”地下神殿”こと首都圏外郭放水路を見学した話
1月13日(木)に埼玉県春日部市にある首都圏外郭放水路を見学してきたので、以下にまとめてみたいと思う。
1.そもそも行くきっかけは?
昨年末に東武線某駅で「春日部駅から地下神殿まで期間限定で無料バスを走らせています!」という看板を見たからだ。まあその時は”地下神殿”が何なのかもよく分かっていなかったが、ちょうど遠出したい気分だったし、バスが出るくらい遠いところにタダで行けるのは美味しい! ということで家に帰るなり早速ネットで調べて見学予約。”地下神殿”ってどこかで聞いたことあると思ったけど、地下の貯水池のことだったのか~
見学プランはいくつかあったが、自分が希望した、”地下神殿”に加えて立坑と呼ばれるタテの巨大な穴を見学できる「立坑体験コース」は意外に混んでいて、すぐに行くことはできないようだった。本当は知り合いも誘おうと思ったが、いつ予約が埋まるか分からないので一人分の空きがあった1/13の午後のプランを申し込み。クレカで決済も終わらして、あとは当日無事たどり着けるかだけだ。
2.まず春日部を散策
春日部には行ったこともないし、筆者の家から近いところでもないので余裕をもって家を出た。春日部駅には13時頃に到着。
先ほども書いた通り春日部駅から”地下神殿”に行くために無料バスが走っており、今回はそれに乗車して現地に向かうつもりである。ただ事前にダイヤは調べたものの、バスの出発場所が分からない。困ったなと駅周辺をプラプラしていると、隣(上の写真の駅舎左側)に東武の観光案内所があることに気づいた。乗り場案内書いてないかなあと入口付近を見ると…
…予想通りあった。これもバスのダイヤと一緒にサイトに公開されていたらもっと便利だと思ったんだけど、自分の見落としかな?
バスの乗り場は春日部駅東口から徒歩2分もかからない場所。駅前から延びる大通り沿いだし近くの店が目印になっているから迷うことはないだろう。とりあえずおなかすいたので何か食べ物を…と周辺を散策したが、めぼしい飲食店が無い。どうやら西口のほうが栄えているようだが、線路の反対側に渡るのが面倒だったしバスの出発時刻が近くなってきたので、コンビニでお茶とサンドイッチを購入しバスが来るまで周辺を散歩。
無料バスは出発の10分ほど前には到着していたようだ。自分が乗った時には先に50代と思われる女性が1名だけ乗車しており、結局出発までに乗車した人数は自分含めて4人。平日だし期間限定の運行だから人数が少ないことは仕方ないのかなと思いつつも、観光や地域活性化を含めた実証実験の一環として運行されているようだから、この実験が、例えば実用化されて定期運航されるかなど、有意義な結果をもたらすのか不安である。
バスに揺られること20分、龍Q館に到着。ここが今回の目的、”地下神殿”の最寄りの停車場である。バスの中では連日の寝不足がたたり意識が朦朧としていたが、どうやら運転手さんが道中で多少の観光案内をしたようである。詳細が分からず申し訳ないが、観光を目的の一つとして運行しているバスという性格を表しているのではないだろうか。
3.いよいよ地下神殿へ!
見学開始は15時なので1時間ほど余裕がある。龍Q館を見学しよう。龍Q館という建物は首都圏外郭放水路に関する資料館であり、放水路全体を管理する中央操作室を覗けるほか、建設の経緯や放水路の仕組みなどをパネルや模型を使って詳しく説明している。春日部地域は標高が低いうえに川が多いため水が溜まりやすく度々水害に見舞われたことから、この地下に外郭放水路ができたそうだ。ギャラリーには治水の必要性といった幅広いテーマや、放水路建設時に出土した貝の化石が展示してあったり、龍Q館から撮影された風景写真が展示されており、こじんまりとしつつも飽きさせない内容だ。なお、龍Q館自体は無料で入ることができるようだ。
30分くらいじっくり見学していったん外に出た。シールドマシンやセグメントが屋外展示されている。
それにしてものどかである。龍Q館は江戸川に隣接しており、一通り展示物の見学を終えた後は川沿いで黄昏ていた。周りには何もないが、このような広々とした風景を眺めるだけで心が洗われる気がする。
15時になりいよいよ見学開始である。総勢20名ほどであり、自分以外は全員40代以降の方と思われる。外国人の方もいらした。今回申し込んだ「立坑体験コース」の流れは、龍Q館見学→”地下神殿”見学→第一立坑見学である。龍Q館はさっき見たが、ポンプ排水などの模型をガイドさんが動かしながら説明してくださった。(ボタン式で作動するが、普段は触れないようになっている)
待ちに待った”地下神殿”見学の時間である。階段をひたすら下って地下6階相当の場所に降り立つ。年配の方も難なく降りていた。するとそこは…
…確かに、地下神殿!
コンクリートで覆われた広大な空間と、それを支える何本もの巨大な柱。そして奥が暗闇で恐怖をそそる構造。まさに神殿という言葉がふさわしい。何も知らなかったら本当に宗教的施設と勘違いしそうだなあ… なおこの場所は映画の撮影にも使用されたことがあるみたいだ。有名どころだと「翔んで埼玉」や「仮面ライダー」
大雨の時に春日部周辺を流れる6本の川から取水された水はこの”地下神殿”こと調圧水槽に貯水され、庄和排水機場という名のポンプ施設で徐々に江戸川に放水されるのだ。この広大な空間には、サンシャイン60ビルいっぱい分の水を貯めることができるらしい。地下の貯水量としては世界一だとか。
降りるときに使った階段を今度は上っていったん地上へ。次は第一立坑見学。第一立坑は”地下神殿”からも見えるようにすぐ隣にある。今度は安全ベルトとヘルメットをして上の写真に写っている階段を下る。下が丸見えだから高所恐怖症の人にはつらいんじゃないかな…
階段をすべて降りることは時間の都合か安全上の懸念かできないが、途中まで降りて写真撮影。第一立坑の最深部を覗くが、深すぎる。ここで落とし物したら絶対に取りに帰れないね。
最後に地上に上がってヘルメットと安全ベルトを外し、見学会は終了。上り下りの多い見学だったが、年配の方もそこまでしんどそうではなかったように思われる。”地下神殿”は名前も見た目もインパクトあるし、治水事業の重要性も認識できるいい見学会だったんじゃないかな。個人的には、名前だけ聞いたことのある”地下神殿”に実際に行けたことと、首都圏外郭放水路という巨大な建築プロジェクトを間近で見ることができたので満足。
帰りも行きと同じように無料バスで春日部駅に戻る。帰りはなぜか2人ほど乗車人数が増えていた。途中「道の駅 庄和」という場所に止まったが乗り降りはなく、20分ちょっとで春日部駅に到着。あとは自宅に帰るのみ。
4.今回の”地下神殿”アクセスまとめ
最後に軽く今回の”地下神殿”へのアクセスを紹介して終わろうと思う。
2021年12月1日~2022年1月31日まで、春日部駅から”地下神殿”最寄りの龍Q館を経由して春日部駅に戻る無料バスが運行されており、筆者は今回これを使った。見学会の開始・終了に合わせて運行している。ダイヤなどの詳細は以下のリンクを参照。
20211130.pdf (tobutoptours.co.jp)
なお繰り返しになるが2022年1月31日までの期間限定運行であることに注意。今後運行される可能性もあるだろうから、無料バスの利用を考えている方はネットで調べてもらいたい。
そのほかの行き方として、南桜井駅からコミュニティバスの利用がある。ダイヤなど詳細は以下のリンクを開き龍Q館を参照。
市コミュニティバス「春バス」 主要施設へのダイヤ 春日部市 (kasukabe.lg.jp)
ただコミュニティバスの本数は少なく、筆者が調べた限りでは春日部駅・南桜井駅ともにレンタサイクルもないため、無料バスが運行されていない期間のアクセスはタクシーか車をおすすめしたい。