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今の日本は過去の精神医学の問題を繰り返そうとしている

昨今、「新型うつ」というものが増えているらしい。特に若者に多いそうだ。

この「新型うつ」は、「甘え」や「わがまま」として誤解されやすい。

その理由はいくつかあって、まず一つ目に「好きな事は楽しめる」からです。

仕事になると気分が憂鬱になり体が動かず、機能しなくなってしまうのに対し、休日や好きな事をしている時は別人の様に元気になる。

これだけ聞くと誤解されても仕方ないかもしれない。しかし、本人達は苦しんでいる。

そして二つ目の理由は、従来のうつ病は拒食・不眠の症状が多いのに対し、新型うつでは過食・過眠の症状が多いからである。

実際、従来のうつ病でも過食や過眠の症状は存在する。しかし、そこまで認知はされていない。

なので、周りからすれば「ちゃんと寝てるやん」「めっちゃ食えるやん」となるわけである。

その結果、本当に苦しんでいるにも関わらず、仮病扱いされ責め立てられる。

なぜかと言うと、辛い事にその「うつ」が本当なのか、当人が嘘をついているのかの判断が出来ないからである。

現代の診断の大きな基準は客観的な症状である。

つまり、体や脳に異常がなければどれだけ辛さや苦しみを訴えても「詐病」となり、まともに取り合ってはもらえない。

この論争は過去にも繰り返されている。

まず18世紀、シャルコーとフロイトの時代には、現代でいう「精神疾患」はただの嘘つきとされた

その背景には、嘘か誠かを見極めれない医療があり、もし本当は病気ではない人間が病気だと偽り、社会の制度の恩恵を受け国民の義務を回避するような事があれば国としてはたまったものではない。

なので社会的には、そういう人は「嘘つき」だと判断し、突っぱねる方が美徳とされた。

そして実際に、イギリスやロシアの産業革命の際には、そういった人間が存在した。

大変な労働から逃れるため病気を偽り、楽をしようとした。

もちろん全員がそうでは無いがそこの判断は誰にも出来ない。

なので、そういう主張をするにも関わらず、なんの症状もない人間は全員嘘つきだと断定しざるを得なかったのだ。

現代になり「新型うつ」でも同じ事が言える。

誰も判断が出来ない。もし仮に、病気を偽っているだけの人間が国民の税金で生活していたとしたら、国民にとっても国にとっても良い事では無い。

しかし、もちろんそんな人ばかりではない。本当にしんどくて、本当に助けてほしい人もいる。

なので、これは非常に難しい問題ではあるが、19世紀、20世紀の問題を繰り返すのではないかと懸念している。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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