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【プレサスインタビュー Vol.4】鹿嶋市・木村美海さん

茨城県鹿嶋市でプロサーファーを目指す木村美海(きむら みう)さん。木村さんはご実家のクリーニング店 有限会社アサヒランドラーズで働きながらプロのサーファーを目指し、地元・鹿嶋の海を中心にサーファーの活動や海のことを考えた環境保全活動、環境へ配慮したアパレルブランド「Mulino」の立ち上げ、活動を行っています。

鹿嶋市でプロサーファーを目指す木村美海さん

木村さんは鹿嶋市出身。地元・鹿島高校を卒業後、将来を見据えてフィリピンへ3ヶ月間の語学留学をし、それからというもののずっと鹿嶋で活動をする鹿嶋生まれ、鹿嶋育ちの生粋の鹿嶋っ子です。


ちょっとサーフボード乗ってみる?

現在、一般社団法人日本サーフィン連盟(NSA)が発表する2023年ショートボード部門のMENクラスにおいて日本ランク3位の木村さん。サーフィンを始めたきっかけはお父さんの影響でした。

「5歳の頃に趣味でサーフィンをしていた父親と一緒に鹿嶋の海岸で遊んでいて『ちょっとサーフボード乗ってみる?』って言われてサーフィンを始めました。中学の時に出場した大会で勝てなくて、負けるのが悔しいという思いからサーフィンに本気で打ち込むようになりました。」と語る木村さん。

ご実家が工場の作業着などを洗っているクリーニング店という木村さんは物心ついた時からそのままクリーニング店を継ぐことになるだろうと意識はしていたそう。ただ、ちょっとサーフボードに乗ってみたことで中学校卒業くらいのタイミングでプロを意識し、現在はプロを目指して活動しているというから驚きです。

「決定的だったのは大学に行かなかったことかなーと思います。その分サーフィンをやらせてほしいと両親にお願いして語学学校に行ったり、海外遠征に行ったりしたことが今となっては良かったのかなと思いますね。海外に行っていなかったらすごい汚い海を気にすることもなかったでしょうし、逆に綺麗な海を見ることもなかったでしょうし、大学でなんとなくサーフィンを続けているよりは本気になれるものが出来て良かったかなと思います。プロサーファーになるということだったり、サーフィンを上手くなることはそれだけ人生を賭ける価値があると思っています。」と木村さん。

高校を卒業後は大学へ行くことも検討したものの、なんとなく大学へ行くならサーフィンがしたいと大学へ行かず、3ヶ月間フィリピンへ語学留学へ。この語学留学はお父さんとの約束だったそうで、サーフィンはせず語学の習得に打ち込む3ヶ月間だったようです。

ただ、この語学留学がきっかけでハワイやカリフォルニア、オーストラリアなどの海外へサーフィン遠征に本格的に行くようになりました。また、多くの友人が大学で地元を離れている中、離れずに地元にいたことで自身が地元にいる意味も見出せていると感じていると言います。

自分を見つめ直したコロナ禍

そんな中、木村さんに次なる転機が訪れます。

「コロナ禍になって大会がなくなってしまって。自分ができることを考えたり、自分を見つめ直す時間になりました。ここで大会に出れていればもしかしたら…というもどかしさはありましたけど、それも逆に力に変えるしかないのかなと思って色々な活動を始めてみました。元々興味のあったアパレルをBASEでやってみたりもしてみたんですが、それが結構好評で。環境保護をしながらアパレルを売れたらいいなと思ったのが今の活動に繋がっています。」と語る。

これからサーフィンで頑張っていこうという時にコロナ禍がやってきてしまいましたが、その時間もポジティブに考え、サーファーとしての道を歩み始めていました。

「最近はもうサーフィンをしていても自分のためだけにサーフィンをするっていう感じではなくなってきたかな、と思っていて。自分を応援してくれる人だったり、家族や会社の人のサポートがあってこそサーフィンを続けられているので、サーフィンを頑張らなきゃいけないなという気持ちが強くなりました。何回かもういいかなって思った時もあったんですけど、応援してくれる人がいる以上プロになるまでは諦めないという気持ちを持って続けようと思っています。」

鹿嶋の海を愛し、想い、考える

サーフィンが思うように出来なくなったコロナ禍でサーフィン以外の活動を始めた木村さん。それがアパレルブランド「mulino」の立ち上げと地元・鹿嶋の海の清掃活動・ビーチクリーンです。アパレルブランドのブランドコンセプトを作る上で一度やってみようと始めたビーチクリーンも毎月2週目の日曜日に継続的に行っています。

友人や知人のみなさんとビーチクリーンを行う木村さん

「ビーチクリーンは賛同してくれるサーファーなどの知り合いと一緒に、基本的には毎月2週目の日曜日に行っています。お知らせはするようにしていますが、押し付けるというよりは信念を持ってビーチクリーンに来てくれる人を大切にしたいなという気持ちがあります。情報も送りつけるというよりは自ら拾ってくれる人に来てもらえたらいいなと思っています。」と木村さん。

また、ご自身で立ち上げたアパレルブランド「mulino」はイタリア語で「風車」という意味。木村さんの拠点となっている鹿嶋・平井の海からはたくさんの風車が眺められるということもあってこの名前にしたそうです。

ご自身のアパレルブランド「mulino」のTシャツ

「実家がクリーニング店で意識しているということもありますが、繊維片は環境的にも問題になっていて、洗濯をする中で化学繊維が千切れてしまって、それが塵も積もって結構な量のプラスチックを排出しているという事実もあります。なので、化学繊維を一切使用していないコットン100%で作っています。あとは衣食住の中で自分が一番携わりやすそうで、みんなに手に取ってもらいやすそうなのが着るものなのかなと。消費者からしてもハードルが一番低いのかなと思いました。たしかに競合はすごい多いし、全部のアイテムを自分たちでは作ることはできないですけど、アパレルは手段として、入口として、結構いいんじゃないかなって。」と語る。

自身のブランドTシャツを着用する木村さん

「国産とかオーガニックコットン使用とかそういった作る過程も考えてこだわった納得できるものを自信満々に出したかったっていうのがあってアパレルブランドを立ち上げようと。今、作ってもらっている久米繊維工業株式会社も自社の電気を可能な限り環境由来のエネルギーで賄っていたり、裁断の際の反物くずを少しでも減らしたいという考えもあって両脇に縫い目のない丸編みの反物を積極的に採用していたり、職人のこだわりが見える会社だったから、少し値は張ってしまうけどそういったところが良いなと思って問い合わせフォームから問い合わせをして、少量でも作ってもらえることになりました。個人との取引だと難しかったと思いますが、実家がクリーニング店だったということもあり受けてもらえたので、自分の環境には感謝しています。」と、語る木村さんからはオリジナルブランドへの強いこだわりを感じられました。

そんな「mulino」では、販売したTシャツ1枚あたり5%を環境保護団体に寄附、また、ビーチクリーンで必要になるゴミ袋や手袋などの購入品に当てています。

自身のブランドTシャツを着用する木村さん

「価格帯とかで全く勝負するつもりはなくて…。海を綺麗にするという目的があってその目的のためにTシャツを買ってもらえたらいいなと。たまたま洗濯物から取り出した時にTシャツを見て海について思い出してくれればいいなと思っています。海を綺麗にするという目的があった上で買ってくれた人であれば大切に使ってくれるかなと思いますし、どうにか大切に着れないかなと頭を捻って欲しいなと思っています。」と木村さん。

ただデザインをして発送するだけではなく、最後に木村さんご自身がミシンで刺繍を施し、魂を宿らせているというアパレルグッズは現在、受注生産のみ。現在は新商品の開発や新たなアパレル用ロゴの制作、HPのリニューアルなどを行っており、本格的には来年の春から在庫を持って販売が出来るように準備をしているそうです。

新たな拠点

現在、大好きな鹿嶋の海辺に一から拠点を建てている木村さん。この拠点は「mulino」の販売拠点として、みんなが集まれる憩いの場として使いたいという強い思いがあり、現在建設中です。

拠点を建設中の木村さん

「拠点が完成したら染め物にもチャレンジしてみたいです。新拓農園の高野優也さんとは同級生なので、地元で育った野菜の捨ててしまう部分の皮とかで野菜染めとかしてもいいよねという話はしています。他にもみんなに長く服を使ってもらえるようにするにはどうしたらいいんだろうということを子供たちとか親御さんに考えてもらう機会が作れたらいいなとも思いますし、それをイベントとして学校とかで出来たらいいなと。そうやって地元の友達と連携出来るっていうのは地元の強みだと思っていますし、地元に残って頑張っている友達を大事にしたいと思っています。」と語る。

平井海岸の海辺で語る木村さん

「そういった活動をするにはやっぱり拠点が必要ですし、まずは「mulino」の制作拠点として、仕事に繋がるミーティングのポイントとして、そして、ビーチクリーンに来てくれた人たちがお茶を飲めるくらいの空間にしていきたいなと。その後は段階的に夏だけでもカフェスペースにして情報交換だったり、その日の海の状況を伝えられるような場所に出来たらなと思っています。サーフィンが好き、海が好きな人たちが仲間内で楽しめる場所を作れたらまずはいいかなと。」と、将来の拠点のビジョンを語る木村さん。年内には海辺に新たな拠点が出来上がる予定です。

年内に完成予定の新たな拠点

海を通じて感じるPlayfulな瞬間

木村さんの活動の中でもビーチクリーンは色々なきっかけになっているようです。

「ビーチクリーンをやっていると海から上がってきて手伝いましょうか?とか声をかけてくれる人がたくさんいて。それってやっぱりその人たちが海に対して真剣だったり大事に思っていたりっていうのを感じる瞬間なんですよね。それまで何も関わりがなかった人たちが自分たちの商品を買ってくれていたり、会話をしているうちに毎回手伝ってくれるようになったり、そういう瞬間はビーチクリーンをやっていて良かったと思う瞬間でもあるし、続けていかなければいけないなと思う瞬間でもあります。その瞬間が自分にとっての一番のPlayfulな瞬間かなと思います。また、会話の中で販売している商品をこういう風にして欲しいとかこういう商品が欲しいという意見が出てくるととても有意義な時間になりますし、ビーチクリーンの時間を使って商品のフィードバックをしてもらっている時はとても嬉しい瞬間でもあります。その人たちを繋げる意味でも今作っている拠点の存在は大事かな思っています。」と木村さん。

海での仲間ができたり、海を考えるきっかけになったり、自社商品のフィードバックをもらえる場になったりと色々なきっかけを生み出してくれるビーチクリーンは木村さんにとってとても大切な活動のひとつになっています。

「ビーチクリーンって小さい活動だと思うんですけど、小さい活動でも続けることに意味があると思っていて、その時にもらえるアイデアやフィードバックを大切にしてやっていきたいと思っています。そして、若者や同世代にはやりたいことはやってみたら意外とできるよってことを伝えたいなと思います。」

ビーチクリーンでの様子

ビーチクリーンをしてPlayfulな瞬間を感じ、Sustainableな活動に繋げていく。正しく、KXのスローガン「Playful Sustainable」に合致していますね。そんな木村さんの活動をこれからも応援していきたいと思います!

木村 美海(きむら みう)さんのプロフィール
2000年生まれ。茨城県鹿嶋市出身。鹿島高校を卒業後、フィリピンに3か月語学留学をし、帰国後は実家のクリーニング店で働きながら5歳から始めたサーフィンでプロになるべく奮闘中。2021年より鹿嶋・平井海岸でビーチクリーンを始め、環境へ考慮したアパレルブランド「mulino」を立ち上げる。現在、平井海岸の海辺に自身の活動拠点となる場所を建設中。

⦅木村美海⦆
 Instagram:https://www.instagram.com/miu_kimura/
⦅mulino⦆
 HP:https://mulino.jp/
 Instagram:https://www.instagram.com/mulino.jp/
⦅その他⦆
 株式会社KX/スナックカシマ::【スナックカシマvol.6】Catch the Kashima's wave!! ~カシマのシーサイドカルチャーを語り合おう~|Playful Sustainable Magazine
 広報かしま 2023年8月号:https://city.kashima.ibaraki.jp/uploaded/attachment/58369.pdf
 東京新聞:ヒューマンいばらき>着て守る海の美しさ アパレルブランド代表のサーファー・木村美海(きむら・みう)さん(21)

★ プレサスインタビューとは

私たちが大切にしている「Playful Sustainable」という言葉。
この言葉には「Playful」答えのない好きの追求、「Sustainable」自然や文化など長く続くものの力を借り、守り続けるという意味が込められています。

私たちがこの地域で活動していく中でカシマにも本業・趣味関係なく、好きなことをとことん追求し、継続的に活動をされている方々にお会いする機会が多く、そんな好きを追求するプレイフルな方々のプレイフルな瞬間にフォーカスし、深堀りしてみることにしました。

どんな活動をどんな想いでされているのか、今後どうなっていきたいのかを実際にインタビューをしてお話しをお伺いし、掲載をしています!

下記、まとめ記事より是非ご覧ください!!


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