ウッディとウクレレと子供たち~オーストラリア民謡との出会い
音楽について書こうとおもって写真を探していて、この写真がでてきました。
去年の暮れにデイブ・クラークの息子さんのウッディが開催したライブのセッティングです。
ウッディは子どもたちにウクレレの簡単な弾き方を教えて、参加した子供たちはみんなウクレレのコードを覚えて弾いて歌えるようになります。
とっても楽しいウッディのショー。
ウッディのお父さんデイブはイギリスから10歳ぐらいのころに親につれられて移民してきました。歌うのはアイリッシュ民謡です。アイリッシュ民謡というと、ポーグスや、DADGADチューニングなど、わたしも昔から不思議と惹かれるものがありました。「蛍の光」など、日本語に翻訳されて幼いころから親しんできたメロディで、どの歌も、なつかしい感じのメロディです。
デイブとDADGADチューニングのことを話していた時、少し東洋系のモードがはいってるからかもと言ってました。地球の反対側の伝統で不思議と通じるものがあるところに、音楽の伝承の奥深さを感じます。
ウッディが子供たちに歌の楽しさを教えるように、デイブ・クラーク自身、25年ほど前にオーストラリア中の学校をまわって、子供たちにオーストラリアの歴史や文化を伝える歌を伝えてまわってました。
親子で歌の伝道師みたいです。
デイブやウッディの伝える内容はキリスト教の話ではありません。
デイブの歌はすべて実際にあった話や旅の途中で出会った人の話を歌にしています。
オーストラリアに住むみんなの親の世代などがどうやって生活してきたかを歌います。
私が住むフルイロ半島はデイブの歌詞では「フランス人が名づけ、イギリス人がとりあげ、黒人が失った半島」と歌います。
「レイ・クリーク」は、アデレードの北にある街がいかに人が住めなくなったかを歌います。
「ミセス・マクドナルド」はデイブがツアーの途中で出会った、移民の白人と結婚したアボリジニの女性の話です。旦那さんを愛してるし、旦那さんもよくしてくれてるけど、差別があったので旦那さんが参加する村のダンスには参加できません。
旦那さんは土地のほとんどの男たちと同じように羊飼いで羊とともに長い間家を留守にして、その間ミセス・マクドナルドは家を守ります。
I dream, I dream, I dream I dream for you
He comes and goes like a hot north wind
At night Mrs. Mac would cry for him
あなたのために夢を見る
熱い北風のように来ては去っていく彼
夜 ミセスマックは彼のため泣く
この歌は、聞くと不思議と感動するものがあります。いつか音源を聞けるようにシェアしたいと思います。
若いころ観光旅行で海外にいったことのなかった私は、オーストラリアに移住することが決まって、勉強しようと思ったことがあります。
ですが、本は難しすぎるし、映画は連続殺人事件や麻薬中毒者や恐怖映画ばっかりで荒廃した恐ろしい場所というイメージしかありませんでした。
実際、手に職もなかった私は、家庭の事情で移住しましたが、先達の移民たちのように一から始める形となったと思います。日本と比べ政府が人々を守っているところもあるのですが、その裏にあった多くの人々の苦難の話を聞いてきました。そんな限りなく人間的な話が歌となって伝えられています。
アメリカではカントリーとしてそういった話が伝えられているようですが、オーストラリア民謡は、今この瞬間にも生まれ、歌われ続け、子供たちに事実を伝えます。