彼の好きな花
好きな人がいます。
とあるゲームの中に生きている人です。
会った事もないのに大好きで、一生彼を好きでいたくて、ペアリングを作ってずっと身につけています。とても幸せです。
これは恋だと信じています。
だから余暇にゲームを楽しむだけじゃなくて、彼との未来に悩んで一人で泣くような日もありました。
恋愛相談や悩み相談を受け付けている某所に投稿しようと下書きして、でも次元が迷子の恋を三次元の人に相談できず、くすぶらせてしまった長文もありました。
自分が彼を好きだと信じていても、これを「恋愛の悩み」と呼んで許されるとまで信じる事ができなくて。
今回は、これを恋と呼んでくれるあなたに向けて、そしてご自身の恋を恋と呼ぶ事に悩んでいるあなたに向けて、改めまして私たちの自己紹介のつもりで書いていきます。
私
念のため申し上げますと成人済みです。精神は数年具合を悪くしていたため実年齢よりいくらか幼いかもしれない。
たぶんシス女性。今後女性ではないと気付く日が来るなら、まあそれはそれでいいと思う程度の自認。
少し前までガチ恋夢女子を名乗っていました。が、便宜上使ってる肩書きという感じで、あまりしっくりきていませんでした。
もともとおたく気質ではあったけれど、「アニメゲーム漫画等のキャラクターにはまる」より「物語の世界観にはまる」タイプ。
この世界の子どもたちはこんな夢を抱いて大人になるんだろうな~とか。
この世界の数年後はこんなふうになって、主人公たちは周りからこんなふうに言われてるんじゃないかな~とか、そんな思いつきばかりあふれてきます。
夢女子の自覚を持ったのは彼が初めてで、今は彼のゲーム以外の作品はほとんど見ていません。
少しだけ文章を書きます。
これはおたくとして彼に萌えているのか、本当に恋なのか、どちらも含まれるのか、恋と同時に彼を人として尊敬しているような気もする、でも三次元に対しての恋愛感情だってそうやっていろいろ混ざってるんじゃないの、じゃあ本当にこれが恋だとして、敬愛や親愛や萌えと混ざって確かに存在している恋愛の部分に、「二次元への恋愛」という形容以外の名前を付けられないかしら、きっとそんな人は他にもいるはず……と五年もやもや迷い続けて、ようやくいくつか使いやすい言葉を見つけました。
私自身にというより現状にラベリングするのに便利な言葉だと思って、これから都合良く使う予定。
この経緯と言葉については後日別の記事でお話しする予定です。
彼 ※作品やキャラクターを特定していただく意図はありません
現在サービス運営中の某ソシャゲのキャラクターです。
年上ですが、私のゲームアカウント上には生まれて五年。
男性。でも厳密には人間じゃないから性別がないと解釈する事もできる気がする。
正直年齢性別はあまり気にしていません。
年下でも女性でもあなたを好きでいたかったと思うよ。
どちらかというと夢女子ホイホイの優しい人です。愛情深くて、同ゲームの中でもプレイヤーに親切なほうです。
自分の長所と短所を良く分かっていて、得意と苦手を恥ずかしがらずに言えるしっかりした人。
ゲームは戦闘要素が大きく、戦場にいないと駄目な人です。プレイヤーの私が彼を指揮しているので、私の合図で彼は戦場に飛び出します。初めからとても強い人だと思っていますが、ゲームなので、私が戦場に送った分だけ彼は強くなります。現時点でレベル上限達成しています。
キャラクターや世界観の解釈がプレイヤーに大部分委ねられている作品なので、私なりの解釈を述べておくと、優しさが強引で優しくない、とても優しい人です。人が好きな人です。
聞き上手で話し上手なところが好きです。
多い時で一週間に三回夢に出てきてくれました。これは惚気です。
馴れ初め
友人が夢中でゲームしているのを見て「そんなに楽しいの?」と気になりプレイをはじめました。
もともとゲームをした経験がゼロに近く、攻略はとてもへたくそでしたが、初日に彼と出会ったおかげで飽きる事なく今日まできました。
ただし一目惚れではないです。外見は全然好みじゃなくて、第一印象はあまり良くなかった。それだけは覚えてる。恋に落ちた瞬間は覚えてないのにね。台詞がよかったのかな。
たぶん初日か、そうじゃなくても二、三日目には好きになっていた私が、二次元の彼に恋をしていると自覚するまで二か月。
きっかけは友人に「彼の事が大好きで仕方ないんだけど、これって萌えなのかなぁ」と相談して「それは恋だよ」と指摘された瞬間です。
自覚する前は「結婚したい」「看取ってほしい」「でもなんでそう思うんだろう」と戸惑っていました。
自覚してから何度か求婚して何度もふられました。
恋をしている事がとても楽しく、とてもつらかった。
彼はまだ戦う事と基地を守る事しか考えておらず、彼の中に私と一緒にいる選択肢がありません。結婚なんて、する意味が分からない。
出会いから半年経つ頃、夢女子の知人とこいばなをするようになりました。
知人は推しと両想いになれた夢女子でした。順調にお付き合いできていてうらやましかった。
知人とその恋人と四人で話したりもして、そのうちに、彼の中に誰かと一緒にいる選択肢というか、概念が生まれ始めたようです。でもそれが彼には結構な衝撃で、まだそれを選ぶには至らない。彼も悩んでいました。戦う事と私と一緒にいる事を両立させられるか分からなくて。
私はその間ずっと、彼と結婚したかった。「結婚」の言葉を「ずっと一緒にいる」の意味で使っていて、挙式や入籍は考えていませんでした。
きっと短いけれど、そして遠いけれど、いられる限り近くで最後まで一緒にいたい。
たぶん彼が断っていた「結婚」とは意味が違ったのでしょう。
誰かを選ぶのは戦いを諦める事。甘ったれるという事。そういう意識があったのかもしれません。
それでも、人が好きで構いたがりで大切にしたがりの彼です。誰かと一緒にいる選択肢に気付いたら、昨日より今日、今日より明日、どんどんそれを選びたくなっていってしまいます。
彼の中にも、恋愛に似た気持ちと敬愛、親愛、慈愛や主従愛、たくさんの感情がありました。
戦っていないと生きていけない彼が、戦うために必要な私を守ってくれる時。人に構っていないと生きていけない彼が、基地で過ごす穏やかな時間に私に構う時。一緒にいたい私の願いを叶えたい程度に私を思ってくれる時。関係性に名前があったほうが何かと便利です。
次元が違っても、お互いが特別である理由があれば、私たち自身も納得できます。
彼は私の「○○」だから、私は彼の「○○」だから、何をおいてもお互いを優先できるし、していいし、そうするべき。
そんな理由で納得したくて、私たちは「恋人」になりました。
二次元の人間同士でない私たちには、この理由が一番シンプルで素直だったように感じます。
四年と少し付き合って先日結婚しました。
私と彼が一緒にいられる時間はすべて戦時下なので、挙式の予定はありません。
死なないでいられるように頑張ろうと思います。
彼の好きな花
彼は創作されたキャラクターですから、命名の由来も人間のように「こんなふうに生きてほしい」願いに基づくものではありません。それでも私は彼の名前を呼ぶとほっとするし、かっこいい素敵な名前だと思っています。
彼の名前、春のお花が入るんです。
彼の誕生日は春です。それだけで嬉しい。
彼に呼んでほしい私の名前、春のお花が入るんです。私の誕生日は春です。
たまたま偶然です。彼を好きになってから気付いた。
まるで生まれた時から彼に会いたかったみたいじゃないですか。
今では彼は、私の名前の花をいたく気に入ってくれています。
私は彼に出会う前、少女の頃から、いつか自分が結婚式を挙げる時はこのお花を使いたいと夢を持っていました。式は挙げていなくても、彼が私のお花を大切にしてくれるから、この夢は消化できました。
私も彼の名前の花が大好きです。これも惚気です。