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地域の手話サークルの噂その4

 これまで地域の手話サークルについて思ったことを書いてきました。

 特に前回のnoteを読み返すと、好き放題言ってる。あーだこーだ言う前に自分も行動で示すべきですね。

 そこで今回は「噂」ではなく僕の挑戦のお話。



 先日、所属する手話サークルで学習担当に立候補した。学習の内容は、基本的な単語の確認。

 これまで手話単語をただ紹介するだけのところ、今回だけの特別ルールで進行してみた。


 それは「学習中は音声禁止」というルール


 サークル内には手話始めたての人もいるので、厳しいかなあと思いつつチャレンジ。1時間程度、完全に声なしで進めることができたので、反省点を書き残しておきたい。

 手話初心者の反応はよかった。ホワイトボードにキーワードを書いて説明したのである程度の情報は補足できたと思う。

 手話初心者よりも慣れている人の方が声に頼る傾向があって、苦労していたように感じた。

 ろう者からはその地域特有の表現や昔と今で変わった手話を紹介してもらえてよかった。

 声なしの進行に関しても、ポジティブな反応を多数もらえた。ただし、一方的に説明する時間が長かったので、初心者が表現する機会をもっと作った方がよいという意見があった。




 正直なところ、僕の入った地域の手話サークルは、聴者の手話レベルが高くない。

 その地域の手話やろう者の豊かな表現を見たり、特に高齢のろう者の文化・運動の歴史について直接お話を聞いて学びたいと思って僕は手話サークルに参加している。

 しかし、手話で込み入った話をして盛り上がっていると、手話初心者が置いてけぼりになってしまう。

 厳しい受験校だったら、分からない人は置いていかれる。もっと手話やろう者について学んでから出直してこいと言われるだろう。

 でもここは手話サークル。そんな厳しい場所にしてはいけない。手話を学ぶ場ではあるものの、地域のコミュニティという側面が大きい。

 つまり、聴者にとっては、初めて「ろう者」と出会って手話やろう文化の存在を知る場所。ろう者にとっては、地域で聴者との繋がりを作り、ろう者同士で交流できる場所。

 聴者でろうあ運動や手話通訳まで考えている人は少ないし、ろう者も手話自体は使いこなせても言語として教える技術があるとは限らない。

 "意識が高く"手話を磨いていこうとする人間の肩身はとても狭い。

 あくまで手話サークルであって、手話教室や手話通訳講座ではないのだ。



 僕の周りには「地域の手話サークルは合わなかった」という人たちが多い。SNSでも批判的な意見をよく見る。

 それは、地域の手話サークルにできることと、求めているものがズレていることが理由の一つだと思う。

 その他の理由は〈噂その1〉〈噂その2〉〈噂その3〉で書いた通り。


 手話サークルは(言語として)手話を学ぶ場所でも、手話通訳の技術を磨くための場所でもない。本来はその機能もあったかもしれないが、僕の知る限り全く十分ではない。

 もっと手前の「手話ってなんだろう?ろう者ってどんな人?」という人たちが手話に出会う場所だと思い始めた。


 手話通訳講座と時間が被ってしまったので、これからしばらく地域の手話サークルには行けない。

 でも、通訳講座が終わってからも、僕は手話サークルに積極的には行かないだろう。

 僕の求めるものと手話サークルでできることがズレていると分かったから。

 実際に参加して、今の自分に合うものを見つけていく。実体験が大切で、噂や伝聞は頼りになりません。


 この〈地域の手話サークルの噂〉シリーズもここで一区切りになります。

 noteを読んだ方は、ぜひ自分の目で、自分の地域の手話サークルを見てきてほしいですね。

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