PSJ Focus 2022 powered by Predator #9-1 大会分析「PJCS2022 Phase2 Match1」
「PSJ Focus powered by Predator」は、PUBG SCRIM JAPANによるnoteの連載企画です。PUBG SCRIM JAPANをサポートいただいているPredatorさんの協力をもとに実施しています。PC版PUBGの競技シーンにおいて、現在活躍しているチームや新進気鋭の若手チームなど、活躍に期待がかかるチームをより知ってもらえるようにインタビューを行っていきます。
2022年より、PSJ Focusがリニューアル!以前行っていたチームインタビューに加え、PUBGの競技シーンを楽しんで頂く為により多岐にわたる記事展開を予定しています。
2022年第9回は、Lower Bracket直前特集!PJCSから勝ち上がってきたチームがどのような戦いをしてきたかを見てみましょう。今回の記事執筆にはTwireの分析機能を使用しました。まずはすべての始まり、Match1です。
URL: https://analytics.twire.gg/en/pubg/match/1568789
はじめに
PUBG esportsは、16ものチームが一つのフィールドで争うという特徴的な競技であり、ランダムに決まる安全地帯はもちろん、自チーム以外の15チームの動きが複雑に絡み合い、戦況が大きく変わる事がよくあります。
この記事では、試合内で何が起こり、それがどのような影響を及ぼしたのかについて、試合の始まりから最後の1チームが決まるまでの1つの流れとして解説していきます。
空路
PUBGにおいて一番最初に戦況を決める要素は、飛行機の空路です。
空路によって行ける場所、行けない場所が決まり、フェーズ1の安全地帯の予想の材料にもなります。
この試合の空路は北西から南東にかけてマップの中心を通る、比較的標準的な空路でした。
北東の一部を除いてほぼすべての町や集落にアクセスでき、マップ全体にチームが分散するため、それぞれのチームが自分たちの考えた動きを実行しやすくなる状態からスタートします。
各チームのランドマークとフェーズ1の安全地帯
ランドマークとはそれぞれのチームが最初に降りる場所。
物資が集まりやすい集落や車両などの移動手段がある場所などを選び、そこで物資を集め、最初の安全地帯を見てそこからの動きを考えるというのがPUBG esportsにおける基本となります。
最初期でのトラブルやファイトが発生し、結果2名の選手が脱落、58名生存となりました。
安全地帯はやや南東寄りの安定した安置といえますが、安全地帯の北西側が混雑することが予想されます。また、特に安全地帯から最も離れた位置になってしまったGracesBlaze(左上)は真っ直ぐ安全地帯に向かうことが難しく、大きな移動が求められます。
また、巨大な町Los Leonesに安全地帯が寄るのか、外れるのかという部分が今後の戦況を左右する要素となりそうです。
試合序盤~中盤
試合の序盤はファーミング(物資収集)を行い、移動を始めて、安全地帯内で自チームのポジションを確保するというのが基本の流れです。
このポジション取りがその後の命運を大きく分ける要素となり、PUBG esportsの面白さでもあります。
基本的にこの時間帯はあまり戦闘を起こしたくない、というのが大体のチームの考えです。そのため、偶然移動中にぶつかってしまう場合や、他のチームの移動ルートで待ち伏せて一方的にキルポイントを手に入れる、いわゆる検問を行う場合を除き、撃ち合いが発生することは稀です(その時々のチームの動きの傾向(メタ)によっては、戦闘を起こしてでも強いポジションを奪い合うといった状態になる場合もあります)。
フェーズ1が閉じ切る頃には、全てのチームが安全地帯内で自チームの陣地を確保しています。
空路の傾きと同じように北西から南東にかけてチームが並んでいるのが見えますね。
ここから先フェーズ2から3にかけての安全地帯は特に重要視されることが多く、最終盤の戦況を先読みする上で大切なタイミングと言えます。
そして表示されたフェーズ2、安全地帯はなんと北西!
Los Leonesに寄る可能性はほぼ無くなり、次は南東側のチームに大きな移動が求められる展開に。
ここで、ある2つのチームが大きな賭けに出ます。
それが、Alpine Rabbit Majesty(ARM)と、試合序盤で1キルを獲得した Buzz(B2)でした。
両チームともフェーズ1の南西側にいたため、フェーズ2で安全地帯から外れてしまっていました。
しかし、不幸にもこの2チームが目指した先は同じ集落!先に到着したARMがB2を待ち受ける形になりました。
防衛側のAlfred選手が突っ込んできた敵チームを側面から攻撃し、素早く2killを獲得するなど、ARM側は大きな移動を行ってすぐの状態ながら安定した防衛を行い、ダウンを取られることなくB2を全滅。
4killと安全地帯中心の集落を獲得し一気に最も有利な立ち位置のチームに。
そしてフェーズ3、西側に寄った安全地帯の中心はRegulus Gaming(RGL)と、先ほど集落を無傷で防衛したARM!
全体的に縦にチームが並び、南北で混雑し始めてきています。
ここからは位置できるポジションが減るため、複数チームが絡み合うファイトが発生します。今回は南北にチームが集まっていたため、南側をA、北側をBとしてファイトを追います。
A: 南側のファイト
フェーズ3の安全地帯が動き出した頃、ENTHRIOR(EN)が1ダウンを取られたことを皮切りにUNLUCKY(UL)が車で接近、ついに南側で戦闘が勃発します。
この戦闘はENが人数不利ながらULを殲滅するという展開に。しかし、このファイトを皮切りに周囲のチームが続々参戦します。
このように辛い立ち位置での戦闘や、双方とも削り合う状況は他のチームにとって行動を起こす絶好のチャンスと受け取られ、介入される隙となってしまいます。
次に攻め込んだのは北東から南下してきたAriaSheeP(ASP)、2人生存でULを返したENに対して攻撃を開始します。
不利な状況の中、ENのOvaLim選手が健闘しASPを殲滅しましたが、そのすぐ背後からFour Man Bow(4MB)も戦闘に介入しついに全滅。
最終的に南側の大乱戦を勝ち抜いた4MBも内側に入ることがかなわず全滅、先に内側に入っていたHesita(HES)、Doing Grow Up(DGU)を除き、南端のチームは誰も生き残らないという壮絶な展開に。
B: 北側のファイト
4MBが全滅した頃、北側でも複数チームを巻き込んだ戦闘が勃発。CORE(CR)は安全地帯内を目指して移動しますが、移動中に人数を削られてしまいBari選手一人でハイド。
それに気づかず接近してしまったTRIDENT(TR)のOdango選手がダウンを取られてしまいます。
TRはなんとかCRを処理したものの、AtlasGaming(ATG)がそこに介入!
しかしTRのMomizi選手が前線の一人であったafilia選手に反撃、敵の攻撃を受け止めます。
前線を撃ち落されてしまったATGは停滞し、攻めあぐねる状況に。
TRとATG、互いに強く前に出れない状態の中、それまで北西側で静かに戦況を見ていたTetr4gon Gaming(T4G)が参戦!一気にTRの方に接近。
ATGとT4Gに挟まれ絶体絶命の状況ながら、TRはATGがalifia選手を蘇生している間にT4Gに攻撃。
縦に広がった陣形で射線を通し、先頭のSenPanMan選手をダウンさせることに成功。
TR_Tori選手、TR_Ugee選手がそのまま抑え込みT4Gを全滅させることに成功しますが、ログをみてファイトが発生していることを知ったATGは再びTRに攻撃を開始。2名の選手をダウンさせ、TRに対して人数有利の状況を作り一気に攻め込みます。
TR側も2v2まで持ちこみますが、ATG_MERUVIRU選手、ATG_Sebastian選手両名の活躍により、TRを殲滅し3人生存で次のフェーズに向かいます。
終盤
南と北の激戦が終わり、フェーズ4ながら既に6チーム20名生存まで進んだ終盤の盤面です。
序盤にARMが死守した集落が台風の目のような状態になり、そこを囲うように陣地を形成する各チーム達。
まだ戦場は広いものの、ARMの集落の周辺は遮蔽物が少なく近寄りづらい場所です。安全地帯際が未だ密度が高い状態が続いています。
このような状態では、周囲のチームが削り合い、ARMに攻め入ることも難しい状況が続き、ARMが有利な状況が続きます。
南西側では、2人生存のHESに対してDoing Grow Up(DGU)が2人で接近しましたが、HESの2人はこれに上手く対応。
しかし、後方のDGU_bluestar29選手が遠距離から1ダウンを獲得、削り合いの展開に。
このキルログを見たRegulus Gaming(RGL)は北西から西回りで南下、HESを後ろから攻撃、最後の1人を刈り取る形に。
フェーズ6は南東に張り付く安全地帯。ATGはまだ安全地帯に絡めますが、自チームのポジションが外れたRGLは、先ほどの戦闘の勢いそのままに安全地帯外を南回りに進みDGUの最後の一人まで狙いに行きます。
しかし、車で移動していたRGLに対して、ARMはなんと2人を撃ち抜くことに成功。
1人蘇生に成功し進攻するも、攻撃のタイミングで再び高所で構えていたATGからの猛攻を受け、残り1人まで削られてしまいます。
フェーズ7は僅かに東に、まだ集落が中心の安全地帯に。
外周チームの中で最後のフルメンバーとなったATGには集落への突貫が求められます。
RGL最後の生き残りだったRGL_25sai選手も撃ち抜いたATGは、ラスト2チームとなったこの戦場でついに、ARMに対する突貫を実行。
高所に後方支援要因を残し、3人で向かってくるATG。
しかし、ARM_Sunnys1deup選手が移動中のATG_afilia選手を撃ち抜き4v3に。
そのまま集落の内側まで攻め込んだATGでしたが、ARM側は再び堅い守りを発揮しこれを処理、ドン勝を獲得したのはAlpine Rabbit Majestyとなりました。
試合全体の流れとして、安全地帯は左右に揺さぶりながらも最終的にフェーズ2の中心に寄るという、珍しいパターンだったといえます。
ですが、序盤にハイリスクハイリターンな動きを行ったARMが結果的に12killでのドン勝という恩義を得たという部分ではPUBGらしい、運要素の中にも各チームの判断や先読みが光る試合でした。
PJC Lower Bracket は7/8 19:10より放送開始!
3日15試合で、上位4チームがPJC Grand Finalへの出場権を獲得します。
それぞれの思いを懸けた熱い戦いをお楽しみに!🔥
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インタビュー・文章執筆: max Twitter
文責: Nicky
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