫌いであった。
面のいいアイドルが金と人脈で音楽をやっているんだろうと先入観で観ていたからである。
しかし、そんな事はなかった。
先述の"Wet Leg"のカバーをいち早くするなどピカイチのセンスの持ち主だったのだこのイケメンは、、

去年から東京はもちろん世界で流行ったメンズのパールアクセサリーを広めたのもこのハリー・スタイルズである。
奇しくも、ちょうどいいタイミングでばあちゃんに貰ったパールを毎日つけていたおれは少し出遅れた気分だった。
余談だがばあちゃんのパールは千切れ飛んで、今はオカンのお下がりを着けている。
ばあちゃん長生きしてくれ、、

話を戻す、先述のDayglowでも触れたが、このアルバムも80s Pop, Funk的な要素をふんだんに含んでいる。

特にリードトラックであり、今年世界中のトップチャートにのさばりまくったM.4 "As It Was"なんて、A-haの"Take On Me"を彷彿とさせる王道のポップソングである。
それでいて"Take On Me"とは別のアプローチで完成されたグッドソングです。

こんな曲どう考えたっていいじゃないか!
話は外れますが、日本のトップチャートにこんな曲達がほとんど入って来ないんですよね。
みんなワンピースの主題歌ばっか聞いてて楽しいんですかね?耳糞掃除をオススメします。

アルバムタイトルは彼がレコーディングで東京に来た時に、細野晴臣の"Hosono House"を教えて貰ったらしく、そこから来ているのだそう。
以外な名前が出てくると思ったが、M.1 "Music For a Sushi Rertaurant"(寿司屋の為の音楽)なんて曲が入ってるのも、そうゆう事なのかも知れない。

🥇第1位
・Toro y Moi - MAHAL (U.S. 🇺🇸)
・Genre: Psychedelic Pop, Chillwave, Funk
・98/100

Toro y Moi - MAHAL

今年1番聴いたアルバムであり、ずば抜けて最高な1枚がコレです。
サウスカロライナ出身のチャズ・バンディックのソロプロジェクト、"トロ・イ・モア"の最新アルバム。
Funk, Jazz, Hip-Hop, Rockの要素を持った曲達をPsychedelicな浮遊感でまとめあげており、アルバムを通して全く飽きが来ないです。
先述のFKJのアルバムに参加したトロ・イ・モアは全然本領を発揮できていない。
そう思わせる程の完成度です。
M.3 "Magazine"ではSalami Rose Joe Louis)をフィーチャーしており不安定な浮遊感でチルアウトさせてきます。

そこから次のM.4 "Postman"では、笑えるくらい愉快なファンクを聞けます。

そして、アルバムの中で最後まで飽きの来ないのが途中でいきなりこんなジャズを突っ込んできたりするんですね。
どんだけの要素を孕んでんだってワクワクして最後まで聴いちゃいます。
M.6 "Last Year" 

ぜひ、一度聞いてみて下さい。
彼の曲は、ライブバージョンも音源と違ってすごく良いです。

おれの今年のベストアルバムはこんな感じでした。
もちろん他にも良いアルバムや曲、ライブはいっぱいあったんですが、また無限に長くなりそうなんでやめときます。
良いお年を!

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