炎天下、高田馬場で異国料理を味わう
都心での用事を終わらせたあとにぶらりと立ち寄った高田馬場で、珍しい外国料理にであったのでぜひ紹介したい。
ミャンマー料理屋 ババ ミャンマーヌードル
訪れたのは高田馬場駅早稲田口から徒歩5分ほどのところにあるミャンマーの麺料理屋、「ババ ミャンマーヌードル」。
店内は4人掛けテーブル席が一つとカウンター席が六つほど。結構こじんまりしている。注文は食券制なので、メニュー以外は小さいラーメン屋と大差がないといったところか。
メニューはいくつかあるが、チェーオーというのがミャンマーの麺料理らしい。麺がビーフンや「平たい麺」であり原材料がコメであるところは、日本の麺料理とは大きく違うところだ。
チェーオー以外にもミャンマーの味噌を使った麺料理も取り扱っていたり、場所柄油そばも提供していたりと(高田馬場近くにある早稲田大学の学生は油そばが大好きと言われている)、結構ジャンルが幅広い。
とりあえず初の来店、なんならミャンマー料理を食べるのが初めてなので、一番スタンダードなチキンチェーオーを注文。麺はビーフンと「平たい麺」のミックスができるということなので、ミャンマー感をダブルで体感できるミックスを選択。
来店日は東京都心が36℃と猛暑であり、一緒に来た友人(エチオピア料理に同行してくれたヤツである)と「暑い、アツイ…」と嘆いていたところ、店主の方が気を利かせて冷房を強くしてくれた。あぁ~、命の風ェー!! とはいうものの相変わらず店内の空気はぬるい。東南アジアの空気感を体験したということなのかなあ。
そうこうしているうちに注文したチキンチェーオーが来た。鶏ダシの香りが食欲をそそる。では、いただきます。
まずは気になってる「平たい麺」から。あまり食べたことがない食感だな。餅を薄く切って茹でたらこれになるのかなって感じ。麺が太いので食べ応えがある。いいね。次にビーフン。これは中華料理とかで食べたことはあるからあまり新しい感じはしない。でも細麺だからスープと絡みやすいし、チキンチェーオー全体の味を一口で感じるならこっちのほうがいいかも。
スープは、鶏白湯にかなり近いですね。でもドロッとはしてないし、非常に優しい味。ちょうど来店した日のような、猛暑で食欲が失せている時に食べるものとしてはうってつけかもしれない。我ながら良い選択したな。なお一緒に来た友人は前日に結構酒飲んだみたいで二日酔い気味と話していたが、「体に染みる」と言いながら食べていた。
具材も日本の麺料理にはあまり入っていないものが多い印象である。たんぱくかつ栄養のある具材が多いので、スープの味と相まって健康食材っぽい感じである。健康な麺料理とか最高でしかない!と勝手に思うのであった。
なお、味変ができる調味料として、スイートチリソースやトウガラシをお酢っぽいもので漬けたもの(若干の酸味があるコーレーグース)が卓上に置いてある。程よい辛さを味わうならスイートチリソースで十分かなといったところだ。
日本にはまだ数が多くないミャンマーの麺料理を味わうことができる「ババ ミャンマーヌードル」、ぜひ来店してみてはいかがでしょうか。
アルメニア料理 MAYRIG
時間は前後するが、筆者が当日高田馬場に来て最初に訪れた店が「アルメニア料理 MAYRIG」である。日本で初めてのアルメニア料理店ということで、ネットで情報を見てからずっと気になっていたところである。場所は高田馬場駅早稲田口から徒歩5分くらい。
まずアルメニアってどこ?という話だが、上記の画像の通りカフカース地方にある国で、ジョージア・アゼルバイジャン・イラン・トルコの4か国に囲まれている内陸国である。古くから文明が栄え、世界で初めてキリスト教を国教にした国でもある。
あまり日本にはなじみのない国ではあるが、アルメニア人とかアルメニア系の人は結構世界にいて、世界的指揮者のカラヤンもアルメニア系とか言われているようだ。なんとかヤンという名字の人はだいたいアルメニア系らしい。(なんか若干関西弁っぽい…)
歴史的・民族的経緯から隣国のトルコやアゼルバイジャンとかなり仲が悪く(英語wikipediaによるとトルコとは"no formal diplomatic relations"である)、2020年の秋にはアルメニアに隣接するアゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフという地域をめぐって戦争が起きたりもした。
…とまあ長く語ってしまったが、とりあえず早速店内に入っていきたい。
エレベーターを降りて左奥に進むとお目当ての店である。最近できたようで、内装は綺麗だ。飲食店といっても厨房が仕切られているわけでもなく、マンションのキッチンみたいな感じである。基本的にテイクアウトのみだが、店内にはいくつかテーブルと席がありそこで食べることも可能らしい。
アルメニアにルーツのある女性の方が料理を作ってくれる。営業日は木金土で時間は木曜が17時~22時、金曜土曜が11:30~14時・17時~22時らしいが、筆者が訪れた日は13時で一度閉めるということだった。時間を含めて不定期のような気もするので、来店される際は事前にネットで情報を調べた方がいいと思う。(参考までに、お店のTwitterアカウントは@MayrigTokyo)
メニューはあまり聞きなじみのないものが多い(そりゃそうだ)。最初なのでおススメされた「キョフテとピラフのセット」を注文。あと「フムスとパン」というものもあったので、それも追加で頼む。
フムスというと茹でたひよこ豆をすりつぶしてレモン汁などを入れた中東料理であるが、どうやらアルメニアでも人気がある料理らしい。来店していたほかのお客さん曰く、「日本人がキムチ好きであることと同じ」ということのようだ。なるほど分かりやすい。
なお、アルメニアは旧ソ連の構成国であったが、当店のアルメニア料理はロシア料理とはあまり関係が無いらしい。店主の方はアルメニア系ではあるが、ロシア支配下を経験していない家系のようで、どちらかというとギリシャとかトルコの料理に近いということだ。
さて、買ったものを丁寧に自宅まで持って帰って、いざ開封!
見たこともない料理ばかりで興味がそそられる。まずは「キョフテとピラフのセット」のピラフから。では、いただきます。
ピラフにはナッツが入っているね。食感のアクセントになってて面白い。写真にも写っている細いものは、何なんだろう。味付けは、うーん、多分野菜とか肉とかのダシを使ってるんだろうけど、表現が難しいな… でも全然美味しい。
キョフテというのはトルコ風のハンバーグのことらしい。政治的には対立していても食文化は共有しているというところなのかな。これも普通のハンバーグっぽいけど、香辛料として細かい緑色の野菜が入っている。味もしっかりついているので、ソースとかかけなくても満足。
キョフテの下にあるニンジンのサラダは名前は分からないけど味付けが分かりやすい。ヨーグルトとニンニクで和えているはずだ。ヨーグルトとニンニクという斬新な組み合わせだが、案外いける。
じゃあ次は「フムスとパンのセット」をいただく。フムスをピタパンに付けて食べるのが良いのかな。
フムスはフムスって感じですね。濃厚な豆と、アクセントとしてレモンやトウガラシ(多分)の味がする。結構口に残るので、パンと一緒に食べるとめちゃくちゃ水分が欲しくなるな。
うーん、個人的にはフムスはあんまり好きじゃないかも。数年前にも別のフムスを食べて同じ感想だったので、筆者の舌が進化していないというところなんだろう(笑)。まあでも実際フムスはとても淡白な味付けなので、美味しくいただくためにはアレンジの技量が問われるというところなのかな。いずれフムスを美味しく食べれるよう研究したい。
ピタパンは初めて食べたかも。薄くて少し硬いイングリッシュマフィン(朝マックのバンズ)という感じかな。こっちもフムスに限らずいろいろな具材と一緒に食べると更に食べやすくなるかも。あともし家にオーブンがあるなら、オーブンで熱して食べるとより美味しいはず。
「アルメニア料理 MAYRIG」でテイクアウトした料理はどれも身近に食べられないものばかりである。アルメニアという文明の十字路で育った料理にもし興味が湧いたら、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。