【プレサスインタビュー Vol.8】鹿嶋市・東佐古滝大さん
茨城県鹿嶋市で鹿とサウナを営む東佐古滝大(とうさこ りょうた)さん。同僚の生まれ故郷というきっかけで縁もゆかりもない鹿嶋市に2023年7月にご家族で移住、2024年6月30日に鹿嶋市内で完全予約制プライベートサウナ「鹿とサウナ」をオープンしました。
東佐古さんは山口県光市出身。学生時代はプロサッカー選手を目指し、サッカーに明け暮れるサッカー小僧でした。大学まではサッカーを続けたものの最終的には東京のIT人材・コンサルティング会社に就職し、そこで出会った同僚の飯島さんのご実家でサウナを造ることに。現在は奥様と鹿嶋市へ移住し、店長として鹿とサウナを運営しています。
先日、【カシマのアソビカタ】でもご紹介させていただきましたので、鹿とサウナさんについて詳しくはこちらをご覧ください!
縁もゆかりもないカシマでの立ち上げ
カシマとは全く縁もゆかりもない東佐古さんは中学生まで山口県で育つと、高校では大分トリニータユースに入るため大分県へ。大学でもプロサッカー選手を目指し、京都府の大学のサッカー部へ進学し、大学卒業後は東京都内の通信系の会社へ就職。その後、IT人材・コンサルティング会社へ転職するも、2024年3月にサラリーマンを辞め、前職の同僚の故郷である鹿嶋市へ移住をしてきました。
東佐古さんが鹿嶋市内で鹿とサウナを営むきっかけとなった飯島さんとの出会いは2020年6月のこと。東佐古さんが勤めていたIT人材ベンチャーに飯島さんが入社したことがきっかけです。会社のビジョン・事業に"わくわく"しているという共通点から仲良くなり、共通の趣味であるサウナを通じ、プライベートでも遊ぶほどの仲になりました。
2023年1月、東佐古さんは飯島さんからプライベートサウナ事業の相談を受けます。飯島さんのお父様が亡くなってから1年が経ち、ご実家である鹿嶋の土地をどのようにしていくか飯島さんご家族が考えているときでした。
「祖父、父が残してくれた土地をどうにかして守っていきたい、その土地で1人で生きている母に対して土地の管理面や金銭面で支えてあげたい、最終的には鹿嶋市を盛り上げるようなことをやっていきたい。」そんな飯島さんの想いを聞いた東佐古さんは飯島さんに共感し、共同でプライベートサウナを立ち上げることに。
元々、東佐古さんは人に感動を与える、ということに"わくわく"を感じていたため、将来は感動事業で独立したいという想いがありました。また、東佐古さんご自身も家族の死を経験していること、母が女手1つで育ててくれ恩返しをしたいと思っていること、故郷の山口県光市と鹿嶋市の人口規模が同じくらいということや海がすぐ近くにあること、工業地域ということなどの共通点から似ていると感じたことなど、東佐古さんご自身の過去と飯島さんの想いを重ね合わせずにはいられませんでした。
また、鹿嶋の地で、鹿嶋の空気感を肌で感じながら、飯島さんの想いを聞いたことでより深く共感をし、飯島さんの話にとても"わくわく"したことでご家族とのカシマ移住を決断、鹿とサウナの立上げ準備を始めました。
辿り着いたカシマの地
中学までは山口県、高校は大分県、大学は京都府、そして就職は東京都とライフステージの変化とともに転々としていた東佐古さんにとって鹿嶋市への移住のハードルは特別高いものではなかったようです。
「人生の半分以上は県外で生活しているので、移住に対してもハードルはそんなになかったですね。しかも、鹿嶋は東京にも近いので特に不安もなかったですね。」と振り返る東佐古さん。見知らぬ土地へ移住をしたにも関わらず、特に生活においての不安はないようです。
「あと鹿嶋は人口とか海水浴場がすぐ近くにあることとか、日本製鉄があるという地元との共通点があって、2023年1月に初めて鹿嶋に来た時にいい意味での田舎感が地元と一緒だなという感じがしました。まあ、Jリーグのチームは地元にはないですけどね。」と語る東佐古さんは色々な土地を経て、それまで踏み入れたこともなかったここカシマの地へ辿り着きました。
起業したいという想いをもって上京
京都にある大学を経て、東京へ上京した東佐古さん。東京への上京も理由があったようです。「当時の僕の浅はかな考えなんですけど、当時から自分でなにかやりたいな、起業をしたいなという想いがあって、起業をするなら一度東京で揉まれた方がいいかなって思って。色々な人がいるし、横の繋がりとか経営者との繋がりとかそういうチャンスが東京は多いんじゃないかっていう期待があって上京しました。」と東佐古さん。
「実際、色々な繋がりができたし、2社目では起業家やフリーランス、エンジニアの独立を支援する仕事をしていたこともあって、転職するときに他のエリアよりも就職先が多くて選択肢も多いので自分が行きたいところ、やりたいことに近づける可能性を感じていました。そこに関しては東京にいて良かったなって感じましたね。」と語る東佐古さんは上京する時から高い意識を持って就職活動や日々の日常生活を送っていたようです。
その当時は鹿嶋へ来たこともありませんでしたが、元々、将来的には起業をしたいという想いや同僚の地元や実家に対する想いに共感し、鹿とサウナの経営を飯島さんとともにスタートさせることになりました。
ご家族の理解と想い
2023年1月に初めて足を踏み入れた鹿嶋に7月には奥様と愛犬と共に移住した東佐古さん。飯島さんとの出会いは前職でしたが、奥様もまた前職の同僚でした。「奥さんも飯島と同じ会社で同僚だったからすぐに理解してくれたんだと思います。」と振り返る東佐古さん。
奥様は東京生まれの東京育ち。今までずっと東京で生まれ育ってきましたが、時期は決めていなかったもののいずれは地方に移住してみたいという気持ちもあったようです。「移住に関しては家族の反対もなかったです。奥さんもバスケットボールをやっていたり、元々スポーツは好きなので鹿嶋に来て鹿島アントラーズの試合を観てアントラーズが好きになりました。ゴール裏も楽しかったみたいで、アントラーズサポーターが2人増えましたね。」と奥様について語る東佐古さん。移住をきっかけに鹿嶋の街だけではなく、今では鹿島アントラーズのファンにもなったようです。
「初めて鹿嶋に来た時に奥さんにも話を聞いて欲しくて、奥さんと2人で鹿嶋に来ました。やっぱり移住して起業するとなると奥さんの人生をも左右することなので。でも、奥さんも飯島と同じ会社で同僚なのもあって奥さんの中でも僕が表に出て、飯島が裏方をやるというのはバランスがいいと感じてくれたみたいです。」と語る。
「帰りの車の中で奥さんから『やりたいんでしょ?』って言われて。『まだ30代前半だし、1回チャレンジしてみてもいいんじゃない?本気でやるなら応援するよ!』と言ってくれました。」と東佐古さん。ご本人の想いはもちろん、奥様のご理解とご協力があってこそ実現したプロジェクトですね。
「移住してから生活面での不安は本当になくて、なんとかなると思っていますね。ただ、もうサラリーマンではないので、お金の面に関してはお客さんが入らないと潰れてしまう。そういった意味での不安はもちろんあります。」と東佐古さん。サウナの運営には不安も抱えつつ、鹿嶋での生活に不安はなく、楽しく日々の生活を過ごすことができているようです。
実は、KXが開催しているイベントにもよく参加してくださっている東佐古さん。その背景として人脈を広げることができるというところにひとつメリットを感じてくださっているようです。「僕は目的があって鹿嶋に来ているので、人脈を広げること、人脈が作れる場所に行くこと自体がメリットです。横の繋がりを作ってそこから鹿とサウナのファンになってくれたら嬉しいですね。」と語る。
鹿とサウナへの想い
鹿とサウナでは、到着時に施設のご案内などを丁寧に行なっており、おもてなしというものも大切にしています。「まず、到着時に受付をしながら今日の流れをご案内をします。こういうことをやっている施設ってサウナだけの施設では少ないと思うんですけど、去年の12月の結婚記念日に家族写真を撮りに行ってその時の写真館での体験を参考にしていて、写真を撮る時間も休憩時間も、その3時間が僕たちだけの時間だったんですよね。その時の体験がとても良かったので、そういったおもてなしの部分も大切にしています。」と東佐古さん。
サウナには人それぞれ楽しみ方はありますが、自然を肌で感じながらサウナや水風呂に入り、外気浴を楽しむことができるのが鹿とサウナの一番の魅力です。
「サウナのストーブも薪ストーブにしていますが、自然の音や匂いなどを五感で楽しんでもらいたいです。古民家に入った時に感じる田舎の実家やおじいちゃん・おばあちゃんの家に行ったかのような懐かしさだったり。一歩外に出ると古民家とは別の世界が広がっていて、サウナ室に入ると火がパキパキと音を立てていたり、檜の匂いがしたり。自分と対話するわけではないですけど、サウナに入っている時は自分の時間として、自身の考え事や過去現在未来について思い出したり、考えたり、想いを巡らせる時間にしてもらえたら嬉しいです。」
「もちろん、サウナ好きな人がサウナ目的で来てくれるのも嬉しいですが、一緒に来ている人との何気ない会話や、プライベートの話から仕事の話まで完全貸切の中で話をすることができるので、なんでも話せる場所として一緒に来ている人との時間の共有を大切にできる場所にできたら良いなと思っています。」と想いを語る。
「鹿とサウナの営業を初めてまだ日は短いですけど、一番テンションが上がったのは、『ここのサウナが今まで行ったサウナの中で一番です!』とお客様に言われた時ですね。」と嬉しそうに語る東佐古さん。
そして、最後に一言、「サウナ好きの方にはサウナ好きが造ったサウナなので間違いありませんと伝えたいですが、サウナ好きではない方々にも楽しんでもらえるような工夫を考えているのでみなさんぜひ、一度来てください。」と話す東佐古さんは事業への不安はありつつも、わくわくに満ち溢れていました。
ぜひ、みなさん仲間との時間を満喫しに「鹿とサウナ」へ行ってみてください!
★ プレサスインタビューとは
私たちが大切にしている「Playful Sustainable」という言葉。
この言葉には「Playful」答えのない好きの追求、「Sustainable」自然や文化など長く続くものの力を借り、守り続けるという意味が込められています。
私たちがこの地域で活動していく中でカシマにも本業・趣味関係なく、好きなことをとことん追求し、継続的に活動をされている方々にお会いする機会が多く、そんな好きを追求するプレイフルな方々のプレイフルな瞬間にフォーカスし、深堀りしてみることにしました。
どんな活動をどんな想いでされているのか、今後どうなっていきたいのかを実際にインタビューをしてお話しをお伺いし、掲載をしています!
下記、まとめ記事より是非ご覧ください!!