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PSJ Focus Personal powered by Predator #3 「E36_xKe1」


「PSJ Focus powered by Predator」は、PUBG SCRIM JAPANによるnoteの連載企画です。PUBG SCRIM JAPANをサポートいただいているPredatorさんの協力をもとに実施しています。2022年度はチームインタビューを中心に行っていきましたが、2023年は一新!これまでのPC版PUBGの競技シーンを支えてきたベテラン選手から、これからを支えていくであろう若手選手まで、それぞれの”パーソナル”な部分にFocusを当てていく「PSJ Focus Personal」を行います!

第3回は、PUBG JAPAN CHAMPIONSHIP(以下、PJC)2022 FINALで日本一に輝き、5月17日から開催されたPUBG Asia Super Cup(以下、PASC)2023 Summerに日本代表として出場されたENTER FORCE.36(以下、E36)からxKe1選手にお越しいただきました。今や国内トップチームの名を背負うxKe1選手。直近の大会からアマチュア時代まで、様々なお話を聞くことができました。

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はじめに

──本日はよろしくお願いします。まずは簡単に自己紹介をお願いします。

xKe1:
現在、E36のPUBG部門で活動させていただいているxKe1(えっくすけい)と申します。21歳です。チーム内での役割は特に決まっていませんが、自分の強みは撃ち合いなので、その強みを活かせるよう前線で戦うことを意識しています。

──早速ですが、直近の大会であるPJC 2023 Phase1から振り返っていただこうと思います。E36は3位という結果でしたが、振り返ってみていかがですか?

xKe1:
ただただ悔しかったです。Week1はチーム全体の調子が良かったんですが、Week2で調子を落としてしまって。Week2終了時点で、1位チームとの点差が100ポイント近くまで広がりました。最後まで優勝を諦めていなかったんですが、悪い流れを断ち切ることができず、3位という結果に終わりました。

PJC 2023 Phase1の総合結果。E36は421点で3位フィニッシュとなりました。

──調子を落としてしまった要因は何だったんでしょうか?

xKe1:
そうですね......。コミュニケーション面でのミスが大きかったと思います。メンバーそれぞれにやりたいことがあったんですが、なかなか考えがまとまらず、動きに統一感がなくなっていました。結果、一人ずつ欠けるようなことが続いてしまいましたね。あの時は、メンタル面にも影響が出ていました。

──そうだったんですね。大会において、メンタルを保つことは非常に大切なことだと思うんですが、どのようなメンタルケアを行っていましたか?

xKe1:
自分なりのメンタルケアがないのが個人の課題なんですよね。大会期間中は、とにかくコーチが支えてくれていました。「俺たちは強いから、俺たちのやりたいことをやろう」と自信をつけてくれていたんです。優勝には届きませんでしたが、後半でポイントを伸ばすことができた要因のひとつだと思います。PJCのような長期の大会では、メンタルを保って、最後まで集中を切らさないことが重要だと改めて思いましたね。

──なるほど、コーチの支えがあったんですね。メンタル面の他、見えた課題はありましたか?

xKe1:
チーム全体の課題は、やっぱり「コミュニケーションをスムーズに行えるようになること」だと思います。今はそのための取り組みとして、お互いの言語を勉強していますね(E36は日本人選手3名、韓国人選手1名のチーム)。最近は、Starlord選手もめちゃくちゃ日本語が上手くなっていて、普通に会話していても伝わることが多いです。ただ、まだ上手くいかないことがあるので、僕らも簡単な報告は韓国語で行うようにしていますね。お互い助け合いの気持ちで、これからも勉強していく必要があると思います。
個人の課題としては「アイデアを出すこと」ですかね。ゲーム内では、それぞれが違う方向を見て情報を集めていることが多いので、得た情報をもとにアイデアを出して、メンバーを引っ張れるのが理想です。むしろ、これがメンバー全員でできていないと、今後の大会で勝つことは難しいと思っています。

──その「課題」を意識しながら、日々練習に励んでいらっしゃると思います。そこで気になったんですが、E36は普段どのように練習しているんでしょうか?

xKe1:
基本的には韓国スクリムで練習していますね。今は大会間近なので、週6で練習していて、土曜日には中国スクリムにも参加しています。1日のスケジュールでいうと、14時~17時までチームでランクマッチ、19時~23時までスクリムおよび反省会、少し休憩を入れて集まり、1時頃までチームでランクマッチ、といった感じです。


xKe1選手が経験してきた出来事とその時のモチベーションを可視化するために、選手活動における人生グラフを作成していただきました。
このグラフをもとにxKe1選手の思いやバックグラウンドを深堀りしていきます。

xKe1選手のPUBG人生グラフ

選手への憧れ

──それでは、ここからはxKe1選手のパーソナルなお話を聞かせていただこうと思います。xKe1選手がFPSゲームをプレイし始めたのはいつ頃ですか?

xKe1:
中学3年か高校1年の時です。その時は、コンソールでFPSゲームをプレイしていたんですが、ゲーム内のフレンドから紹介されたことがきっかけでPUBGをプレイするようになりました。PUBGが初めてのPCゲームです。

──そこから、どのような経緯で競技シーンに関わるようになったんでしょうか?

xKe1:
自分は18歳になるくらいまでヨーロッパの方に住んでいたんですが、当時海外で人気だったFPSタイトルの競技シーンを見たことがきっかけで「Esports」に興味を持ちました。それはオフラインの大会だったんですが、会場の熱気に圧倒されたというか、選手が良いプレイをする度に歓声が上がっていて感動したんですよね。次第に「自分もいつかこういう舞台に立って、観客を沸かすようなプレイがしたい」と思うようになりました。
それから、自分がプレイしていたPUBGの競技シーンを追うようになって、主にPUBG Europe Leagueを観戦していました。その大会に出場していたVard(UK代表・現FUT Esports所属)選手に憧れたことが選手を目指したきっかけですね。ただ、プレイ人口は多かったものの自分の周りに一緒にプレイする人がいなかったので、とりあえずPUBGのフレンドを増やしたかったですし、前から「日本人とゲームで遊びたい」という思いがあったので、日本人がたくさんいるPUBGのDiscordサーバーに入りました。そのサーバーでできた友人を通じて知り合っていったのが、後にチームを結成することになるReira5さん、AtomicNo13さん、Nissy52さんです。最初はランクマッチを固定で回すメンバーでしたが、「一度大会に出てみよう」という話になり、「Rank-X(以下、RX)」を結成しました。

──なるほど、チーム名は皆さんで考えられたんですか?

xKe1:
みんなで考えていたんですが、なかなか思い浮かばなかったんです。そこで、メンバー全員の頭文字を取っていったら「Rank」になって。もともとはランクマッチの固定メンバーだったので、「こんな偶然ある?Rankでいいじゃん(笑)」という話になりましたね。そこに、「未知数、無限の可能性を持った」というような意味を込めて「X」を付けました。

──それは、xKe1選手のプレイヤーネームにも関係しているんでしょうか?

xKe1:
いえ、自分には元々「x」が付いていて、チームメンバーが合わせてプレイヤーネームの頭に「x」を付けてくれていました(笑)

──RXを結成して迎えた2021年はどのような年でしたか?

xKe1:
2021年は、自分の環境がガラッと変わった年でした。先ほど「ヨーロッパの方に住んでいた」という話をしたと思うんですが、この年に日本で選手活動していくことを決め、日本に来たんです。もともとはヨーロッパで選手になることを目指していたので、まさか日本に行くことになるとは、当時は思ってもみなかったです。そして、自身初の大会として出場したPJC(PUBG JAPAN CHALLENGE)2021 Phase1では、予選を突破し、本戦で15位という結果でした。本戦の結果は悪かったんですが、初めての大会で予選を突破できたことは大きな自信に繋がりました。この時期は、かなりモチベーションが高かったです。

プロデビュー、そして初めての国際戦

──その後、RXのメンバー全員でRelaxedly(以下、RAX)へと移籍し、プロデビューを果たされました。どのような経緯で移籍が決まったんでしょうか?

xKe1:
「同じメンバーで活動を続けながらプロになりたい」という思いがあったので、メンバー全員で加入させていただけるプロチームを探していたんです。ありがたいことに複数のチームからご連絡をいただいていたんですが、RAXの代表の方と意気投合したこともあり、RAXへの加入を決めました。

──RAX加入後、いくつもの大会を経験されたと思います。特に印象に残っている大会を教えていただけますか?

xKe1:
RAXとして初めて出場した大会、PAC(PSJ ALLTIER CHAMPIONSHIP)ですかね。結果はあまり良くなかったんですが、ギリギリで国際交流戦まで出場できたので嬉しかったです。初めての国際戦でしたし、貴重な経験になりました。
あと、PJC 2022 Phase2も印象に残っていますね。チームとしても、ウィナーズサイドの6位で終えることができましたし、個人としても、パフォーマンスが良かった試合がいくつかありました。特に、CYCLOPS athlete gamingに対して1on4クラッチを決めて、ドン勝を取れた試合は、自分でも驚きましたね。あの試合の後、Twitterのフォロワーが増えて嬉しかったのを覚えています(笑)多くの方に名前を認知していただけた大会でもあるかもしれないです。

──しかし、xKe1選手の人生グラフを見ると、2022年に急下降しています。どのような状況だったんでしょうか?

xKe1:
この時期は、PWS(PUBG WEEKLY SERIES:EAST ASIA)と大学の期末が被っていて、両立が本当に辛かったです。学業の傍ら、寝る間を惜しんでPUBGに取り組んでいたんですが、それでもPWSでは、目標としていたWEEKLY FINAL(国際戦)に一度も出場することができませんでした。そして、自分はこのPWSを最後にRAXを脱退しています。かなりメンタルにきちゃっていたので、この時期は選手引退も視野に入れていたくらいでした。

国内トップチームへの加入

──それから少し期間が空き、国内トップチームであるE36への加入が発表されました。選手引退も視野に入れていたとのことでしたが、どのような経緯、心境の変化があったのでしょうか?

xKe1:
やっぱり、選手の道は諦めたくなかったんです。そして、「やるからには勝ちたい」という気持ちでいっぱいでした。そんな時に、E36がメンバー募集のツイートを出していて。タイミングも良かったですし、「このチームなら勝てる」と思ったので、トライアウトを受けることにしましたね。トライアウトを受けた後は、ひとまず助っ人という形でプレデターリーグに参加しました。あれもトライアウトの一環だったと思うので、自分にとってプレデターリーグの重要性は高かったです。

──そして、PJC 2022 FINALで見事優勝を果たし、日本一に輝きました。新チーム結成から間もない大会でしたが、この結果を残せた要因は何だと思いますか?

xKe1:
初日を終えてからの反省会が大きかったと思います。結成から日が浅かったので、意識はしていましたが、どうしても連携面やコミュニケーション面で難しいところがあったんですよね。それもあって、初日を9位で終えてしまったんですが、反省会で「個人個人がミスを減らすことに重きを置いていこう」という話がありました。なので2日目からは、連携面やコミュニケーション面を意識しすぎず、各々のパフォーマンスを意識していましたね。MiramarのLa Benditaが最終安全地帯だった試合(Day2、Match7)でドン勝を取れたことも良かったです。このドン勝でチームの空気が良くなって、メンタル面にも良い影響がありました。「このまま勝ち切ろう」という感じでしたね。個人個人の頑張り、パフォーマンスの良さが優勝に繋がったんだと思います。

──当時はどのような心境でしたか?

xKe1:
率直に嬉しかったです。ただ、自身のパフォーマンスにはあまり満足していなくて。思い返してみればミスもありましたし、一番最初に落ちてしまうことが多かったです。チームとしてはこれ以上ない結果なので、本当に嬉しかったんですが、「もっと上手くやれたな」って感じです。でも、このモヤモヤは今のモチベーションに繋がっていますね。

──なるほど、かなりストイックですね。話が変わりますが、xKe1選手がE36に加入されて半年ほど経ちましたよね。チームへの思いなどを聞かせていただけますか?

xKe1:
E36には感謝しかないです。今は大学を休学して、選手活動に専念しているんですが、その環境を作ってくれているのはE36なので。そして、この半年で色々な思い出もできましたね。大会後の祝勝会とか、E36公式生放送(オフラインイベント)とか。普段はオンラインでの活動なので、チームのメンバーやスタッフの方と会う機会が少ないんですよね。実際に会ってお話することができて楽しかったです。

──最後に、今後の目標とファンの方々への一言をお願いします。

xKe1:
いつもENTER FORCE.36を応援していただいている皆様本当にありがとうございます。 PASC SummerではGFに進出できたものの、APACリージョンに対応しきれず悪い結果となってしまったので、この経験と悔しさを糧にPGS2 APAC Qualifiersでは6位以上を目指しPGS2に出場できるよう全力を尽くし、最終的にはPJC Phase2優勝、そしてPGC出場を目指していきます。メンバー変更がありつつも、直近の大会を経てチームとしても個人としてもレベルアップできていると思うので、引き続き応援していただければ幸いです。

──ありがとうございました!

今回はE36_xKe1選手のインタビューをお送りしました。選手活動2年目にして日本一に輝いたxKe1選手ですが、それまでにはたくさんの努力と苦悩がありました。そして、現状に満足することなく、今も世界に目を向け戦い続けています。今後、どのような戦いを見せてくれるのか、楽しみです。

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インタビュー・文章執筆: ひろ Twitter
監修: amon 

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