【プレサスインタビュー Vol.6】鹿嶋市・かしまRCサーキット運営メンバー
茨城県鹿嶋市で「かしまRCサーキット」を運営する岡見正仁(おかみ まさひと)さん・小澤潤(おざわ じゅん)さん・谷口泰道(たにぐち やすみち)さん・小寺賢諭(こでら まさつぐ)さん。鹿行地域初のラジコンサーキットを鹿嶋市内にオープンし、初心者から上級者まで楽しめるサーキットとして多くのラジコンファンに親しまれています。
かしまRCサーキット
かしまRCサーキットは2023年11月5日にオープンしたばかりのオフロードラジコンサーキットで、ラジコンを走らせる楽しさや仲間と過ごす楽しさを追求した初心者から上級者までみんなで遊べるサーキットです。鹿嶋市出身で株式会社オカミ書店を営む岡見さんと有限会社小沢重機興業を営む小澤さん、東京都から鹿嶋市に移住し、ハウスクリーニング店を営む谷口さん、千葉県成田市在住の小寺さん(以下、KAIPA(カイパ)さん)の4名で運営されています。
オーナーの岡見さんがラジコンサーキットを作りたいと思い立ち、土地の提供やハード面での支援をしている小澤さん、ラジコンの魅力に取り憑かれラジコン仲間が欲しいと思っていた谷口さん、そして、ラジコンメカニックのプロでもあり、多くのサーキットを知っているKAIPAさんを巻き込んで作られたかしまRCサーキットには彼らの様々な想いや願いが詰まっています。
オーナー岡見さんのラジコンとの出会い
鹿嶋市で株式会社オカミ書店の息子として生まれ育った岡見正仁(おかみ まさひと)さんは小学4年生から6年生くらいにかけてラジコンブームを経験、ご自宅の目の前が「オモチャのたからや」さんだったこともあり、ラジコンに没頭する小学生時代を過ごしていたようです。
「いつもタミヤRCカーグランプリの映像を見て、いつか広いサーキットで走りたいな〜と思っていたんだよね。」と岡見さん。しかし、中学生になると忙しくなってしまいラジコンをやめてしまいました。
それから35年の月日が経ち、コロナウイルスによる緊急事態宣言真っ只中のある日、ふと思いついた岡見さんは新発売されたミニッツ4x4を購入。最初は自宅の庭でラジコンを走らせていましたが、そのうち自宅の庭では物足りなくなった岡見さんは公園で走らせるようになり、緊急事態宣言が明けると、ついにはつくばラジコンパークへ。
「つくばラジコンパークも楽しかったんだけど、カーペットのコースだったから少し物足りなくて…。やっぱり土で走りたかったんだよね。」と語る岡見さんは子供の頃夢見ていた土で走らせることのできるサーキットを知り合いに教えてもらい、千葉県旭市にあるGBサーキットへ。そこには子供の頃からの夢であった土のオフロードサーキットがありました。
「子供の頃からの夢が叶った瞬間だった!」夢だった土のオフロードサーキットで走らせることの出来た岡見さんは、今度は鹿嶋市内に自身でオフロードサーキットを作りたいと想いを馳せるようになりました。そして、その出来事やラジコンをユーチューブやX(旧Twitter)へアップするようになりました。
岡見さんと土地を提供した小澤さん
同じく鹿嶋市出身で有限会社小沢重機興業を営む小澤 潤(おざわ じゅん)さんは、メインの事業の他に古民家を改修した1日1組限定一棟貸しの宿「古民家 重庵」を営んでいたり、海辺にレンタルスペース「KOYAMA BASE」を作ってみたりと様々なことにチャレンジしています。
元々は鹿嶋市商工会青年部で先輩、後輩関係だった岡見さんと小澤さん。しかし、年齢差があったこともあり特に親しい間柄ではなかったそう。「岡見さんは歳が6個上だから元々すごい親しいわけではなかったけど、好きなことには力を発揮するすごい先輩だな、自分にはないものを持っている人だな〜って思って尊敬していたんだよね。」と語る小澤さん。
そんな中、小澤さんは岡見さんがラジコン好きで家でラジコンコースを作って遊んでいることをSNSで知ります。「別にラジコンに元々興味があったわけではないけど、岡見さんが家の庭でコースを作って遊んでいたのを見て、面白そうだと思って。興味があったんだよね。」と小澤さん。その後、岡見さんからラジコンサーキットを作りたいと相談を受けるも岡見さん所有の土地では場所的に厳しく断念せざる得なかったようです。
「相談は受けてたんだけど、ある日ふと、自分たちの土地があるな〜って思って。ちょうど仲町通りのオカミ書店の前の交差点を車で通ったら岡見さんを見かけて、その時に岡見さんに『こんにちは!ラジコンのコース場つくりましょうよ!』って言ってみたら岡見さんからも『いいね!作ろうよ!』って返ってきて。その時は車だったし、ブーンって走り去っちゃったんだけど…。笑」と語る小澤さん。
サーキットについて相談したことも忘れた頃の小澤さんからのサーキットを作りましょう!という声掛けに、岡見さんは「急になぜっ!?」とびっくりしたと同時にとても嬉しかったようです。
土地はあったもののサーキットに行ったことがなかった小澤さんはご自身の土地がラジコンサーキットに合う土地なのか分からず、千葉県旭市のGBサーキットへ見学へいくことに。「去年の8月くらいにGBサーキットに行って感動したんだよね。こんなに速いんだ!こんなに臨場感あるんだ!と思って。これは面白い!と思ったね。」と小澤さん。もっと他のオフロードコースもユーザーは求めている、という話を聞いた小澤さんはご自身の職業柄、土などを触る機会が多いこともあり、これであれば自分も出来そう!と思ったようです。このことがきっかけとなり、小澤さんと岡見さんのサーキットオープンまでの道のりが始まりました。
岡見さんと仲間を作りたかった谷口さん
東京生まれ、東京育ちの都会っ子の谷口さんは高校の時に流行っていて始めたサーフィンにハマり、鹿嶋の波を求めて、老後は田舎暮らしがしたかったというご家族と共に19歳の時に鹿嶋へ移住。それからはほぼ毎日サーフィンをして過ごしていたそうです。
しかし、サーフィンも毎日のようにやっていたのは25歳まで。その後は釣りにハマり、釣りで遠征をしたり、 高校生の時にモトクロスのフラットトラックレースに出場していたこともあり、練習場を作ってオフロードレースをやっていたりと多趣味かつ好きなことはとことん極めたくなってしまう性格な谷口さん。そんな谷口さんも小学生の時に1年だけラジコンにハマっていた時期があり、子供の頃の遊びが今に繋がっているようです。
「コロナの時にたまたまサーフィンをやっている先輩がラジコンを持っていて、見せてもらったら欲しくなって買っちゃったんだよね。最初は家の庭で遊んでたんだけど、家の隣の空き地を草刈りするから貸してって言って借りて、今度はコースを作っちゃったんだよね。そしたら他の人と走りたくなっちゃって。笑」と語る谷口さん。当時、地元の岡見さんや小澤さんとは面識がなく、ラジコン仲間が近くにいなかった谷口さんはある行動に出ます。
「YouTubeを見ていて鹿嶋でオカミ書店の人がラジコンやっていると知って、去年の4月くらいに岡見さんに会いにお店に行ったんだよね。庭のコースを岡見さんに見せたらすごいね〜!って言ってくれて。その後、8月くらいにサーキットを作るYouTubeを見て何か手伝えたらやりますよって連絡してみたんだよね。最初はお手伝いのつもりだったんだけどメンバーに入ることになっちゃって、今はコースマネージャーをやらせてもらっていてまさかここまでどっぷりハマるとは思っていなかったね。一緒にラジコンできたらいいな〜くらいにしか思っていなかったから。」と谷口さん。
そんな谷口さんはかしまRCサーキットをきっかけに20〜30人の鹿行地域のラジコン仲間と出会い、ご自宅のすぐ近所にもラジコン仲間がいたことを知ったようです。「こんなに近所にラジコン仲間がいるなんてサーキットがなかったら知らないよね!」と谷口さん。
谷口さんもご自身のラジコンへの想いはもちろんありつつも、岡見さんのラジコンへの熱と周りを巻き込む力に巻き込まれ、現在はコースマネージャーとしてかしまRCサーキットで活動されています。
岡見さんとプロラジコンメカニック小寺さんとの出会い
岡見さんが子供の頃からの夢を叶えたその日、同じく千葉県旭市にあるGBサーキットにいたKAIPAさん。お二人に面識はもちろんなく、土のコースで汚れてしまったラジコンを洗っていた岡見さんに声を掛けたことがお二人の出会いでした。
「洗い方違うよー!」
そのまま水をかけてラジコンを洗っていた岡見さんにそう声を掛けたKAIPAさんは、息子さんの小寺海飛さんが全日本チャンピオン、世界21位に輝くプロラジコンレーサーをしていた時に専属のラジコンメカニックとして仕事をしていたラジコンのプロでした。
「元々はとある会社の倉庫で働いていたんだけど、息子が小学4年生の時にクリスマスプレゼントでもらったラジコンにハマって全日本チャンピオンまでいったんだよね。その時にラジコンメーカーのYOKOMOのメカニックとして、毎日7時間くらいラジコンをいじっていたかな。土日はラジコンの大会に出るのによく遠征に行っていて忙しくて、世界大会に出るのに海外にも行っていたよ。」と語るKAIPAさん。
ご自身はあまりラジコンを走らせることはしていなかったものの、息子さんの一番のサポーターとして日本中、時には世界まで行っていたようです。かしまRCサーキットを作る際にそんなKAIPAさんに白羽の矢を立てた岡見さん。「僕も小澤さんもサーキットについては本当に初心者だし、知らないことばかりだったから『鹿嶋にサーキットを作りたいので、サーキットを作るにあたってお願いがあるんですけど…』って急にKAIPAさんに声を掛けてみたんだよね。KAIPAさんなら色々なサーキットに行っているし、ラジコンのことはもちろん詳しいし色々教えてくれると思って。」と岡見さん。
「声を掛けてもらった時は鹿嶋なんて釣りで数回行ったことがある程度だったし、幼稚園から小学6年生までバスケをやっていたからサッカーも特に興味はなかった。成田からも1時間くらいはかかるし、それ以外にも色々なことを考えたけど、息子も今はラジコンをやっていないし、次第に必要としてくれる鹿嶋のために自分が今まで見てきたことで岡見さんがやりたいことが出来るかもしれないと思うようになったかな。女子トイレとかテラス席のアドバイスをした時にすぐにやってくれて、それでやってみようと思ったね。今は友達も来てくれるし、応援してくれる人も増えたしやってよかったんじゃないかなと思ってる。ラジコンは横の繋がりが少ない界隈だから色々な人と繋がりが出来るのは嬉しいよね!」とKAIPAさん。
プロとしてラジコンに向き合ってきたKAIPAさんには、1つのサーキットでアドバイザーをすることに関しての葛藤もあったようですが、他のメンバーのラジコンとサーキットへの熱や想いに心を動かされたようです。
かしまRCサーキットへの4人の想い
かしまRCサーキット運営メンバーの4名はいずれもラジコンへの想いやこういう場所にしていきたいというサーキットへの想いが強く、定期的に打ち合わせを行なって改善点や課題の抽出を行っています。
「ラジコン業界のためとかではなく、ここに来てくれるお客様のために少しでも良いサーキットと思ってもらえるように環境を整えていきたい。」とKAIPAさんは語ります。
「コースは難しくならないようにしようと思っていて、初めてサーキットに行くような初心者だったり、ラジコンをやってみたいなって人が集まってくれたらいいなって思ってるかな。ラジコンをきっかけに気軽に集まる場所として使ってほしくて、ちょっとオシャレな空間にして女性とか子供とか競技をやっているような人でも行きやすい、みんなでワイワイ出来る場所にしたい。」とオーナーの岡見さん。
「やっぱり継続的に採算がとれるような運営体制を整えたいかな。どうしたらみんなに愛されるサーキットになるのか、ちゃんと儲かる仕組みを考えないといけないと思う。オープンから半年経って改善点もいっぱい出てきていて、他のサーキットよりも少し単価を高く設定させてもらっているから、やっぱりお客様にはそれなりのクオリティを求められる。その期待に答えられるようにコース整備とか労力をかけてやっているけど、対価には見合わないのがなかなか難しいよね。」と小澤さんはサーキット運営の今後の課題感を語ります。
「こういう場所ができたこと、作ってくれたことはすごい良いことだと思っていて、良いスタートを切れたと思っている。喜んでいる人もたくさんいるし、他所から来てくれる人もいっぱいいるし。ただ、長く続くことが一番重要だと思っていて、いつも賑わっている場所にしたいかな。今、個人的にはラジコンバギーを集中してやっていてレース活動も始めるんだけど、そうするとサーキットでの時間が減ってしまうし、仕事と趣味のバランスが難しいと思っていて、サーキットは趣味だけどお金をもらって運営をしている以上、趣味とも言ってられないし、自分たちだけでやっている分にはコースの状態は問わないけど、お客さんは常に良い状態を求めてサーキットに来るからそこがやっぱり難しいよね。」と谷口さん。
「今まで仕事としてやってきて楽しいというより大変だった。『ラジコンは出会いの道具』だと思っているんだけど、人と出会わせてくれるし、やっぱり笑顔で帰ってくれるようなサーキットを目指したいかな。鹿嶋に求めるものは環境であってほしくて、また行きたいと思うようなサーキットにしたいな。そのためにこのサーキットでは業界の常識に捉われない新しいことにも取り組んでいて、看板を有料でつけさせてもらってサーキットの整備に充てているのもサーキットでは初めてだし、LEDのコースは世界初の試み。サーキットではラジコンをセッティングするよりも走らせて楽しんで欲しいからあえて少し暗くしたり工夫もしている。」とプロの裏方として活動していたKAIPAさんは語ります。
岡見さんはソフト面で、小澤さんはハード面で、谷口さんとKAIPAさんは経験と知識と人脈。それぞれが色々な葛藤や課題感を感じながらも、それぞれのご自身の強みを生かして協力して運営しているかしまRCサーキットは言わば「痒い所に手が届くサーキット」になるのではないかと感じました。
サーキットで感じるPlayfulな瞬間
かしまRCサーキットのメンバーにもPlayfulな瞬間を聞いてみました。
「僕は個人的にみんなと一緒に走ってる時間が一番楽しいかな!あとは、『初めてサーキットで走りました!』とか『初めてラジコンやりました!』って人が来てくれるとすごい嬉しい!」と岡見さん。
「やっぱり鹿嶋に来たことがなかった人がラジコンとかサーキットをきっかけに鹿嶋に来てくれた時が一番嬉しいかな!」と小澤さん。
谷口さんは「あんまりサーキットを運営している意識がないんだよね。その日に来たお客さんと一緒にラジコンをやっている時がPlayfulな瞬間かな!あとは、仲間が出来て近くにラジコンをやっている人がいた時は嬉しかったし、その時はすごい盛り上がった!笑 個人的には初心者だけでもだめで、経験者だけでもだめで、少し緊張感も欲しいかな。緊張感があると伸びしろが分かって楽しいし、すべては自分のためにやっているから色々なことを知った上でここで楽しく出来たら最高だよね!」と語ります。
「人との出会いかな!「ラジコンは出会いの道具」ってずっと思っていて、普段会わないような人ともラジコンで出会えたり、仲良くなれたりする。ここに来てくれた人が笑顔で帰ってくれる時はPlayfulな瞬間だよね!」とKAIPAさん。
ラジコンやサーキットが楽しさや人との出会いを生み出してくれるとても素敵なツールだということを改めて実感しました。
みなさんもかしまRCサーキットでラジコンをやってみませんか?
★ プレサスインタビューとは
私たちが大切にしている「Playful Sustainable」という言葉。
この言葉には「Playful」答えのない好きの追求、「Sustainable」自然や文化など長く続くものの力を借り、守り続けるという意味が込められています。
私たちがこの地域で活動していく中でカシマにも本業・趣味関係なく、好きなことをとことん追求し、継続的に活動をされている方々にお会いする機会が多く、そんな好きを追求するプレイフルな方々のプレイフルな瞬間にフォーカスし、深堀りしてみることにしました。
どんな活動をどんな想いでされているのか、今後どうなっていきたいのかを実際にインタビューをしてお話しをお伺いし、掲載をしています!
下記、まとめ記事より是非ご覧ください!!