原田智亜美さん GRAPES北参道新曲書き下ろし企画「セミロング」 @GRAPES KITASANDO(2024年9月23日)
2024年9月23日、祝日のライブ。GRAPES北参道お馴染みの新曲書き下ろし企画「セミロング」で、原田智亜美さんが新曲を初披露しました。
この日のピアノも、もちろん岡島沙予さん。いつも素晴らしい演奏を届けてくれます。
今回の新曲でも、一度聴いただけで即好きになってしまう魔法に掛けられてしまいました。
【セットリスト】
1.夏の終わり、続く夜(新曲)
2.透明になれなかった僕へ
3.夢のあとさき
4.常盤色の日々
5.八月のまぼろし
6.Spot light
1.夏の終わり、続く夜(新曲)
それはライブ開始早々。いきなり聴きなれないイントロの新曲で始まりました。
なんと9月1日に開催されたワンマンライブ「夏の終わり、続く夜」から、そのライブタイトルをそのまま曲名に。夜はあの日からずっと続いていたのでした。
綺麗なイントロから、これまでに聴き馴染みのないテンポ感で奏でるメロディは、アンニュイでまさに ”夏の終わり” を連想させる、気持ちの良い浮遊感が漂います。個人的には、秋の訪れで夏の喧騒から人々が去ったビーチに、ただ一人佇んでいるような印象を受けました。
公開された歌詞と、智亜美さんがテーマの「セミロング」をどう捉えて作られた曲かの言葉を読むと、より一層曲の輪郭がはっきりと浮かび上がります。また1曲新しい世界が広がった感じです。
これからまたたくさん何度も繰り返し、聴いていきたい曲になりました。
「セミロング」=「中途半端」という印象から生まれた曲だそうです。
2.透明になれなかった僕へ
1曲目に課題の新曲を無事披露してリラックスできたのか、2曲目以降も実に伸びやかで艶やかな歌声を聴かせてくれました。
「透明になれなかった僕へ」も2022年10月「名前」というテーマの新曲書き下ろし企画でできた曲。すでにライブで数多く歌われていて、すっかり定番曲としてのポジションを確定しています。
3.夢のあとさき
この曲も2023年1月の新曲書き下ろし企画でできた曲。そのときのテーマは「緊張」。
新曲お披露目の際に初めて聴いて強烈な衝撃がありました。その時の感想は以下のリンクから。
この日はアウトロがいつもと少し違っていたように感じたので、終演後沙予ちゃんに確認したらやっぱり違ってました。こういう細かいところで絶妙にアレンジに変化をつけてくれる。定番化した曲でも少しずつ成長しているのを感じます。このアウトロバージョンも、これからもたくさん聴きたいです。
4.常盤色の日々
1月27日の向江陽子さん企画の『Strings Live』で聴かせていただいてから、ライブで歌っていただける機会も増えた「常盤色の日々」。この曲も2023年4月の新曲書き下ろし企画で作られた曲。テーマは「ブックマーク」。常盤色が表す「普遍」が「ブックマーク」する目的とも相通ずるものがあるとして書かれた曲です。『Strings Live』では、弦カルも入ったフルバンドでこの曲がもつ圧倒的な世界観を表現してくれました。この日は沙予ちゃんの素晴らしいピアノ演奏で、シンプルながらも歌が抜群に際立つステージを届けてくれました。
5.八月のまぼろし
智亜美さんの代表曲のひとつとも言える超定番曲「八月のまぼろし」
この日も、伸びやかな声で実に素晴らしい歌を届けてくれました。自分的には「八月のまぼろし」を聴くと智亜美さんの声の調子など分かるような感じの曲です。この日の調子は絶好調でした。
9月1日のワンマンライブ「夏の終わり、続く夜」の質問コーナーで「青の狭間」と並んでご自身が一番好きな曲のひとつと答えた通り、特別な1曲です。
6.Spot light
アンコールなしで締めくくられたライブ最後の曲は、やはりこの曲「Spot light」
智亜美さんのライブの真髄をギュッと凝縮したような存在感のある曲です。
この日も余韻を惜しむかのような沙予ちゃんの感動的なアウトロで終了。このアウトロ本当に好きです。
実は、前日に予習としてオリジナルアルバム「Spotlight」を聴いていました。声も今より少し幼さが残る感じで、曲のテンポも若干早い音源。オリジナルアルバムの音源の歌もアレンジもやはりいい。特に曲の最後、アウトロが何度も繰り返すリフレインがフェードアウトしていくところ、最後の最後まさに消え入りそうなところがすごく好きです。音源にしろライブにしろアウトロまで愛せる素晴らしい楽曲だと思います。
智亜美さんご自身では、自分の曲数が少ないとか、なかなか新曲を作るのが遅いとか時々言われますが、新曲書き下ろし企画などで1曲ずつ質の高い楽曲を増やし、それを長くライブで聴かせてくれる今の活動状況はすごく好感が持てます。矢継ぎ早に新曲を出してすぐに消費されてしまうような音楽は悲しいです。いい曲を長く愛せる。そういう形でこれからもマイペース音楽活動を長く続けていただきたいと切に望みます。