そうさ今こそアドベンチャー

　水の減りが早くて困っている。

　妻と付き合い始めた頃、彼女の家にはウォーターサーバーがあって、凄く便利だといい――――1か月もしないうちに、結婚したいとか言われたので、家賃もったいないから一緒に住んじゃえと提案すると、すぐさま同棲する事となるが――――ウォーターサーバーがあればいかに便利かと力説され、我が家にも導入される事となる。

　冷たい水や、熱湯に近いお湯がいつでも出るので、そりゃ便利といえば便利なのだけれども、この機械がノーメンテナンスというのはどうにも信用ならず――――旅行とかに出かけると、雑菌が繁殖したような匂いがしたりして、本当にだいじょうぶなのかと心配になるしる。しかもなんか契約していた会社が、扱ってる水の銘柄が減っていって、最終的に選択肢は一つで、しかもなんか美味しくないので、やめたいやめたい思っていたのだが、とうとう妻にこの水不味いからやめないか？と提案したら、確かにまずいからやめようと、あっさり納得してくれて晴れて水のない生活が始まったのだ。

　しかし水のない生活というのも不便な物で、東京住なんだから歩いて数分で何処でも水なんか買えるんだから、別にちょいちょい買えばいいじゃないかと思うわけだが、そういうマメなことで解決できるような不便さは妻が大嫌いなので、じゃあ財宝はどう？と聞くと、財宝は美味しいからいいと思う！と、財宝を定期注文する事となる。

　なんで財宝かというと、私の釣りのお師匠さん（と周りが勝手に思い込んでいる人物）と一緒に釣りをしていた際、お師匠さんの中で伝説となっているらしい、素手ランカーファイト事件（竿先に糸が絡まって巻けなくなったので、竿を投げ出して、素手で糸を手繰って大層大きなスズキを釣り上げた事件）その際、近くにいて竿先の絡まった糸をほどいてくれたのがお師匠さんの唯一の友人であるという人物なのだが、その人が財宝の営業部長さんだったのだ。そんな縁があって、財宝とはかねてより契約したいと考えていた――――

　偶然、妻も財宝は美味いという認識があった。さすが××年連続通販ミネラルウォーター売り上げナンバーワンの会社だ。というわけで、晴れて財宝を定期購入する運びとなったのである。

　水が足りない。

　ただ、皆が水を飲み過ぎて水が足りないと書きたいだけなのに、随分と説明が長くなってしまった。

　医者にたくさん水を飲みなさいといわれているので、元々私は水をたくさん飲むようにはしていたのだが、やはり財宝は美味いと、妻もガンガン飲むようになり。
　生まれて数ヶ月からずっとルイボスティーを好んで飲んでいた子供も、何故か最近水が一番美味しいと言い出して、水ばかり飲むようになってしまい。
　そして下の子もミルクの割水に財宝を使用していて、他の水を使用すると嫌な顔をする。
　さらに日本酒を買うお金がないので、焼酎の水割りばかり飲むようにしていたら、水割りの水もどんどん使用するようになってしまい、もうナンボ水あっても足りまひん状態に陥ってしまったのである。

　月に2回も追加注文しているので、さすがにちょっと費用的にもアレな感じなので、こりゃ近所の酒屋でアルプス天然水を買ってきて、少し節約しますかと提案してみると

「私はもうアル天には戻れない。」

　水が足りない。いや、水は足りているが、金がかかりすぎている。

　それでは、また、どこかで。

　xoxo

　キノピ